#4.
肺保護換気の歴史 昔々、ARDS患者に対して以下のような管理が通例だった • PaCO2は40 mmHg以下、pHは 7.40が目標 • VTは10~12 ml/kg程度 1995年Amatoが肺保護換気、Permissive hypercapniaを提唱
#5.
Am J Respir Crit Care Med. 1995;152(6 Pt 1):1835-1846.
#6.
Am J Respir Crit Care Med. 1995;152(6 Pt 1):1835-1846.
#7.
Am J Respir Crit Care Med. 1995;152(6 Pt 1):1835-1846.
#8.
Am J Respir Crit Care Med. 1995;152(6 Pt 1):1835-1846.
#9.
Am J Respir Crit Care Med. 1995;152(6 Pt 1):1835-1846.
#10.
肺保護換気 「ガス交換の最適化」 パラダイムシフト 「ガス交換を必要最低限に抑えてVALIの発症を最少化」
#11.
肺保護換気(現時点での認識) • 少な目のVT 4~8 ml/kg(理想体重) • Permissive hypercapnia • 低めのPplat 30 cmH2O以下 • 適切なPEEP 中等症以上は高め
#12.
N Engl J Med. 1998;338(6):347-354.
#13.
N Engl J Med. 2000;342(18):1301-1308.
#14.
Crit Care Med. 2006;34(5):1311-1318.
#15.
日集中医誌 2022;29:295-332.
#16.
VT制限だけで本当にOK? この2つの肺でVT 250 mlは同じ意味?
#17.
VT制限だけで本当にOK? VALI 生き残っている肺(baby lung)が人工呼吸器により傷害される 同じVT 250 mlでもダメージは違うはず 生き残っている肺容積が 小さいのでより伸展される VTよりVT/FRCが大事かも ダメージ小 ダメージ大
#18.
VTの標準化 ① 理想体重で標準化 VT 4~6 ml/kg ② FRCで標準化 VT/FRC ここで、 より CspecificはARDSでもあまり変化しないのでVT/FRCはΔPに比例
#19.
VTの標準化 ① 理想体重で標準化 VT 4~6 ml/kg ② FRCで標準化 VT/FRC ∝ ΔP VT制限というよりはΔP制限の方が正しい理解 2015年またまたAmatoはΔPに注目
#20.
過去の複数のARDS研究からなるデータベースを用いた研究 (新規の前向きRCTではない) N Engl J Med. 2015;372(8):747-755.
#21.
N Engl J Med. 2015;372(8):747-755.
#22.
ΔPは死亡率と きれいに相関 N Engl J Med. 2015;372(8):747-755.
#23.
PALICC-2 Pediatr Crit Care Med. 2023 Feb 1;24(2):143-168.
#24.
PALICC-2 Pediatr Crit Care Med. 2023 Feb 1;24(2):143-168.
#25.
肺保護換気はΔP制限で解決? • 自発呼吸のありなし問題 • ΔP呼吸器ではなくΔP経肺圧が大事 P経肺圧= P気道内圧ーP胸腔内圧 自発なし 自発あり
#26.
N Engl J Med. 2010;363(12):1107-1116.
#27.
P/F<150の重症例では 筋弛緩管理の方が転帰良好 90⽇死亡率 -32% 28d-VFD 11 vs. 9⽇ 90d-VFD 53 vs. 45⽇ 気胸 4 vs. 12% N Engl J Med. 2010;363(12):1107-1116.
#28.
Crit Care Med. 2013;41(2):536-545.
#29.
重症+自発呼吸 ⇩ 経肺圧が高くなる Crit Care Med. 2013;41(2):536-545.
#30.
重症+自発呼吸 ⇩ 肺傷害が強い Crit Care Med. 2013;41(2):536-545.
#31.
Intensive Care Med. 2020;46(12):2314-2326.
#32.
Intensive Care Med. 2020;46(12):2314-2326.
#33.
ここまでのまとめ • 肺保護換気はARDSの救命率を向上させた • VT制限よりはΔP制限の方が正しい理解 • 自発呼吸があるときはΔP経肺圧が大事
#34.
肺保護換気はΔP経肺圧制限で解決? • 吸気流量や呼気流量 同じVTやΔPでも吸気流量が多い方が肺傷害が重度 Med Sci Monit. 2007;13(4):BR95-BR100. J Trauma. 2000;49(5):903-911. 同じΔPでも吸気時間が短い方が肺傷害が重度 呼気流量を制限した方が肺傷害が軽度 Crit Care Med. 2016;44(9):e838-e845. Br J Anaesth. 2014;113(3):474-483. • 呼吸数 同じVTでも呼吸数が多い方が肺傷害が重度 J Surg Res. 2003;113(1):139-145.
#35.
ΔPは大事だけどそれだけじゃなさそう 2016年GattinoniがMechanical power(MP)を提唱 VALIの発生に重要なのは 肺に及ぼされる1分間あたりの仕事量(=MP) MP=0.098×RR×VT×(PIP-1/2×ΔP)[J/min]
#36.
P [N/m2]×V [m3] =仕事 [N・m](=[J]) Intensive Care Med. 2016;42(10):1567-1575.
#37.
P [N/m2]×V [m3] =仕事 [N・m](=[J]) Intensive Care Med. 2016;42(10):1567-1575.
#38.
P [N/m2]×V [m3] =仕事 [N・m](=[J]) Intensive Care Med. 2016;42(10):1567-1575.
#39.
PIP 吸気1回の人工呼吸器の仕事は VT 1/2×VT×(PIP+PIP-ΔP) PIP-ΔP ΔP =VT×(PIP-1/2×ΔP) Intensive Care Med. 2016;42(10):1567-1575.
#40.
吸気1回の仕事は VT×(PIP-1/2×ΔP)[L・cmH2O] 1分間の呼吸数RR [/min] 単位換算 [L・cmH2O] ➡ [m3・Pa]=[N・m]=[J] 10-3×101325/1033.2=0.098 MP=0.098×RR×VT×(PIP-1/2×ΔP)[J/min] Intensive Care Med. 2016;42(10):1567-1575.
#41.
Mechanical power まだまだツッコミどころ満載の不完全な理論であるが 人工呼吸器が肺に与える仕事(=エネルギー)に 注目したところがすごい • 吸気に蓄えられたエネルギーは呼気に開放されるのでは? • 気道抵抗で消費されるエネルギーは肺に影響しないのでは? • そもそも閉鎖系ではなくエネルギーの計算方法が間違っているのでは? • エネルギーは熱として放散するのでは? 現在、呼吸オタクの間で熱い議論が交わされている
#42.
Intensive Care Med. 2023;10.1007/s00134-023-06991-3.
#43.
Intensive Care Med. 2023;10.1007/s00134-023-06991-3.
#44.
過去の複数のARDS研究からなるデータベースを用いた研究 (新規の前向きRCTではない) Am J Respir Crit Care Med. 2021;204(3):303-311.
#45.
Am J Respir Crit Care Med. 2021;204(3):303-311.
#46.
Am J Respir Crit Care Med. 2021;204(3):303-311.
#47.
① ΔPを1 cmH2O上げる ② RRを1 /min上げる ①は②の約4倍のリスク 「4×ΔP+RR」を最小にすればよい Am J Respir Crit Care Med. 2021;204(3):303-311.
#48.
まとめ • 肺保護換気においてはVTというよりはΔPを下げることが大事 • VILIだけでなく、P-SILIにも注意 • ただし、肺傷害に関わる因子はそれだけではない • MP理論の提唱を契機に、現在進行形で研究が進んでいる • 「4×ΔP+RR」は呼吸器設定変更の目安になるかも