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投稿者

松野舞衣

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テキスト全文

  • #1.

    急性腹症の画像診断

  • #2.

    ⽬次 01 ⾒落としを防ぐための読影のポイント 02 急性腹症の読影 03 実際の症例 04 Take Home Message

  • #3.

    01 ⾒落としを防ぐための読影のポイント 各臓器を読影する順番を決めて端から端まで観察する 肝臓→胆嚢→総胆管→膵臓→脾臓→副腎→腎臓→上部消化管→下部消化管 →血管→骨格→軟部組織の順に読影 水平断だけでなく冠状断、矢状断もみる 過去の画像と比べる 自覚症状、経過、既往歴、血液所見なども確認する

  • #4.

    ⽬次 01 ⾒落としを防ぐための読影のポイント 02 急性腹症の読影 03 実際の症例 04 Take Home Message

  • #5.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #6.

    ⽬次 01 ⾒落としを防ぐための読影のポイント 02 急性腹症の読影 03 実際の症例 04 Take Home Message

  • #7.

    症例1

  • #8.

    02 症例1 88歳⼥性 ⼣⾷後、急に上腹部痛が出現し救急要請した。搬送先での⾎ 液所⾒ではCRP、⽩⾎球数は基準値内だった。鎮痛薬を投与 したが全く効果がなかった。ECGでST低下を認めたため当 院に搬送された。 【既往歴】 ⾻粗鬆症

  • #9.

    SMA MCA MCA起枝部直下でSMAに造影⽋損を認める

  • #10.

    SMA 単純CTで⾎栓は⾼吸収を呈している

  • #11.

    回盲部、⼩腸の壁の造影効果は減弱している

  • #12.

    両腎に造影⽋損を多数認める

  • #13.

    症例1 診断︓上腸間膜動脈閉塞症 SMA閉塞には塞栓によるものと⾎栓によるものがある。いずれも腸 管虚⾎の原因となり、死亡率が55〜90%と⾼く、たとえ⼿術で救命 できたとしても⼤量の腸管切除が必要となる。 突然の腹痛で発症し、初期には腹部所⾒に乏しい。腹膜刺激症状の出 現は重症化、不可逆的な腸管壊死の進⾏を⽰唆する。 画像診断別冊key bookシリーズ すぐ役立つ救急のCT•MRI/内科学第12版

  • #14.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #15.

    症例1 発症から5時間後、⾎管内治療を施⾏した。 SMAは第2空腸動脈分岐部レベルで本幹が途絶していた。 ウロナーゼで⾎栓溶解を⾏った後、SMA本幹で⾎栓吸引を⾏いMCAの 閉塞は免れた。 MCA

  • #16.

    02 症例1 ⾎管内治療→開腹⼩腸広範切除術、回盲部切除術 ・⼿術レポート トライツ靭帯から120cmまでの空腸は漿膜⾯まで⾊調良好であったが、それより 肛⾨側は淡紫⾊であり壁は菲薄化していた。上⾏結腸近位まで同上の所⾒で、上 ⾏結腸中程から肛⾨側にかけては⾊調良好であった。 切除⻑) ⼩腸︓270cm 結腸︓23cm

  • #17.

    02 症例1 88歳⼥性 ⼣⾷後急に上腹部痛が出現し救急要請した。搬送先での⾎液 所⾒ではCRP、⽩⾎球数は基準値内だった。鎮痛薬を投与し たが全く効果がなかった。ECGでST低下を認めたため当院 に搬送された。 →⾎管内治療、腸管切除術を施⾏。 翌⽇試験開腹し腸管壊死がないことを確認した。

  • #18.

    症例2

  • #19.

    02 症例2 91歳男性 突然、右下腹部痛が出現し救急受診した。⾎液所⾒に異常を 認めず腹痛は軽快し⼀旦帰宅した。翌⽇、腹部CTで異常を 指摘され再度受診した。腹痛は持続していた。 【既往歴】 胃がん(術後)、⼼房細動、DVT、⾍垂炎(保存的加療)など

  • #20.

    SMV 空腸静脈 SMVは空腸枝レベルで狭窄している

  • #21.

    ⼩腸間膜が捻転し渦巻き様所⾒(whirl sign)を認める 腸管の造影効果は保たれているが腸間膜のうっ⾎が⽣じている

  • #22.

    02 症例2 診断︓Petersen ヘルニア Roux-en-Y再建後の術後合併症。 挙上空腸と横⾏結腸間膜に間隙(Petersenʼs defect)が⽣じ内ヘルニアを発症する。 Petersenʼs defect 絞扼性腸閉塞のほか、輸⼊脚閉塞を来たして ⼗⼆指腸断端破裂や重症膵炎を発症する可能 性があるため速やかな外科治療が必要となる。 幽⾨側胃切除 Roux-en-Y 再建における内ヘルニア ⽇消外会誌 43巻 9 号

  • #23.

    症例2 02 絞扼性腸閉塞における循環障害の経過 ① ② ③ ④ ①正常の状態では動脈より静脈が太い。 ②狭窄部で圧の低い静脈のうっ滞が⽣じ、その後、腸間膜や腸管の浮腫が⽣じる。 ③浮腫が進み絞扼部の締め付けが増悪する。その結果、動脈⾎流も低下し腸管への ⾎流が途絶える。 ④⾎流途絶から時間が経過し、消化管は壊死に⾄る。 レジデントのための腹部画像教室 ⼩児急性腹症の⾒⽅

  • #25.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #26.

    02 症例2 91歳男性 急に右側腹部痛が出現し救急受診した。⾎液所⾒に異常を認 めず腹痛は軽快し⼀旦帰宅した。翌⽇、腹部CTで異常を指 摘され再度受診した。腹痛は持続していた。 【既往歴】 胃がん(術後)、⼼房細動、DVT、⾍垂炎(保存的加療)など →術中、腸管に虚⾎を疑う所⾒はみられなかった。 整復しヘルニア⾨を閉鎖した。

  • #27.

    症例3

  • #28.

    症例3 89歳⼥性 1年ほど前から左⿏径部の膨隆を⾃覚していた。 突然腹痛を⾃覚し救急受診した。 【既往歴】 ⼤腸癌(術後)、喘息、COPDなど

  • #29.

    02 症例3 診断︓⼤腿ヘルニア嵌頓 腹部臓器が⼤腿管を通り、伏在裂孔へ脱出する外ヘルニア。 出産や加齢による筋膜の脆弱化が主要因と⾔われ、⾼齢⼥性に多い。 ヘルニア⾨が狭⼩のため嵌頓しやすい。 ⿏径ヘルニアとの画像所⾒の違い ・⿏径靱帯の背側に脱出する ・⼤腿静脈、⼤伏在静脈に沿って脱出する ・⼤伏在静脈を圧排し変形させる ①内⿏径ヘルニア②外⿏径ヘルニア③⼤腿ヘルニア 画像診断別冊KEY BOOKシリーズわかる︕役⽴つ︕消化管の画像診断/ESPRESSO腹部画像診断

  • #30.

    ⼤腿静脈 ⼤伏在静脈 恥⾻筋の外側、⼤腿静脈の内側に脱出した腸管を認める ⼤伏在静脈を圧排している

  • #31.

    腹側 ⿏径靱帯 背側 ヘルニア⾨ 左⿏径靱帯の背側から腸管が逸脱している

  • #32.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #33.

    症例3 89歳⼥性 1年ほど前から左⿏径部膨隆を⾃覚していた。 突然腹痛を⾃覚し救急受診した。 【既往歴】 ⼤腸癌術後、喘息、COPDなど →⼩腸は5cm程度脱出していた。うっ⾎していたが蠕動運動 が⾒られたため、腸管切除はせずに還納した。

  • #34.

    症例4

  • #35.

    症例4 36歳男性 ⼼窩部痛、吐き気を⾃覚し救急受診した。

  • #36.

    捻転部位 左胃動脈 胃⼤網動脈 胃軸捻転により左胃動脈、⼤網動脈が拡張している

  • #37.

    症例4 診断︓胃軸捻転症 胃の全体または⼀部が⽣理的な範囲を超えて病的に捻転し、胃の通過 障害から胃拡張をきたす疾患である。 急性胃軸捻転症の28%に胃粘膜壊死を合併するという報告がある。 ・保存的療法 胃管による減圧、内視鏡的整復 ・⼿術療法 捻転整復、胃固定、胃切除、解剖学的異常の整復 ⽇外科系連会誌 44(2):217–222, 2019成⼈特発性胃軸捻転症の1例

  • #38.

    症例4 A.臓器軸性(⻑軸性) 噴⾨部と幽⾨部を結ぶ⻑軸に対して直⾓ に捻転する。 B.間膜軸性(短軸性) ⼩弯中央と⼤弯中央を結ぶ短軸に対して 直⾓に捻転する。 逆α型の形態を⽰す。 疾患・病態にせまる画像診断 腹部救急疾患

  • #39.

    症例4 ※推測 左胃動脈 胃⼤網動脈

  • #40.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #41.

    症例4 36歳男性 ⼼窩部痛、吐き気を⾃覚し救急受診した。 ブスコパンを投与され疼痛は軽快した。 2時間後胃軸捻転を指摘され再度腹部CTを施⾏した。

  • #42.

    胃軸捻転により左胃動脈、⼤網動脈が拡張している

  • #43.

    症例4 36歳男性 ⼼窩部痛、吐き気を⾃覚し救急受診した。 ブスコパンを投与され疼痛は軽快した。 2時間後胃軸捻転を指摘され再度、腹部CTを施⾏した。 →⾃然に整復された。

  • #44.

    症例5

  • #45.

    症例5 90歳男性 20〇〇年1⽉17⽇発熱、呼吸苦、腰痛で救急受診した。 【既往歴】 ⼼不全(コントロール中)、⼼筋梗塞、前⽴腺癌 肺癌、胃潰瘍(胃切除後)など →⼼不全、肺炎で⼊院加療となった。

  • #46.

    症例5 ・⼊院後の経過 1⽉23⽇ ⼼不全コントロールのため利尿薬を継続 1⽉28⽇ 胆嚢炎発症しSBT/CPZで軽快 2⽉ 7⽇ 胆嚢炎再発しERBD tube留置 2⽉12⽇ EST+総胆管結⽯除去 3⽉上旬から軟便、⽔様便が出現し持続 ⾷欲低下、⼝渇感もみられた 3⽉21⽇ 38度台の発熱 3⽉25⽇ 多量の泥上便、右上腹部痛出現

  • #48.

    SMV ⾨脈 左腎静脈 壊死した腸管からSMV、⾨脈、左腎静脈へガスが迷⼊している

  • #49.

    ⾨脈内ガスが⾎流にのって肝辺縁まで達している

  • #50.

    症例5 診断︓NOMI(⾮閉塞性腸間膜虚⾎) ⾎管閉塞によらない⾎流低下による腸管虚⾎/壊死 ・危険因⼦ c ⼼不全、敗⾎症、透析、膵炎、薬剤 (ジギタリス、カテコラミン、利尿薬) 全⾝の循環⾎液量↓ 重要臓器への⾎流を維持するために 腸間膜動脈末梢が攣縮する ⼼臓・⼤⾎管 画像診断勘ドコロ/ESPRESSO腹部画像診断

  • #51.

    1月18日の単純CT SMV径がSMA径よりも⼩さい 脱⽔や上腸間膜動脈閉塞症 では動脈⾎流が落ち、静脈 が細くなる

  • #52.

    症例5 ・⼊院後の経過 1⽉23⽇ ⼼不全コントロールのため利尿薬を継続 1⽉28⽇ 胆嚢炎発症しSBT/CPZで軽快 2⽉ 7⽇ 胆嚢炎再発しERBD tube留置 2⽉12⽇ EST+総胆管結⽯除去 3⽉上旬から軟便、⽔様便が出現し持続 ⾷欲低下、⼝渇感もみられた 3⽉21⽇ 38度台の発熱 3⽉25⽇ 多量の泥上便、右上腹部痛出現

  • #53.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #54.

    症例5 90歳男性 20〇〇年1⽉17⽇発熱、呼吸苦、腰痛で救急受診 【既往歴】 ⼼不全(コントロール中)、⼼筋梗塞、前⽴腺癌 肺癌、胃潰瘍(胃切除後)など →腸管壊死を疑われたが全⾝状態、既往から⼿術は困難

  • #55.

    ⽬次 01 ⾒落としを防ぐための読影のポイント 02 急性腹症の読影 03 実際の症例 04 Take Home Message

  • #56.

    Take Home Message ・読影のポイントを意識する ・⼀⾒「軽症」にみえても緊急度が⾼いことがある ・画像検査をしたら緊急性のある疾患をまず除外する

急性腹症の画像診断

  • 内科

  • 消化器内科

  • 放射線科

  • 急性腹症
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  • 大腿ヘルニア
  • nomi
  • 内ヘルニア
  • 絞扼性腸閉塞

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投稿者プロフィール
松野舞衣

市立伊丹病院

概要

実際の症例を通して、急性腹症の画像診断において気をつけるべき点を紹介しました。

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医/専門医

テキスト全文

  • #1.

    急性腹症の画像診断

  • #2.

    ⽬次 01 ⾒落としを防ぐための読影のポイント 02 急性腹症の読影 03 実際の症例 04 Take Home Message

  • #3.

    01 ⾒落としを防ぐための読影のポイント 各臓器を読影する順番を決めて端から端まで観察する 肝臓→胆嚢→総胆管→膵臓→脾臓→副腎→腎臓→上部消化管→下部消化管 →血管→骨格→軟部組織の順に読影 水平断だけでなく冠状断、矢状断もみる 過去の画像と比べる 自覚症状、経過、既往歴、血液所見なども確認する

  • #4.

    ⽬次 01 ⾒落としを防ぐための読影のポイント 02 急性腹症の読影 03 実際の症例 04 Take Home Message

  • #5.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #6.

    ⽬次 01 ⾒落としを防ぐための読影のポイント 02 急性腹症の読影 03 実際の症例 04 Take Home Message

  • #7.

    症例1

  • #8.

    02 症例1 88歳⼥性 ⼣⾷後、急に上腹部痛が出現し救急要請した。搬送先での⾎ 液所⾒ではCRP、⽩⾎球数は基準値内だった。鎮痛薬を投与 したが全く効果がなかった。ECGでST低下を認めたため当 院に搬送された。 【既往歴】 ⾻粗鬆症

  • #9.

    SMA MCA MCA起枝部直下でSMAに造影⽋損を認める

  • #10.

    SMA 単純CTで⾎栓は⾼吸収を呈している

  • #11.

    回盲部、⼩腸の壁の造影効果は減弱している

  • #12.

    両腎に造影⽋損を多数認める

  • #13.

    症例1 診断︓上腸間膜動脈閉塞症 SMA閉塞には塞栓によるものと⾎栓によるものがある。いずれも腸 管虚⾎の原因となり、死亡率が55〜90%と⾼く、たとえ⼿術で救命 できたとしても⼤量の腸管切除が必要となる。 突然の腹痛で発症し、初期には腹部所⾒に乏しい。腹膜刺激症状の出 現は重症化、不可逆的な腸管壊死の進⾏を⽰唆する。 画像診断別冊key bookシリーズ すぐ役立つ救急のCT•MRI/内科学第12版

  • #14.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #15.

    症例1 発症から5時間後、⾎管内治療を施⾏した。 SMAは第2空腸動脈分岐部レベルで本幹が途絶していた。 ウロナーゼで⾎栓溶解を⾏った後、SMA本幹で⾎栓吸引を⾏いMCAの 閉塞は免れた。 MCA

  • #16.

    02 症例1 ⾎管内治療→開腹⼩腸広範切除術、回盲部切除術 ・⼿術レポート トライツ靭帯から120cmまでの空腸は漿膜⾯まで⾊調良好であったが、それより 肛⾨側は淡紫⾊であり壁は菲薄化していた。上⾏結腸近位まで同上の所⾒で、上 ⾏結腸中程から肛⾨側にかけては⾊調良好であった。 切除⻑) ⼩腸︓270cm 結腸︓23cm

  • #17.

    02 症例1 88歳⼥性 ⼣⾷後急に上腹部痛が出現し救急要請した。搬送先での⾎液 所⾒ではCRP、⽩⾎球数は基準値内だった。鎮痛薬を投与し たが全く効果がなかった。ECGでST低下を認めたため当院 に搬送された。 →⾎管内治療、腸管切除術を施⾏。 翌⽇試験開腹し腸管壊死がないことを確認した。

  • #18.

    症例2

  • #19.

    02 症例2 91歳男性 突然、右下腹部痛が出現し救急受診した。⾎液所⾒に異常を 認めず腹痛は軽快し⼀旦帰宅した。翌⽇、腹部CTで異常を 指摘され再度受診した。腹痛は持続していた。 【既往歴】 胃がん(術後)、⼼房細動、DVT、⾍垂炎(保存的加療)など

  • #20.

    SMV 空腸静脈 SMVは空腸枝レベルで狭窄している

  • #21.

    ⼩腸間膜が捻転し渦巻き様所⾒(whirl sign)を認める 腸管の造影効果は保たれているが腸間膜のうっ⾎が⽣じている

  • #22.

    02 症例2 診断︓Petersen ヘルニア Roux-en-Y再建後の術後合併症。 挙上空腸と横⾏結腸間膜に間隙(Petersenʼs defect)が⽣じ内ヘルニアを発症する。 Petersenʼs defect 絞扼性腸閉塞のほか、輸⼊脚閉塞を来たして ⼗⼆指腸断端破裂や重症膵炎を発症する可能 性があるため速やかな外科治療が必要となる。 幽⾨側胃切除 Roux-en-Y 再建における内ヘルニア ⽇消外会誌 43巻 9 号

  • #23.

    症例2 02 絞扼性腸閉塞における循環障害の経過 ① ② ③ ④ ①正常の状態では動脈より静脈が太い。 ②狭窄部で圧の低い静脈のうっ滞が⽣じ、その後、腸間膜や腸管の浮腫が⽣じる。 ③浮腫が進み絞扼部の締め付けが増悪する。その結果、動脈⾎流も低下し腸管への ⾎流が途絶える。 ④⾎流途絶から時間が経過し、消化管は壊死に⾄る。 レジデントのための腹部画像教室 ⼩児急性腹症の⾒⽅

  • #24.

    症例2 02 盲腸捻転 卵管捻転 ⼤網捻転 Whirl sign ⾎管や脂肪、腸管が回転して渦巻状にみえる所⾒。 卵巣腫瘍の画像診断/中枢神経系 臨床画像 20222 vol.38 No.7 7/https://radiopaedia.org/cases/omental-torsion-6

  • #25.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #26.

    02 症例2 91歳男性 急に右側腹部痛が出現し救急受診した。⾎液所⾒に異常を認 めず腹痛は軽快し⼀旦帰宅した。翌⽇、腹部CTで異常を指 摘され再度受診した。腹痛は持続していた。 【既往歴】 胃がん(術後)、⼼房細動、DVT、⾍垂炎(保存的加療)など →術中、腸管に虚⾎を疑う所⾒はみられなかった。 整復しヘルニア⾨を閉鎖した。

  • #27.

    症例3

  • #28.

    症例3 89歳⼥性 1年ほど前から左⿏径部の膨隆を⾃覚していた。 突然腹痛を⾃覚し救急受診した。 【既往歴】 ⼤腸癌(術後)、喘息、COPDなど

  • #29.

    02 症例3 診断︓⼤腿ヘルニア嵌頓 腹部臓器が⼤腿管を通り、伏在裂孔へ脱出する外ヘルニア。 出産や加齢による筋膜の脆弱化が主要因と⾔われ、⾼齢⼥性に多い。 ヘルニア⾨が狭⼩のため嵌頓しやすい。 ⿏径ヘルニアとの画像所⾒の違い ・⿏径靱帯の背側に脱出する ・⼤腿静脈、⼤伏在静脈に沿って脱出する ・⼤伏在静脈を圧排し変形させる ①内⿏径ヘルニア②外⿏径ヘルニア③⼤腿ヘルニア 画像診断別冊KEY BOOKシリーズわかる︕役⽴つ︕消化管の画像診断/ESPRESSO腹部画像診断

  • #30.

    ⼤腿静脈 ⼤伏在静脈 恥⾻筋の外側、⼤腿静脈の内側に脱出した腸管を認める ⼤伏在静脈を圧排している

  • #31.

    腹側 ⿏径靱帯 背側 ヘルニア⾨ 左⿏径靱帯の背側から腸管が逸脱している

  • #32.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #33.

    症例3 89歳⼥性 1年ほど前から左⿏径部膨隆を⾃覚していた。 突然腹痛を⾃覚し救急受診した。 【既往歴】 ⼤腸癌術後、喘息、COPDなど →⼩腸は5cm程度脱出していた。うっ⾎していたが蠕動運動 が⾒られたため、腸管切除はせずに還納した。

  • #34.

    症例4

  • #35.

    症例4 36歳男性 ⼼窩部痛、吐き気を⾃覚し救急受診した。

  • #36.

    捻転部位 左胃動脈 胃⼤網動脈 胃軸捻転により左胃動脈、⼤網動脈が拡張している

  • #37.

    症例4 診断︓胃軸捻転症 胃の全体または⼀部が⽣理的な範囲を超えて病的に捻転し、胃の通過 障害から胃拡張をきたす疾患である。 急性胃軸捻転症の28%に胃粘膜壊死を合併するという報告がある。 ・保存的療法 胃管による減圧、内視鏡的整復 ・⼿術療法 捻転整復、胃固定、胃切除、解剖学的異常の整復 ⽇外科系連会誌 44(2):217–222, 2019成⼈特発性胃軸捻転症の1例

  • #38.

    症例4 A.臓器軸性(⻑軸性) 噴⾨部と幽⾨部を結ぶ⻑軸に対して直⾓ に捻転する。 B.間膜軸性(短軸性) ⼩弯中央と⼤弯中央を結ぶ短軸に対して 直⾓に捻転する。 逆α型の形態を⽰す。 疾患・病態にせまる画像診断 腹部救急疾患

  • #39.

    症例4 ※推測 左胃動脈 胃⼤網動脈

  • #40.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #41.

    症例4 36歳男性 ⼼窩部痛、吐き気を⾃覚し救急受診した。 ブスコパンを投与され疼痛は軽快した。 2時間後胃軸捻転を指摘され再度腹部CTを施⾏した。

  • #42.

    胃軸捻転により左胃動脈、⼤網動脈が拡張している

  • #43.

    症例4 36歳男性 ⼼窩部痛、吐き気を⾃覚し救急受診した。 ブスコパンを投与され疼痛は軽快した。 2時間後胃軸捻転を指摘され再度、腹部CTを施⾏した。 →⾃然に整復された。

  • #44.

    症例5

  • #45.

    症例5 90歳男性 20〇〇年1⽉17⽇発熱、呼吸苦、腰痛で救急受診した。 【既往歴】 ⼼不全(コントロール中)、⼼筋梗塞、前⽴腺癌 肺癌、胃潰瘍(胃切除後)など →⼼不全、肺炎で⼊院加療となった。

  • #46.

    症例5 ・⼊院後の経過 1⽉23⽇ ⼼不全コントロールのため利尿薬を継続 1⽉28⽇ 胆嚢炎発症しSBT/CPZで軽快 2⽉ 7⽇ 胆嚢炎再発しERBD tube留置 2⽉12⽇ EST+総胆管結⽯除去 3⽉上旬から軟便、⽔様便が出現し持続 ⾷欲低下、⼝渇感もみられた 3⽉21⽇ 38度台の発熱 3⽉25⽇ 多量の泥上便、右上腹部痛出現

  • #48.

    SMV ⾨脈 左腎静脈 壊死した腸管からSMV、⾨脈、左腎静脈へガスが迷⼊している

  • #49.

    ⾨脈内ガスが⾎流にのって肝辺縁まで達している

  • #50.

    症例5 診断︓NOMI(⾮閉塞性腸間膜虚⾎) ⾎管閉塞によらない⾎流低下による腸管虚⾎/壊死 ・危険因⼦ c ⼼不全、敗⾎症、透析、膵炎、薬剤 (ジギタリス、カテコラミン、利尿薬) 全⾝の循環⾎液量↓ 重要臓器への⾎流を維持するために 腸間膜動脈末梢が攣縮する ⼼臓・⼤⾎管 画像診断勘ドコロ/ESPRESSO腹部画像診断

  • #51.

    1月18日の単純CT SMV径がSMA径よりも⼩さい 脱⽔や上腸間膜動脈閉塞症 では動脈⾎流が落ち、静脈 が細くなる

  • #52.

    症例5 ・⼊院後の経過 1⽉23⽇ ⼼不全コントロールのため利尿薬を継続 1⽉28⽇ 胆嚢炎発症しSBT/CPZで軽快 2⽉ 7⽇ 胆嚢炎再発しERBD tube留置 2⽉12⽇ EST+総胆管結⽯除去 3⽉上旬から軟便、⽔様便が出現し持続 ⾷欲低下、⼝渇感もみられた 3⽉21⽇ 38度台の発熱 3⽉25⽇ 多量の泥上便、右上腹部痛出現

  • #53.

    02 急性腹症の読影 緊急度で分類する急性腹症 緊急⼿術 ・捻転 ・動脈閉塞 ・ヘルニア(⾎流障害あり)・虚⾎ ・穿孔(特に下部消化管) ・異所性妊娠 待機的⼿術 ・穿孔(上部消化管※) ・⾨脈⾎栓 ・炎症 ・⾨脈⾎栓 保存的治療 ・ヘルニア(⾎流障害なし)・癌 ※待機するとしても半⽇程度

  • #54.

    症例5 90歳男性 20〇〇年1⽉17⽇発熱、呼吸苦、腰痛で救急受診 【既往歴】 ⼼不全(コントロール中)、⼼筋梗塞、前⽴腺癌 肺癌、胃潰瘍(胃切除後)など →腸管壊死を疑われたが全⾝状態、既往から⼿術は困難

  • #55.

    ⽬次 01 ⾒落としを防ぐための読影のポイント 02 急性腹症の読影 03 実際の症例 04 Take Home Message

  • #56.

    Take Home Message ・読影のポイントを意識する ・⼀⾒「軽症」にみえても緊急度が⾼いことがある ・画像検査をしたら緊急性のある疾患をまず除外する

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