#4.
INとOUTのバランスをとるのが尿 • 体液量が減少していれば、腎臓は尿量を減らして水を 再吸収する。過剰であれば薄い尿を出して体液量を調 整する(次頁の図)。つまり、尿を見れば体液量の状 態がわかるのが基本である。 • だが、尿があてにならない状況が存在するため、安易 な判断は危険だ。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#5.
尿量による体液量の調整 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#6.
利尿薬の影響を踏まえて尿を解釈する • 尿量を評価する際、利尿薬を使用している場合は尿量 があてにならない。 • 利尿薬は尿細管に作用し、非生理的にNaや水の再吸収 を抑制して尿量を増やすからだ。 • 「尿が少ない」という理由だけで、安易に利尿薬を投 与するのは厳禁である。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#7.
尿細管に作用する利尿薬 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#8.
利尿薬の作用部位 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#9.
尿に作用するその他の薬剤 • 利尿薬以外にも、尿量に影響を与える薬剤がある。 • SGLT2阻害薬や、浸透圧利尿薬(マンニトールなど) も利尿作用を持つ。 • また、漢方薬に含まれる甘草(グリチルリチン酸)は 偽性アルドステロン症を引き起こし、尿の組成に影響 を与える。 • これらを考慮した上で尿を解釈することが重要だ。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#10.
尿量確保のために血圧の維持が重要 • 尿を作るためには、前提として腎臓への血流が保たれ ている必要がある。 • そのため、適切な血圧の維持が輸液戦略の第一歩とな る。 • 敗血症などで末梢血管が開き、血圧が下がっている場 合は、血管作動薬で末梢を締めながら補液を行う必要 がある。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#11.
平均血圧(MAP)65mmHg を最低ラインに • 血圧の指標として重要なのは、収縮期血圧ではなく 「平均血圧」である。拡張期血圧は血管緊張 (vascular tone)の指標となるため、両者を加味した 平均血圧をみる。 • 各種ガイドラインでも、敗血症の初期蘇生における平 均血圧の目標値は65mmHgと推奨されている。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#12.
過剰な輸液はよくないが、 一概には言えない • 血圧を上げるためにどんどん補液すればよいわけでは ない。 • ガイドラインでは初期輸液として十分な量の晶質液投 与を推奨する一方、過剰な輸液による臓器うっ血の害 も指摘している。 • 低灌流所見がある場合はためらわずに輸液し、状況に 応じて制限的に管理するバランスが求められる。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#13.
血圧以外の指標も総合的に判断する • 補液の判断は血圧だけでは不十分である。 • 意識状態の改善、頻脈の是正、末梢・中枢の温度較差 の縮小、乏尿の改善なども重要な指標となる。 • さらに、毛細血管再充満時間(CRT)や乳酸クリアラ ンスなども評価に加え、総合的にアセスメントしよう。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#14.
「とりあえず補液」から 「適切な輸液」へ • かつては「臓器灌流を保つためにどんどん補液する」 のが主流だった。 • しかし、補液しすぎによる胸水や利尿薬使用の増加、 死亡率の上昇が明らかになり、現在では「適切な輸 液」が重視されている。 漫然と補液を続ける時代は終 わったと認識すべきである。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#15.
輸液反応性と輸液耐性の間 をゴールにする • 輸液をして心拍出量が増加する状態を「輸液反応性」 と呼ぶ。 一方、これ以上輸液すると害が出る状態を 「輸液耐性」という。 • 治療のゴールは、この二つの間の「最適化 (Optimization)」から「安定化(Stabilization)」 の範囲を狙うことである(次頁の図)。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#16.
輸液療法の各段階における循環血液量 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#17.
うっ血の評価は エコーやIN/OUTバランスで • 過剰な輸液によるうっ血を防ぐため、入った量と出た 量の「IN/OUTバランス」を厳密にチェックする。 • また、肺のエコー(Bライン)や、肝静脈・腎静脈の血 流パターン(次頁)をエコーで評価することも有用で ある。 • デバイスを駆使して、輸液によるうっ血を早期に察知 しよう。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#18.
腎静脈エコーによるうっ血評価 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#19.
高齢者や合併症患者は目標の幅が狭い • 若年者であれば治療目標の幅に余裕があるが、超高齢 者や合併症を持つ患者では、その幅が極端に狭くなる。 • 少しの輸液不足で脱水になり、少しの過剰でたちまち うっ血(肺水腫など)を起こしてしまう。 • このような患者では、より慎重でシビアなパラメータ 管理が求められる。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#20.
パラメータのまとめ: 何を指標にすべきか • 血圧が低いときは補液を検討する。 • ある程度バイタルが安定したら、 体重やIN/OUTバランスで出口戦略を考える。 • 血圧が頭打ちで尿量が少ない場合は、 うっ血を疑い利尿薬などを検討する。 • うっ血の評価にはエコーを活用すると精度が上がる。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#21.
尿量に「正常」はない。重要なのは体重 • 「正常な尿量は何mLか?」という問いに絶対的な正解 はない。尿量はあくまで、摂取した水分(IN)と不感 蒸泄などのバランスの結果に過ぎないからだ。 • 体液量(水分)が適正かを評価するために、臨床現場 で最も信頼すべきパラメータは「日々の体重変化」で ある。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#22.
腎機能が落ちれば、乏尿の目安も上がる • 教科書的には尿量400mL/日以下を乏尿と呼ぶが、こ れは腎臓が最大濃縮できる場合の数値だ。 • 加齢や慢性腎臓病(CKD)で尿の濃縮力が半分に落ち ていれば、800mL/日でも乏尿(老廃物を排出しきれ ない状態)となる。 • 患者の腎機能に合わせて乏尿の基準を引き上げて考え る必要がある。 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#23.
現場で迷わない実践的知識は書籍で! • 本スライドで紹介したのは、輸液のパラメータ管理の ほんの一部である。 • 『マメカン輸液・電解質』では、若手医師が現場で迷 わないための、さらに具体的な指標の読み方や、電解 質異常へのアプローチが詳しく解説されている。 • ぜひ書籍を手に取り、 明日からの診療に役立ててほしい! 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)
#24.
さらに詳しい解説は、 『マメカン輸液・電解質』をCHECK! 長澤 将『マメカン輸液・電解質』 (メジカルビュー社)