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藤原翔

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投稿者

どっと@小児科

1/31

テキスト全文

  • #1.

    認︕ 確 度 ⼀ に 当直の前 熱性けいれんの対応 ー救急での対応と家族への説明ー どっと@⼩児科

  • #2.

    はじめに︓熱性けいれんの対応︖ 熱性けいれんは ”common disease” • ⼩児の救急対応をする施設であれば、どこでも必ず出会います。 • ⼩児科が First touch する施設も、必要時コールする施設もあると 思いますが、けいれんの評価・抗けいれん薬の選択・家族への説明 について、ある程度の知識は求められます。 • このスライドで⼀通り予習をしておきましょう︕

  • #3.

    熱性けいれん対応の⼼構え • 医療従事者でも⽬の前でけいれんすれば、動揺します。 • 熱性けいれんのお⼦さんが搬送されてきたとき、⽌まっていても 家族の焦り・不安はかなり強いものです。 • けいれんが続いていれば、対応するスタッフも少し焦ります。 まずはお互いに落ち着きましょう。 良性疾患ではありますが、派⼿なのは事実です。 ⽌まっていても、⼼無い⾔葉かけには注意しましょう。

  • #4.

    もくじ 1. 熱性けいれんとは 2. けいれんの対応 3. 家族への説明 4. その他Q&A 熱性けいれんの対応がやりやすくなっているのは、 予防接種による細菌性髄膜炎の激減が⼤きいです。 もちろん、それでも適切な評価が⼤切です。

  • #5.

    part.1 熱性けいれんとは 主に⽣後6か⽉から5歳までの乳幼児に起こる 38度以上の発熱 に伴い けいれん や 意識障害 をきたす発作性疾患。 <下記のような原因のあるものは除外> • 髄膜炎などの中枢神経感染症 • 低⾎糖、電解質異常、代謝異常など • てんかんの既往

  • #6.

    part.1 熱性けいれんとは ・有病率 およそ 7-11%(諸外国の2〜5%と⽐べて⾼い) ・原因 脳の未熟性に伴い、急な体温の上昇でけいれんを起こすと考え られている。発症には遺伝的要因の関与が考えられているが、 多因⼦が想定されている(両親いずれかの既往でリスクは約2倍)。 ・予後 基本的には予後良好であり、ルーチンでの検査や治療は不要。 てんかん発症は⼀般⼈⼝よりやや⾼いが9割以上は発症しない。

  • #7.

    熱性けいれんの症状 *典型的なパターン(例︓1歳6か⽉・男児) ・⼣より38.5度の発熱、機嫌は良かったが、急に様⼦が変わり… ① 眼が上を向き、四肢を伸ばして突っ張った。 ② 次に、四肢を左右対称にガクガクとふるわせた。 顔⾊は悪く、⼝からよだれと泡をふいていた。 ③ 救急⾞を呼び、ふるえは収まったが、反応はない。 ④ 救急⾞が着くと、急に泣き出し、抱っこをせがんだ。 発熱・意識障害・眼球上転 ⼝唇チアノーゼ・嘔吐・失禁 四肢の強直→間代性けいれん *けいれんを伴わず、意識障害を呈するものも含む ⑤ 病院に着くと、⺟を認識し「ママー」と声が出た。 通常は2-3分でけいれんは収まり、30-60分程 ぼーっとして、意識はもとに戻ることが多い。

  • #8.

    乳幼児のJCS 乳幼児の 意識レベルの評価 Ⅲ. 刺激をしても覚醒しない Ⅱ. 刺激をすると覚醒する 30. 呼びかけ反復で開眼 熱性けいれんの対応では 乳幼児⽤ JCS・GCS をチェック 20. 呼びかけで開眼 10. 飲み物・母乳を飲もうとする Ⅰ. 刺激しないでも覚醒している ほぼ意識清明 JCS 0-2程度 3. 母親と視線が合わない 脳症を疑う基準 2. 視線は合うが笑わない JCS 20以上 1. あやすと笑うが声は出ない 0. あやすと声を出して笑う GCS 10-11以下 *JCS・GCSは扱いやすい⽅でOK 乳幼児のGCS E . 開眼(Eye Opening) 自発開眼 声かけで開眼 痛み刺激で開眼 開眼せず 4 3 2 1 V . 発語(Verbal Response) 機嫌よく喃語をしゃべる 不機嫌 痛み刺激で泣く 痛み刺激でうめき声 声を出さない 5 4 3 2 1 M . 運動(Motor Response) 正常な自発運動 触れると逃避反応 痛み刺激で逃避反応 異常な四肢の屈曲反応 異常な四肢の進展反応 動かさない 6 5 4 3 2 1

  • #9.

    熱性けいれんの診断 - ポイント - 発熱+けいれん のある患者で、 他に 原因のあるけいれんを除外する こと。 • 髄膜炎・脳炎/脳症・胃腸炎関連けいれん・低⾎糖や脱⽔ など 鑑別疾患は少なくない。 • その中で熱性けいれんと判断する主な基準は以下の5つ。 ① 年齢 ② けいれんのタイミング(発熱早期) ③ 持続時間 ④ 意識障害が遷延しない ⑤ 神経学的異常所⾒を認めない

  • #10.

    単純型︖ 複雑型︖ 研修中にもよく聞かれ、気になるところだが… 重症感染症や治療介⼊の基準ではなく、救急対応ではそれほど重要ではない。 複雑型の意味合い︓将来のてんかん発症リスクが⾼い 基準は、以下いずれかの⼀つ以上を満たすもの 部分発作・15分以上持続・24時間以内の反復 *部分発作︓体の⼀部や半⾝のけいれん、またけいれんを伴わない意識障害など 実際の 重積対応の⽬安は 5-10分 であり、むしろそちらを覚えることが⼤切。

  • #11.

    part.2 けいれんの対応 ポイント ü 治療介⼊の⽬安 ü けいれんが持続しているのかの評価 ü 原因のあるけいれんのルールアウト ü 初期対応〜薬剤投与

  • #12.

    治療介⼊の⽬安 1. 来院時にも、明らかなけいれん が続いている。 2. 明らかなけいれんはないが、30分以上意識障害 が続いている。 ⽬安︓乳幼児⽤ JCS 3以上が続いている状態 3. 来院までにけいれんを 複数回 繰り返している。 4. 髄膜刺激徴候や⼤泉⾨の膨隆、深部腱反射の亢進などの明らかな 神経学的異常所⾒を認めている。 5. 全⾝状態が不良や Vital sign の崩れ、脱⽔所⾒がみられる。

  • #13.

    けいれん重積状態︖ けいれんが… 5分以上続く or 複数回の発作 発作の間に意識回復がない • けいれんが 30分以上続く場合 、脳障害が引き起こされる可能性が⾼まる。 • けいれんは 5-10分 で⾃然に⽌まることが多く、それ以上続く場合は 30分 以上続く可能性が⾼まるため、介⼊するべきである。 → 上記のため 5分 が operational definition (実地⽤定義) とされる。 • 1回1回のけいれんは短くとも、複数回の発作で間に意識回復がない場合は、 ⼀連の⻑時間続いているけいれんと判断し、介⼊が必要である。

  • #14.

    けいれんが持続しているのかの評価 - 基本ポイント - - 要注意ポイント - p 四肢の筋緊張亢進 p 眼球の偏位 p 間代性の運動 p 瞳孔の散⼤ p 開眼の持続 p 過度な頻脈(160-200 bpm) p 酸素化不良・チアノーゼ p 刺激に対する反応がない • 発作後の眼球偏位や体の⼀部が動く状態には、以下2つの可能性がある。 ① 部分発作の持続 ② けいれん収束後 • 鑑別には脳波の確認が必要であり、疑わしい場合は治療介⼊を考慮する。

  • #15.

    そのけいれんは偽物かも 不要な介⼊を防ぐために、けいれんとの鑑別を理解しておきましょう。 パターン① 悪寒戦慄(シバリング) ・1秒間に5-10回くらいとけいれんより早いスピードでブルブル細かく震える。 ・通常、⼿⾜は冷たく、顔⾊もやや悪いことが多い。 ・意識はあるため、声掛けへの反応や視線を合わせることが可能。 パターン② 熱せん妄 ・⾼熱に伴い「⾍がいる」「おじさんがいる」などの異常⾔動や、突然⼤きな声で 叫んだり、⾛り回る、ぼーっと⼀点を⾒つめるなどの異常⾏動がみられる。 ・問いかけへの反応は、はっきりしないこともある。 ・通常は数分で落ち着く。⻑くても60分以内でそれ以上続く場合は脳症を疑う。

  • #16.

    原因のあるけいれんのルールアウト 原因のあるけいれん = 熱性けいれんではない 体調不良に起因するもの 基礎疾患に起因するもの その他 • 低⾎糖 • てんかん • 頭部外傷 • 電解質異常 • 代謝異常症 • 脳腫瘍 • 中枢神経感染症 • 虐待 • 低酸素⾎症 • 憤怒けいれん • 胃腸炎関連けいれん • 薬物中毒 *来院時に意識がほぼ清明であれば、ほとんどの疾患が否定でき、検査不要となる。

  • #17.

    初期対応 熱性けいれん診療ガイドライン 2015 を参照に⼀部改変 ⽣後 6〜60か⽉の 有熱時発作 来院時 (5分以上) けいれんが続いている 髄膜刺激徴候・JCS 3 以上など 中枢神経感染を疑う所⾒ JCS 1まだ 30分 2 未満 熱性けいれんについて説明し、帰宅 *ジアゼパム坐薬については後述 + ⾎液検査 あり 全⾝状態不良・脱⽔所⾒ 明らかに意識清明 発作から30分以上経過 あり モニター装着 ルート確保 異常 あり 必要に応じて ・頭部画像検査 ・髄液検査 30-60分程度 経過観察 気道確保 酸素投与開始 ・⼩児科コール 異常 あり ・薬剤投与 ・⼊院の準備

  • #18.

    薬剤投与 熱性けいれん診療ガイドライン 2015、⼩児けいれん重積治療ガイドライン 2017を参考に⼀部改変 けいれんが持続 静注薬使⽤不可 ・⼆次医療施設へ搬送 ・ジアゼパム坐剤 0.4 mg/kg 挿肛 1st Line → 5分以上あけて同量を1回追加可 (計2回まで) ・ミダゾラム (MDL) 0.15 mg/kg 静注 ・ジアゼパム (DZP) 0.3-0.5 mg/kg 静注 5-10分 反応なし 5-10分 反応なし *ルート確保困難な場合 ミダゾラム (MDL) 0.3 mg/kg 筋注/頬粘膜 、0.2 mg/kg ⿐腔 *現在は欧州の第⼀選択薬であるロラゼパム (LZP) も使⽤可能だが、国内ではまだ位置付けが定まっていない。 2nd Line ・ホスフェニトイン (fos PHT) 22.5 mg/kg 7.5分以上かけて 3rd Line ・フェノバルビタール (PB) 20 mg/kg 10分以上かけて (レベチラセタム (LEV) 20-60 mg/kg 15分以上かけて) 反応 なし 昏睡療法 ミダゾラム (MDL) バルビツレート 持続静注

  • #19.

    使⽤する薬剤の特徴︓1st Line ミダゾラム(MDL)→ 10 kgの児であれば、ミダフレッサ® 1.5 mL 静注 ・ドルミカム® 10 mg 2 mL ・ミダフレッサ® 10mg 10mL 筋注/頬粘膜 0.3 mg/kg、⿐腔 0.2 mg/kg 静注 0.15 mg/kg ・けいれん重積状態に対する適応の問題で、静注はミダフレッサ®が望ましい。 ・筋注/⿐腔/頬粘膜は量の問題でドルミカム®を使⽤する(適応外使⽤)。 投与量の違いに注意 *2020年12⽉より ブコラム®(経⼝⽤液)が発売されているが、現状は熱性けいれんで使⽤する機会は乏しい。 ジアゼパム(DZP)→ 10 kgの児であれば、ホリゾン® 0.6 mL 静注 ・ホリゾン/セルシン® 10 mg 2 mL 静注 0.2-0.4 mg/kg、注腸 0.3-0.5 mg/kg ・MDLと有効性は同等であり、院内の採⽤や医師の好みで選択が可能(⽚⽅覚えておけばOK)。 ・既存の注射製剤を原液で、緩徐に直腸内投与することも可能(適応外使⽤)。

  • #20.

    使⽤する薬剤の特徴︓2nd・3rd Line ホスフェニトイン(fos PHT)→ 10 kgの児であれば、下記希釈液 10 mL 投与 ・ホストイン® 750 mg 10 mL 静注 22.5 mg/kg 7.5分以上かけて投与 ・意識状態への影響が少ないため、脳症などを否定できない熱性けいれんで扱いやすい。 ・本剤 3 mL+⽣⾷ 7 mLで希釈すると、1 mLあたり 22.5 mgとなり、体重換算で扱いやすい。 ・適応は 2歳以上 だが、適応外使⽤として 2歳未満 にも使⽤されている。 フェノバルビタール(PB)→ 10 kgの児であれば、下記溶解液 20 mL 投与 ・ノーベルバール® 250 mg/V ⽣⾷ 25 mLで溶解 10 mg/mLとして使⽤する。 静注 15-20 mg/kg 10分以上かけて投与 ・fos PHTと同等に2nd Lineとして使⽤されることもあるが、過鎮静に注意が必要である。 急性脳炎・脳症の鑑別には意識障害の遷延が重要であり、判断に影響を与える可能性がある。 *海外では2nd Lineで使⽤される レベチラセタム(LEV)は、適応の問題などでガイドラインでの推奨はない。

  • #21.

    ジアゼパム坐薬の予防投与 ジアゼパム(DZP)坐薬︓ダイアップ坐剤® *投与量︓0.4-0.5 mg/kg 規格︓4・6・10mg *37.5 ℃ 以上の発熱で1回、8時間後に熱が続いている場合 1回追加 • 主に 熱性けいれんの予防⽬的 で使⽤される。 • 有効⾎中濃度に達するのに 約30分間 必要。 → すでに起こっているけいれんを⽌めるためには適切ではない。 静注薬が使⽤できない体制では、搬送前投与で⼀定の効果は期待できる。 • 鎮静作⽤があり、意識の評価が困難になる可能性があるため、 以前より投与に消極的である(ルーチンでは使⽤しない)。 • けいれん予防効果は⾼く、搬送後に意識の回復が確認できれば、 その場で再燃を防ぐための使⽤は、ある程度は許容される。 例︓⾃宅が遠⽅、不安、救急混雑/コロナ陽性などで対応困難を予想など 予防投与の基準 ①・②いずれかを満たす ① けいれん重積の既往 ② 以下 2つ以上を満たす けいれんの反復 1. 部分発作または 24時間以内に反復 2. 神経学的異常 発達遅滞 3. 家族歴 4. 12か⽉未満 5. 発熱後1時間未満の発作 6. 38℃未満での発作

  • #22.

    part.3 家族への説明 - ポイント ・基本的には 良性疾患 であり、観察が⼤切。 ・けいれんが反復した場合には、スマホで動画撮影。 • ⼦どもが熱性けいれんを起こした際の 家族の不安は⾮常に強い。 まずは落ち着いてもらい、熱性けいれんは良性疾患であることを説明する。 • 今でも「⾆を噛まないように」と⼝の中にタオルや指を突っ込んで噛まれてくる⽅ も少なくない。むしろ、窒息や感染のリスクが⾼いことを説明する必要がある。 • ⼀連の動きを評価したくても、ほとんど覚えていないことも多い。冷静になると いう意味でも、けいれんが反復/再燃した場合には動画を撮ることを勧めている。

  • #23.

    実際の指導例 *7枚⽬のスライドのような典型的な症例(1歳6か⽉男児・初発・単純型熱性けいれん) お⼦さんが突然けいれんされ、とても不安だったと思います。少なくとも、今はけいれん も⽌まっており、ご家族を認識できているようなので安⼼してください。 熱性けいれんは、⽇本で7%くらいの⽅が1度は起こす、基本的には後遺症などの⼼配はな い良性疾患です。5歳くらいまでは脳の回路が未熟で、急に熱が上がったときにけいれんを 起こすと考えられています。通常は5分以内に⽌まり、30分くらいで意識も戻ります。 けいれんが⻑く続く場合や、何回か繰り返す、意識がなかなか戻らない場合は原因を確認 する必要がありますが、〇〇さんは今の所は問題なく、検査や治療は不要です。 帰宅後にけいれんした場合は、まずは落ち着いて周囲の安全を確保して下さい。⼝の中に 物や指を⼊れる必要はありません。余裕があれば、動画を撮影していただけると、診療の参 考になります。救急⾞はご⼼配もあると思いますので、呼んでいただいて問題ありません。 今後も繰り返す可能性はありますが、現時点では予防薬は不要と考えます。ただ、ご⼼配 であれば、明⽇かかりつけ医で相談して下さい。

  • #24.

    part.4 その他 Q&A ① Q. ⼊院の⽬安は︖ A. 抗けいれん薬を使⽤した場合や複数回けいれんしている場合、髄膜刺激徴候や 意識障害を伴う、全⾝状態不良や脱⽔がある場合などでは⼊院を考慮する。 ただ、施設や地域、家庭の状況によっても⼊院適応を検討する必要がある。 Q. 頭部CT/MRIは必要か︖ A. ルーチンでは不要である。発達遅滞や神経学的異常所⾒を伴う場合、遷延性の 発作などの場合には、基礎疾患や脳炎/脳症の評価のために検査を⾏う。 なお、多発外傷の痕など虐待などが疑わる場合にも検査は考慮される。

  • #25.

    part.4 その他 Q&A ② Q. 解熱剤は使⽤しても良いか︖ A. 解熱剤によって、けいれんを増やすことはないことが確認できており、問題なく 使⽤は可能である。アセトアミノフェン坐薬を使⽤したい場合には、ジアゼパム 坐薬の吸収を妨げる可能性があるため、30分以上間隔をあける必要がある。 Q. 予防接種は受けても良いか︖ A. 現⾏の予防接種は、全て接種可能である。接種までの経過観察期間を設けている 施設が多いが、⻑くても2-3か⽉までとする(エビデンスはない)。周囲の流⾏ 状態などを考慮し、家族と医師の判断で短縮することも可能である。 ただ、副反応による発熱でけいれんする可能性もあり、説明は必要である。

  • #26.

    Take Home Message • 基本的に 良性疾患 であり、過剰な検査は控える。 • けいれんの判断は、バイタルサインと眼に着⽬︕ 200 bpm 近い頻脈 や 開眼・散瞳 が続く場合は介⼊を考慮しよう。 • 再燃した場合は、養育者にスマホで動画を撮ってもらおう。

  • #27.

    ちなみに • 医学⽤語として正式名称は「熱性けいれん」なのですが、 ⼩児科以外では「熱性痙攣」の⽅が馴染みがあるようです。 • 専⾨家による適切な解説は、基本的に「熱性けいれん」と記載 されますが、SNSなどで広く伝えたい場合、⾮医療従事者でも ⾒つけやすいよう両⽅併記するなど⼯夫が必要かもしれません。

  • #28.

    参考⽂献 • 熱性けいれん診療ガイドライン 2015 • ⼩児けいれん重積治療ガイドライン 2017 • ⼩児科診療ガイドライン -最新の診療指針- 第4版 総合医学社

熱性けいれんの対応ー救急での対応と家族への説明ー当直の前に一度確認!

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どっと@小児科

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概要

熱性けいれんは、小児の救急対応で必ず出会う良性疾患ですが、適切な評価と対応が求められます。小児科や救急科の先生、当直で熱性けいれんに対応する先生方のお役に立てたら幸いです。

◎目次

・はじめに:熱性けいれんの対応?

・熱性けいれん対応の心構え

・熱性けいれんとは

・熱性けいれんの症状

・熱性けいれんの診断

・単純型?複雑型?

・けいれんの対応

・治療介入の目安

・けいれん重積状態?

・けいれんが持続しているかの評価

・そのけいれんは偽物かも

・原因のあるけいれんのルールアウト

・初期対応

・薬剤投与

・使用する薬剤の特徴

・家族への説明

・実際の措置例

・その他 Q&A

・Take Home Message

本スライドの対象者

研修医/専攻医

テキスト全文

  • #1.

    認︕ 確 度 ⼀ に 当直の前 熱性けいれんの対応 ー救急での対応と家族への説明ー どっと@⼩児科

  • #2.

    はじめに︓熱性けいれんの対応︖ 熱性けいれんは ”common disease” • ⼩児の救急対応をする施設であれば、どこでも必ず出会います。 • ⼩児科が First touch する施設も、必要時コールする施設もあると 思いますが、けいれんの評価・抗けいれん薬の選択・家族への説明 について、ある程度の知識は求められます。 • このスライドで⼀通り予習をしておきましょう︕

  • #3.

    熱性けいれん対応の⼼構え • 医療従事者でも⽬の前でけいれんすれば、動揺します。 • 熱性けいれんのお⼦さんが搬送されてきたとき、⽌まっていても 家族の焦り・不安はかなり強いものです。 • けいれんが続いていれば、対応するスタッフも少し焦ります。 まずはお互いに落ち着きましょう。 良性疾患ではありますが、派⼿なのは事実です。 ⽌まっていても、⼼無い⾔葉かけには注意しましょう。

  • #4.

    もくじ 1. 熱性けいれんとは 2. けいれんの対応 3. 家族への説明 4. その他Q&A 熱性けいれんの対応がやりやすくなっているのは、 予防接種による細菌性髄膜炎の激減が⼤きいです。 もちろん、それでも適切な評価が⼤切です。

  • #5.

    part.1 熱性けいれんとは 主に⽣後6か⽉から5歳までの乳幼児に起こる 38度以上の発熱 に伴い けいれん や 意識障害 をきたす発作性疾患。 <下記のような原因のあるものは除外> • 髄膜炎などの中枢神経感染症 • 低⾎糖、電解質異常、代謝異常など • てんかんの既往

  • #6.

    part.1 熱性けいれんとは ・有病率 およそ 7-11%(諸外国の2〜5%と⽐べて⾼い) ・原因 脳の未熟性に伴い、急な体温の上昇でけいれんを起こすと考え られている。発症には遺伝的要因の関与が考えられているが、 多因⼦が想定されている(両親いずれかの既往でリスクは約2倍)。 ・予後 基本的には予後良好であり、ルーチンでの検査や治療は不要。 てんかん発症は⼀般⼈⼝よりやや⾼いが9割以上は発症しない。

  • #7.

    熱性けいれんの症状 *典型的なパターン(例︓1歳6か⽉・男児) ・⼣より38.5度の発熱、機嫌は良かったが、急に様⼦が変わり… ① 眼が上を向き、四肢を伸ばして突っ張った。 ② 次に、四肢を左右対称にガクガクとふるわせた。 顔⾊は悪く、⼝からよだれと泡をふいていた。 ③ 救急⾞を呼び、ふるえは収まったが、反応はない。 ④ 救急⾞が着くと、急に泣き出し、抱っこをせがんだ。 発熱・意識障害・眼球上転 ⼝唇チアノーゼ・嘔吐・失禁 四肢の強直→間代性けいれん *けいれんを伴わず、意識障害を呈するものも含む ⑤ 病院に着くと、⺟を認識し「ママー」と声が出た。 通常は2-3分でけいれんは収まり、30-60分程 ぼーっとして、意識はもとに戻ることが多い。

  • #8.

    乳幼児のJCS 乳幼児の 意識レベルの評価 Ⅲ. 刺激をしても覚醒しない Ⅱ. 刺激をすると覚醒する 30. 呼びかけ反復で開眼 熱性けいれんの対応では 乳幼児⽤ JCS・GCS をチェック 20. 呼びかけで開眼 10. 飲み物・母乳を飲もうとする Ⅰ. 刺激しないでも覚醒している ほぼ意識清明 JCS 0-2程度 3. 母親と視線が合わない 脳症を疑う基準 2. 視線は合うが笑わない JCS 20以上 1. あやすと笑うが声は出ない 0. あやすと声を出して笑う GCS 10-11以下 *JCS・GCSは扱いやすい⽅でOK 乳幼児のGCS E . 開眼(Eye Opening) 自発開眼 声かけで開眼 痛み刺激で開眼 開眼せず 4 3 2 1 V . 発語(Verbal Response) 機嫌よく喃語をしゃべる 不機嫌 痛み刺激で泣く 痛み刺激でうめき声 声を出さない 5 4 3 2 1 M . 運動(Motor Response) 正常な自発運動 触れると逃避反応 痛み刺激で逃避反応 異常な四肢の屈曲反応 異常な四肢の進展反応 動かさない 6 5 4 3 2 1

  • #9.

    熱性けいれんの診断 - ポイント - 発熱+けいれん のある患者で、 他に 原因のあるけいれんを除外する こと。 • 髄膜炎・脳炎/脳症・胃腸炎関連けいれん・低⾎糖や脱⽔ など 鑑別疾患は少なくない。 • その中で熱性けいれんと判断する主な基準は以下の5つ。 ① 年齢 ② けいれんのタイミング(発熱早期) ③ 持続時間 ④ 意識障害が遷延しない ⑤ 神経学的異常所⾒を認めない

  • #10.

    単純型︖ 複雑型︖ 研修中にもよく聞かれ、気になるところだが… 重症感染症や治療介⼊の基準ではなく、救急対応ではそれほど重要ではない。 複雑型の意味合い︓将来のてんかん発症リスクが⾼い 基準は、以下いずれかの⼀つ以上を満たすもの 部分発作・15分以上持続・24時間以内の反復 *部分発作︓体の⼀部や半⾝のけいれん、またけいれんを伴わない意識障害など 実際の 重積対応の⽬安は 5-10分 であり、むしろそちらを覚えることが⼤切。

  • #11.

    part.2 けいれんの対応 ポイント ü 治療介⼊の⽬安 ü けいれんが持続しているのかの評価 ü 原因のあるけいれんのルールアウト ü 初期対応〜薬剤投与

  • #12.

    治療介⼊の⽬安 1. 来院時にも、明らかなけいれん が続いている。 2. 明らかなけいれんはないが、30分以上意識障害 が続いている。 ⽬安︓乳幼児⽤ JCS 3以上が続いている状態 3. 来院までにけいれんを 複数回 繰り返している。 4. 髄膜刺激徴候や⼤泉⾨の膨隆、深部腱反射の亢進などの明らかな 神経学的異常所⾒を認めている。 5. 全⾝状態が不良や Vital sign の崩れ、脱⽔所⾒がみられる。

  • #13.

    けいれん重積状態︖ けいれんが… 5分以上続く or 複数回の発作 発作の間に意識回復がない • けいれんが 30分以上続く場合 、脳障害が引き起こされる可能性が⾼まる。 • けいれんは 5-10分 で⾃然に⽌まることが多く、それ以上続く場合は 30分 以上続く可能性が⾼まるため、介⼊するべきである。 → 上記のため 5分 が operational definition (実地⽤定義) とされる。 • 1回1回のけいれんは短くとも、複数回の発作で間に意識回復がない場合は、 ⼀連の⻑時間続いているけいれんと判断し、介⼊が必要である。

  • #14.

    けいれんが持続しているのかの評価 - 基本ポイント - - 要注意ポイント - p 四肢の筋緊張亢進 p 眼球の偏位 p 間代性の運動 p 瞳孔の散⼤ p 開眼の持続 p 過度な頻脈(160-200 bpm) p 酸素化不良・チアノーゼ p 刺激に対する反応がない • 発作後の眼球偏位や体の⼀部が動く状態には、以下2つの可能性がある。 ① 部分発作の持続 ② けいれん収束後 • 鑑別には脳波の確認が必要であり、疑わしい場合は治療介⼊を考慮する。

  • #15.

    そのけいれんは偽物かも 不要な介⼊を防ぐために、けいれんとの鑑別を理解しておきましょう。 パターン① 悪寒戦慄(シバリング) ・1秒間に5-10回くらいとけいれんより早いスピードでブルブル細かく震える。 ・通常、⼿⾜は冷たく、顔⾊もやや悪いことが多い。 ・意識はあるため、声掛けへの反応や視線を合わせることが可能。 パターン② 熱せん妄 ・⾼熱に伴い「⾍がいる」「おじさんがいる」などの異常⾔動や、突然⼤きな声で 叫んだり、⾛り回る、ぼーっと⼀点を⾒つめるなどの異常⾏動がみられる。 ・問いかけへの反応は、はっきりしないこともある。 ・通常は数分で落ち着く。⻑くても60分以内でそれ以上続く場合は脳症を疑う。

  • #16.

    原因のあるけいれんのルールアウト 原因のあるけいれん = 熱性けいれんではない 体調不良に起因するもの 基礎疾患に起因するもの その他 • 低⾎糖 • てんかん • 頭部外傷 • 電解質異常 • 代謝異常症 • 脳腫瘍 • 中枢神経感染症 • 虐待 • 低酸素⾎症 • 憤怒けいれん • 胃腸炎関連けいれん • 薬物中毒 *来院時に意識がほぼ清明であれば、ほとんどの疾患が否定でき、検査不要となる。

  • #17.

    初期対応 熱性けいれん診療ガイドライン 2015 を参照に⼀部改変 ⽣後 6〜60か⽉の 有熱時発作 来院時 (5分以上) けいれんが続いている 髄膜刺激徴候・JCS 3 以上など 中枢神経感染を疑う所⾒ JCS 1まだ 30分 2 未満 熱性けいれんについて説明し、帰宅 *ジアゼパム坐薬については後述 + ⾎液検査 あり 全⾝状態不良・脱⽔所⾒ 明らかに意識清明 発作から30分以上経過 あり モニター装着 ルート確保 異常 あり 必要に応じて ・頭部画像検査 ・髄液検査 30-60分程度 経過観察 気道確保 酸素投与開始 ・⼩児科コール 異常 あり ・薬剤投与 ・⼊院の準備

  • #18.

    薬剤投与 熱性けいれん診療ガイドライン 2015、⼩児けいれん重積治療ガイドライン 2017を参考に⼀部改変 けいれんが持続 静注薬使⽤不可 ・⼆次医療施設へ搬送 ・ジアゼパム坐剤 0.4 mg/kg 挿肛 1st Line → 5分以上あけて同量を1回追加可 (計2回まで) ・ミダゾラム (MDL) 0.15 mg/kg 静注 ・ジアゼパム (DZP) 0.3-0.5 mg/kg 静注 5-10分 反応なし 5-10分 反応なし *ルート確保困難な場合 ミダゾラム (MDL) 0.3 mg/kg 筋注/頬粘膜 、0.2 mg/kg ⿐腔 *現在は欧州の第⼀選択薬であるロラゼパム (LZP) も使⽤可能だが、国内ではまだ位置付けが定まっていない。 2nd Line ・ホスフェニトイン (fos PHT) 22.5 mg/kg 7.5分以上かけて 3rd Line ・フェノバルビタール (PB) 20 mg/kg 10分以上かけて (レベチラセタム (LEV) 20-60 mg/kg 15分以上かけて) 反応 なし 昏睡療法 ミダゾラム (MDL) バルビツレート 持続静注

  • #19.

    使⽤する薬剤の特徴︓1st Line ミダゾラム(MDL)→ 10 kgの児であれば、ミダフレッサ® 1.5 mL 静注 ・ドルミカム® 10 mg 2 mL ・ミダフレッサ® 10mg 10mL 筋注/頬粘膜 0.3 mg/kg、⿐腔 0.2 mg/kg 静注 0.15 mg/kg ・けいれん重積状態に対する適応の問題で、静注はミダフレッサ®が望ましい。 ・筋注/⿐腔/頬粘膜は量の問題でドルミカム®を使⽤する(適応外使⽤)。 投与量の違いに注意 *2020年12⽉より ブコラム®(経⼝⽤液)が発売されているが、現状は熱性けいれんで使⽤する機会は乏しい。 ジアゼパム(DZP)→ 10 kgの児であれば、ホリゾン® 0.6 mL 静注 ・ホリゾン/セルシン® 10 mg 2 mL 静注 0.2-0.4 mg/kg、注腸 0.3-0.5 mg/kg ・MDLと有効性は同等であり、院内の採⽤や医師の好みで選択が可能(⽚⽅覚えておけばOK)。 ・既存の注射製剤を原液で、緩徐に直腸内投与することも可能(適応外使⽤)。

  • #20.

    使⽤する薬剤の特徴︓2nd・3rd Line ホスフェニトイン(fos PHT)→ 10 kgの児であれば、下記希釈液 10 mL 投与 ・ホストイン® 750 mg 10 mL 静注 22.5 mg/kg 7.5分以上かけて投与 ・意識状態への影響が少ないため、脳症などを否定できない熱性けいれんで扱いやすい。 ・本剤 3 mL+⽣⾷ 7 mLで希釈すると、1 mLあたり 22.5 mgとなり、体重換算で扱いやすい。 ・適応は 2歳以上 だが、適応外使⽤として 2歳未満 にも使⽤されている。 フェノバルビタール(PB)→ 10 kgの児であれば、下記溶解液 20 mL 投与 ・ノーベルバール® 250 mg/V ⽣⾷ 25 mLで溶解 10 mg/mLとして使⽤する。 静注 15-20 mg/kg 10分以上かけて投与 ・fos PHTと同等に2nd Lineとして使⽤されることもあるが、過鎮静に注意が必要である。 急性脳炎・脳症の鑑別には意識障害の遷延が重要であり、判断に影響を与える可能性がある。 *海外では2nd Lineで使⽤される レベチラセタム(LEV)は、適応の問題などでガイドラインでの推奨はない。

  • #21.

    ジアゼパム坐薬の予防投与 ジアゼパム(DZP)坐薬︓ダイアップ坐剤® *投与量︓0.4-0.5 mg/kg 規格︓4・6・10mg *37.5 ℃ 以上の発熱で1回、8時間後に熱が続いている場合 1回追加 • 主に 熱性けいれんの予防⽬的 で使⽤される。 • 有効⾎中濃度に達するのに 約30分間 必要。 → すでに起こっているけいれんを⽌めるためには適切ではない。 静注薬が使⽤できない体制では、搬送前投与で⼀定の効果は期待できる。 • 鎮静作⽤があり、意識の評価が困難になる可能性があるため、 以前より投与に消極的である(ルーチンでは使⽤しない)。 • けいれん予防効果は⾼く、搬送後に意識の回復が確認できれば、 その場で再燃を防ぐための使⽤は、ある程度は許容される。 例︓⾃宅が遠⽅、不安、救急混雑/コロナ陽性などで対応困難を予想など 予防投与の基準 ①・②いずれかを満たす ① けいれん重積の既往 ② 以下 2つ以上を満たす けいれんの反復 1. 部分発作または 24時間以内に反復 2. 神経学的異常 発達遅滞 3. 家族歴 4. 12か⽉未満 5. 発熱後1時間未満の発作 6. 38℃未満での発作

  • #22.

    part.3 家族への説明 - ポイント ・基本的には 良性疾患 であり、観察が⼤切。 ・けいれんが反復した場合には、スマホで動画撮影。 • ⼦どもが熱性けいれんを起こした際の 家族の不安は⾮常に強い。 まずは落ち着いてもらい、熱性けいれんは良性疾患であることを説明する。 • 今でも「⾆を噛まないように」と⼝の中にタオルや指を突っ込んで噛まれてくる⽅ も少なくない。むしろ、窒息や感染のリスクが⾼いことを説明する必要がある。 • ⼀連の動きを評価したくても、ほとんど覚えていないことも多い。冷静になると いう意味でも、けいれんが反復/再燃した場合には動画を撮ることを勧めている。

  • #23.

    実際の指導例 *7枚⽬のスライドのような典型的な症例(1歳6か⽉男児・初発・単純型熱性けいれん) お⼦さんが突然けいれんされ、とても不安だったと思います。少なくとも、今はけいれん も⽌まっており、ご家族を認識できているようなので安⼼してください。 熱性けいれんは、⽇本で7%くらいの⽅が1度は起こす、基本的には後遺症などの⼼配はな い良性疾患です。5歳くらいまでは脳の回路が未熟で、急に熱が上がったときにけいれんを 起こすと考えられています。通常は5分以内に⽌まり、30分くらいで意識も戻ります。 けいれんが⻑く続く場合や、何回か繰り返す、意識がなかなか戻らない場合は原因を確認 する必要がありますが、〇〇さんは今の所は問題なく、検査や治療は不要です。 帰宅後にけいれんした場合は、まずは落ち着いて周囲の安全を確保して下さい。⼝の中に 物や指を⼊れる必要はありません。余裕があれば、動画を撮影していただけると、診療の参 考になります。救急⾞はご⼼配もあると思いますので、呼んでいただいて問題ありません。 今後も繰り返す可能性はありますが、現時点では予防薬は不要と考えます。ただ、ご⼼配 であれば、明⽇かかりつけ医で相談して下さい。

  • #24.

    part.4 その他 Q&A ① Q. ⼊院の⽬安は︖ A. 抗けいれん薬を使⽤した場合や複数回けいれんしている場合、髄膜刺激徴候や 意識障害を伴う、全⾝状態不良や脱⽔がある場合などでは⼊院を考慮する。 ただ、施設や地域、家庭の状況によっても⼊院適応を検討する必要がある。 Q. 頭部CT/MRIは必要か︖ A. ルーチンでは不要である。発達遅滞や神経学的異常所⾒を伴う場合、遷延性の 発作などの場合には、基礎疾患や脳炎/脳症の評価のために検査を⾏う。 なお、多発外傷の痕など虐待などが疑わる場合にも検査は考慮される。

  • #25.

    part.4 その他 Q&A ② Q. 解熱剤は使⽤しても良いか︖ A. 解熱剤によって、けいれんを増やすことはないことが確認できており、問題なく 使⽤は可能である。アセトアミノフェン坐薬を使⽤したい場合には、ジアゼパム 坐薬の吸収を妨げる可能性があるため、30分以上間隔をあける必要がある。 Q. 予防接種は受けても良いか︖ A. 現⾏の予防接種は、全て接種可能である。接種までの経過観察期間を設けている 施設が多いが、⻑くても2-3か⽉までとする(エビデンスはない)。周囲の流⾏ 状態などを考慮し、家族と医師の判断で短縮することも可能である。 ただ、副反応による発熱でけいれんする可能性もあり、説明は必要である。

  • #26.

    Take Home Message • 基本的に 良性疾患 であり、過剰な検査は控える。 • けいれんの判断は、バイタルサインと眼に着⽬︕ 200 bpm 近い頻脈 や 開眼・散瞳 が続く場合は介⼊を考慮しよう。 • 再燃した場合は、養育者にスマホで動画を撮ってもらおう。

  • #27.

    ちなみに • 医学⽤語として正式名称は「熱性けいれん」なのですが、 ⼩児科以外では「熱性痙攣」の⽅が馴染みがあるようです。 • 専⾨家による適切な解説は、基本的に「熱性けいれん」と記載 されますが、SNSなどで広く伝えたい場合、⾮医療従事者でも ⾒つけやすいよう両⽅併記するなど⼯夫が必要かもしれません。

  • #28.

    参考⽂献 • 熱性けいれん診療ガイドライン 2015 • ⼩児けいれん重積治療ガイドライン 2017 • ⼩児科診療ガイドライン -最新の診療指針- 第4版 総合医学社

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