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インタビュー
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一般的な書籍化までの流れ
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FAQ
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スライドを投稿してみよう

河北総合病院で初期研修、聖隷浜松病院で脳神経内科専門研修を経て、2018年より現職。 臨床で得た知見をスライドとして可視化・共有し、若手育成と診療の標準化に取り組む。 日本神経学会専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本脳卒中学会専門医。 著書『みんなの脳神経内科 Ver.2』(2024年)は、研修医・非専門医・プライマリケア医に向け、現場で機能する要点を簡潔にまとめた改訂版。

私は当時、転職が決まっておりましたので、新しい職場で新しい仕事を始めるにあたって、その準備のためにスライド投稿を始めました。前職から現在の職場に転職し、そこで新しいチームを作ることがまずは目標でした。その目標のためには「何らかの形でプレゼンテーションを行う」ことが必要だと考えました。 スライド投稿という形式は私には合っていましたし、当初から「いつかスライドを書籍化する」という目標を掲げていました。最初はすごく緊張しながら投稿したことを覚えています。私の場合は、新しい仕事を発展させるためにどうにかしないといけない、という切実なモチベーションがありましたので、スライド投稿については緊張しながらも、なんとか続けてきた経緯があります。

やや特殊かもしれませんが、通常のプレゼンテーションで使用するスライドは文字が少なく、要点のみで作られているはずです。しかし Antaa Slide に関しては、スライドのみを読んで内容を理解してもらう必要があります。ですから、私のスライドは“スライドのみで完結する”内容にするよう意識しています。視覚的に読んで理解可能であることを大事にしています。 また、スライド一つ一つに「テーマ」が必ずあるようにしています。特定のアイデア・テーマを体現するスライドコンテンツにするよう努力してきました。たとえば、末梢神経障害がテーマのスライドでは「benign neuropathy(よくある良性の神経障害)を理解して、末梢神経障害診療を捉えてみよう」という主題を込めています。もう一つ例を挙げるなら、認知症診療がテーマのスライドでは「自分自身の言葉で認知症外来を説明できるように、患者さん・家族への説明を明確に記す」といった主題があります。 このように、スライド作成においてはまず“そのスライドのコンセプトを決める”ところから始めています。

目に見えて閲覧数などが示されますので、実際に誰かに見てもらえたんだな、ということを知って嬉しかったです。また、違う施設に行ってスライドの存在を知っていてもらえたこともありがたく感じました。 最も嬉しかったのは、最初のスライド投稿の目的である「書籍を作る」チャンスを得られたタイミングでした。こうやって世界にアプローチを続ければ、いつかチャンスが得られるはず、と信じてやってきましたので、その願い通りにチャンスが得られたことは達成感がありました。もちろんこれはスタートラインに過ぎませんが、願えば願いは叶うのだという実感があり、とても嬉しかったです。

Antaa Slide への投稿を通じて、藤井達也先生に出版社を紹介していただけました。自分自身の力で出版社にアプローチする、ということは当時の私にはできませんでしたので、「いつか誰かに見つけてもらえたら」という都合のいい思いで日々過ごしていました。そして本当に“誰かに見つけてもらえた”ことは、本当に嬉しかったです。 積極的なのか受動的なのか、自分でも矛盾している態度だったと思います。ある程度は積極的なのですが、自信がなさすぎて消極的になってしまう、というアンビバレントなメンタリティでした。

スライドもそうですが、書籍もコンセプトが大切です。何が書籍のオリジナリティで、どこにそのコンテンツの価値があるか、を十分に検討しました。 スライド一つ一つにテーマがある、と先述しましたが、スライド全体としてのテーマは「堅苦しく思われている脳神経内科を、わかりやすくみんなのものにする」というものです。ですから書籍はそのテーマを言語化して「みんなの脳神経内科」としました。“みんなのための脳神経内科”というジャンルを自分で作り、それを体現する、というのがテーマです。 そもそも私自身が抱えていた悩み・テーマでもありましたので、それをある程度解決し、誰かの役に立ちたいというモチベーションでコンテンツ作成を行っています。

工夫は特にありません。とにかく“生みの苦しみ”につきました。業務をしながら執筆をするということがなかなか両立できず、まったく執筆が進まず、本当に辛かったです。

執筆が進まなくても、出版社の方が地道に待ってくださったことが大変ありがたく思えました。一方で「もっとコミットしてくれてもいいのに」と思ってしまう自分もいましたが…。 ただ、出版社の提案も受けつつ、自分がやりたい・実現したいことを具現化していく作業は、とても得難く素晴らしい経験でした。

執筆を考える方に、一応の先輩として伝えたいことがあります。それは「別に誰かは、思っているほど他人のことを気にしていない」という事実です。 本を書いて表現したら批判の対象になるのではないか、という考えは、人を行動から遠ざける理由の一つだと思います。私もめちゃくちゃびびっていました。しかし蓋をあければ、刊行後、肯定的な意見は少々、批判的な意見はほぼありませんでした。結局、誰もそこまで他人の本を読み込むわけではないのだ、と知りました。 書籍出版は悪いことは少なく、いいことは多いと思います。知名度が上がる、本を書いているというだけで立派な感じが演出できる、印税が入る、達成感がある、などです。 私は新しい職場で自分のチームを作る、ということが目標でした。そのために Antaa Slide を活用し、その中で書籍を作り、認知してもらいながらチームを作ってきました。いろいろなプレゼンテーションの方法がありますが、これは一つの手段です。 Antaa Slide の「あなたのPCに埋まっているプレゼンテーションを共有しませんか?」というコンセプトには、投稿を始める前から震えました。私たちは多く勉強する割に、それが自分の中だけに留まり、そのまま何にもならずに消えていく、という事実があります。これはとてももったいないことです。 かっこ悪くても、いびつでも、そこに想いや願いがあるなら、形にして残していけばいい。努力が誰かの役に立ち、その後の何かにつながるなら、そんなにいいことはありません。

みんなの脳神経内科Ver.2
山本大介 先生 著
多くの場合、明確なテーマや切り口のスライドを公開するところから始まります。
編集者がAntaa Slideでスライドに出会い、DMやメールでご連絡をいただくことが多いです。注目されたポイントが共有されると、その後の打ち合わせが具体的になります。
初回の打ち合わせでは、想定読者・章立て・差別化の方向性、分量や刊行時期の目安をすり合わせることが一般的です。ここで大枠がそろうと、進行がスムーズになります。
骨子・目次・到達目標・サンプル図版を短い資料にまとめ、企画書ドラフトに落とし込みます。以降はこの資料を“共通の地図”として進めます。
症例の匿名化や画像の使用許諾、出典整理・表記統一を整えながら、原稿は初稿→改稿→校正へと進みます。準備が整い次第、入稿・発売へとつながります。