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まだだ まだ終わらんよ ~労作性狭心症の現在(いま)~

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Genjoh@循環器内科

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どうする?若年性脳梗塞~鑑別と検査~

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テキスト全文

  • #1.

    治療を、あきらめない。 ~包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)の診療~ Dr.Genjoh@循環器内科 @DrGenjoh

  • #2.

    Take home message ① ABIの低下や下肢跛行症状は認めない場合がある! 創部所見、画像所見、Sppなどから総合的に診断すべし。 ② 下肢切断?カテーテル治療?バイパス治療?保存的治療? リスクや重症度、生命予後から決まる治療方針。 ③ 生命予後が高度に蝕まれる悪性疾患。未病時点での予防が最も重要。

  • #3.

    序 論 CLTI(chronic limb-threatening ischemia; 包括的高度慢性下肢虚血)とは? 急性下肢虚血 (ALI) CLTIの定義: 下記のいずれかの臨床像を呈する虚血肢。 80 末梢動脈疾患 (PAD) 下 肢 病 変 動脈硬化性 下肢閉塞性 動脈性疾患 (LEAD) 包括的高度 慢性下肢虚血 (CLTI) ① 客観的に高度虚血(WIfI分類 I[虚血]3)が 証明された安静時疼痛 超重要 ② 2週間以上継続する下肢潰瘍 後述 ③ 下腿または足部の壊疽 本稿ではここに絞って解説します。 以降、基本的に日本循環器学会 / 日本血管外科学会合同ガイドライン 2022 年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン に準拠。

  • #4.

    診 断 CLTIの症状 持続する足部の安静時疼痛 虚血に伴う 治癒しない足部創(壊疽/潰瘍) 足部創は 尖端、隙間に 出来やすい。 間歇性跛行 (歩行時の下肢の痛み、痺れ) 無症候性に進行する症例に注意! CLTI(壊疽、潰瘍等の重度虚血)の半数は先行する間歇性跛行を呈さない。 自立歩行不能、糖尿病、維持透析 症例は特に警戒すべき。

  • #5.

    診 断 CLI(重症下肢虚血)からCLTIへの変化 旧来 CLI : Fontaine分類 III度以上 / Rutherford小分類4以上 + 下肢虚血の証拠 (1954年) (1986年) 「跛行や安静時疼痛が先行し、潰瘍壊疽に進行するイメージ」 現実には無症候のまま潰瘍壊疽が 出現することがある。(特に糖尿病、透析) 問題点 「特に潰瘍壊疽まで進行した場合、重症度別の治療方針が不明瞭」 ① 客観的に高度虚血(WIfI分類 I[虚血]3)が 現在 CTLI : 証明された安静時疼痛 ② 2週間以上継続する下肢潰瘍 のうち、1つ以上 ③ 下腿または足部の壊疽 改善点 「現時点で、安静時疼痛+虚血 / 潰瘍 /壊疽 があること、と評価を明瞭化した」 「WIfI分類による重症度評価が可能となり、重症度別に考慮すべき治療方針が示された」

  • #6.

    診 断 CLTIの診断 臨床所見 + 機能的血流評価 = WIfI分類 下肢動脈エコー 造影CT 画像検査 単純/造影MRI 血管造影 WIfI分類で診断、重症度評価、予後評価を行う。 →血行再建に適している血管であるか否かを画像検査で調べる。

  • #7.

    診 断 WIFI分類とは? 2014年にアメリカ外科学会が発表した CLTIの重症度を3項目に分けて評価する仕組みのこと。 W : Wound 創 I : Ischemia 虚血 fI : foot Infection 足部感染 = WIfI

  • #8.

    診 断 W : Wound : 創 グレード 潰瘍 0 1 (小組織欠損) 2 (大組織欠損) 3 (広範組織欠損) 壊死 治療イメージ 潰瘍、壊死それぞれのグレード から最終的なWグレードを決定する。 なし なし 小さく、浅い なし (あっても末節骨まで) 足趾2本以下の切除 が必要 前足~中足部:深い (骨、関節、腱に及ぶ) または、踵部で浅い 足趾のみ 足趾3本以上の切除 ~中足骨切断術 が必要 前足~中足部: 広域で深い または、踵部の全層 前足~中足部の広域 または、踵内の全層 それ以上 判断に迷う場合は治療イメージに より合致するグレードとする。 前足部 中足部 踵部 踵は重症度が高い。 壊死だと潰瘍+1のイメージ。

  • #9.

    診 断 I : Ischemia : 虚血 グレード ABI 足首血圧(AP) [mmHg] 0 ≧0.80 >100 1 0.60~0.79 70~100 足趾血圧(TP) [mmHg] またはTcPO2 Spp [mmHg] (日本仕様) ≧60 ≧50 40~59 40~49 日本ではSpp(皮膚灌流圧)が主力。 虚血診断能も高い。 潰瘍治癒予測指標や 血行再建後の評価にも有用である。 Sppにも弱点がある。 2 0.40~0.59 50~70 30~39 30~39 ① 手間がかかる。 (気軽にはオーダー出来ない。) ② 血管内volumeの多寡により 計測値が変化する。 3 <0.40 <50 石灰化した血管や、足首以遠の血流評価としてはABIの過信は禁物 <30 <30 ③ 足に圧をかけるので疼痛が強いと 測定出来ないことがある。

  • #10.

    診 断 fI : foot Infection : 足部感染 SIRS グレード 臨床所見 0 感染兆候なし (-) 1 発赤<2cmの 局所感染兆候 (-) 2 発赤>2cmの 局所感染兆候 または 深部感染に伴う全身炎症 (-) 3 グレード2 + SIRS (+) (systemic inflammatory response syndrome)

  • #11.

    診 断 CLTIの診断(画像検査) 非侵襲的検査であり、血行再建後のフォローアップとしても用いやすい。 下肢動脈エコー : 一見して全体像を掴みにくい点や、特に下腿の狭小血管においては 検査の正確性が検査者の技量に依存しやすい点は難点。 細い下腿動脈ですら感度97%、特異度99%と非常に正確である。 造影CT : MIPやVRなど3D画像で血管全体のイメージが得やすく術前検査に適する。 (CTAngio) 腎不全、造影剤アレルギー症例では使用しにくい事がネック。 非造影でも感度、特異度ともに90%程度あり正確度は高い。 単純/造影MRA : 3D化も可能で、造影剤が使用しにくい症例での術前検査として有用。 (MRAngio) 一方で石灰化評価はしづらく、空間分解能もCTには劣る。 血管造影 狭小血管、閉塞病変であることが多い下腿~足部評価では特に重要。 : DSA(デジタルサブトラクション)撮影が有用だが、体動に極めて弱い。

  • #12.

    治 療 CLTIの予後から考える治療の意義 CLTI患者で、血管内治療(EVT)を 受けた群の2年以内の死亡率 2年のうちに41%が死亡した。 生命予後は極めて不良である。 ADL低下 または 認知機能低下CLTI患者の 血行再建群、非血行再建群の1年生存率 いずれも50%強で、半数は死亡する。 血行再建による生命予後改善効果はない。 (ただし血行再建群は1年後のQOL改善を認めた) CLTI患者で、外科的血行再建術群と EVT群における3年後の大切断回避生存率 いずれも52%。血行再建後で仮に3年間 生存出来たとしても半数は下肢の大切断に至る。 CLTI患者は極めて予後不良である。 CLTI治療の目的はあくまで大切断の回避および生命予後の改善であるが、困難であることが多い。 そもそも血行再建を行うべきか、一次切断(最初から切断術)を行うべきか、 疼痛緩和や感染管理などのいわゆる緩和的治療を行うべきか深慮する必要がある。

  • #13.

    治 療 CLTIの治療フローチャート(PLANコンセプト) CLTI患者 WifI CS=1 WifI CS評価 一次下肢切断 血行再建せず 最初から切断 複雑! 創傷ケア WifI CS≧2 No 対症療法 創傷ケア 血行再建 不可能 高リスク患者 下肢救済可能? YES 血行再建リスク 2年生存率予測 血行再建の 有用性考慮 血行再建の解剖学的ステージング(GLASS) 血行再建可能 標準リスク患者 自己静脈グラフト評価(エコー) 可能なら血管内治療 血管内治療 または 外科手術 つまり WIfI clinical stage(Wifi CS)≧2で、 EVT/ope後に結局大切断になるリスクが低くて、 EVT/opeに伴うリスクが低くて、 2年生存が期待出来て、 EVT/opeをやる意義を見いだせる症例 なら血行再建を考えましょう。 血行再建をするなら 血管の解剖学的評価と 患者の手術リスクと 自己静脈が使えるかを 評価してEVT/opeを選びましょう。 まとめてもやっぱり複雑

  • #14.

    治 療 WIfI clinical stage(WIfI CS)って?下肢救済可能って? I-0 I-1 I-2 I-3 W-0 1 1 2 3 1 2 3 4 2 2 3 4 2 3 3 4 W-1 1 1 2 3 1 2 3 4 2 3 4 4 3 3 4 4 W-2 2 2 3 4 3 3 4 4 3 4 4 4 4 4 4 4 W-3 3 3 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 fI-0 fI-1 fI-2 fI-3 fI-0 fI-1 fI-2 fI-3 fI-0 fI-1 fI-2 fI-3 fI-0 fI-1 fI-2 fI-3 WIfI分類の W・I・fIの3つ それぞれの 重症度評価の 組み合わせから WIfI Clinical stage を決定出来る。 W : Wound I : Ischemia fI : foot Infection 下肢救済可能か否かはどうやって判断するの? 一つの基準としてですが、1年後大切断リスクをWIfI CSから予測できます。 Clinical Stage 1:超低リスク Clinical Stage 2:低リスク Clinical Stage 3:中リスク Clinical Stage 4:高リスク CS5:下肢救済不可能が上の表に無いですよ?全部救済可能なの? CS5 = (CS3 or CS4) + GLASS P2 modifierです。 Clinical Stage 5:下肢救済不可能 足関節より末梢(IM領域)の血管状態(GLASS分類)。 P0:pedal arch(足底部を走る血管)〇、足趾血管〇 P1:pedal arch△~×、足趾血管〇 P2:pedal arch×、足趾血管×

  • #15.

    治 療 血行再建リスク / 2年生存率予測 血行再建リスクや2年生存率予測って、どうやって判断するの? 高齢、腎機能低下、冠動脈病変、うっ血性心不全、糖尿病、喫煙、脳血管障害、 組織欠損、BMI、認知症、ADLなどのリスク因子から計算を行います。 周術期死亡<5%、2年生存率>50%なら標準リスク群で、EVT/opeから最適な治療法を選びます。 周術期死亡≧5%、2年生存率≦50%なら高リスク群で、血行再建の有用性の有無をよく考慮した上で、 必要であればEVTを考慮します。 具体的な計算方法がわからないんですけど…。 計算アプリがあります。日本の現状をより反映しているのは日本血管外科学会 公表のJCLIMBリスクカリキュレーターアプリでしょう。 https://www.jsvs.org/ja/enquete/post_5/ (+日本語表記なので使いやすい。) FINNVASC score、modified PREVENT III score、BASIL score、CRAB、VQIなど、scoringの方法は複数提唱されている。

  • #16.

    治 療 血行再建の有用性 血行再建の有用性って、どうやって判断するの? 学術的にはWIfI I と WIfI CSの組み合わせで評価出来ます。 臨床的にはそこに患者背景を加味する必要があります。 3 有益 WIfI CS + WIfI I = WIfI W/I/fI + WIfI I WIfI Iが2回も算定されるので、WIfI Iの主軸となるSppは特に重要。 2 WIfI I 1 無益 臨床的には「血行再建をすべきか否か」を患者背景から考え、 血行再建する際には本人・家族に十分なコンセンサスを得る必要がある。 年齢、認知機能、ADL、社会的背景、積極的治療の希望の有無等。 0 1 2 3 4 WIfI CS 潰瘍/壊死や感染がある(WIfI CS高)からといって 虚血が証明されない(WIfI I低) のに血行再建しても仕方が無いよね、ということ。 特に 基本的に生命予後改善効果は期待出来ないこと 再狭窄、再閉塞リスクは高く、手術が成功しても大切断の可能性があること に関しては必ず説明し、理解を得ておく必要がある。 往々にして、「癌に対する積極的加療をするか否か」に似た状況になりうる。

  • #17.

    治 療 血管の解剖学的評価(GLASS分類 FP/IP領域) ・軽度ないし有意でないSFA病変(狭窄度<50%) S F A ・軽度あるいは有意でない治療対象動脈経路の病変 0 P O P A 1 0 TP trunk ・SFA総病変長が<1/3(<10cm) ・SFA起始部を含まない単独のSFA限局性閉塞(<5cm) ・軽度あるいは有意でない膝窩動脈病変 PTA ATA 2 ・SFA総病変長が1/3~2/3(10~20cm) ・SFA起始部を含まないSFA総病変長<1/3(<10cm) ・下腿3分岐(ATA+pero+PTA)に及ばない限局性PopA 狭窄 (<2cm) 3 ・SFA総病変長が>2/3(>20cm) ・SFA起始部からのSFA閉塞(<20cm) またはSFA起始部を含まないSFA閉塞(10~20cm) ・下腿3分枝に及ばない短区間のPopA狭窄 (2~5cm) SFA: 浅大腿動脈 Poptail.A: 膝窩動脈 4 複雑すぎる! ・SFA総閉塞長が>20cm ・PopA病変>5cmまたは下腿3分岐に及ぶPopA狭窄 ・PopA閉塞 FP領域 : 大腿~膝窩動脈領域 Peroneal.A ATA:前脛骨動脈 TP trunk: 脛骨腓骨動脈幹 ・下腿動脈の限局性狭窄<3cm 1 2 3 Peroneal.A: 腓骨動脈 PTA:後脛骨動脈 4 ・狭窄病変長が治療対象動脈全長の<1/3 ・限局性閉塞(<3cm) ・下腿動脈起始部やTP trunkを含まない病変 ・狭窄病変長が治療対象動脈全長の<2/3 ・全長の<1/3の閉塞病変(下腿動脈起始部を含んでよいが TP trunkは含まない病変) ・びまん性狭窄病変長が動脈全長の>2/3 ・閉塞病変長が全長の>1/3 ・TP trunkの閉塞(ATAが治療対象でない場合) IP領域 : 膝下動脈領域

  • #18.

    治 療 GLASS stageと、標準リスク患者の初回血行再建の決定方法 opeが良い ope / EVT 甲乙つけがたい EVTが良い 血行再建に適さない FP grade 4 III III III III III 3 II II II III III 2 I II II II III 1 I I II II III I I II III 1 2 3 4 0 0 III GLASS stage II I IP grade 1 2 3 4 WIfI CS GLASS分類の FP領域の点数 IP領域の点数 を組み合わせて GLASS stage I~IIIを決定する。 GLASS stage WIfI CS ・ 重症度が低ければそもそも 血行再建の適応ではない。 を組み合わせて 血行再建方法を決定する。 ・ 解剖学的に血管の状態が 良ければEVT、 悪ければope。 上記は自家静脈でのバイパスが可能で、標準リスク患者で、初回血行再建である、と条件が良い場合の一例に過ぎない。

  • #19.

    治 療 状況に応じたEVT/opeの選択(総論) 自家静脈でのバイパスが可能で、標準リスク患者で、初回血行再建である場合の血行再建方法の 決め方はわかりました。それ以外の状況ではどう決めるんですか? 全身状態と予想される生命予後、グラフト使用可能な自家静脈の有無、創傷及び解剖学的重症度、 病変長や病変の複雑性、病変の部位、などからEVT/opeのいずれがよいか個々の症例ごとに検討します。 EVTが望ましい opeが望ましい 周術期死亡<5%、2年生存率>50%:標準リスク群 周術期死亡≧5%、2年生存率≦50%:高リスク群 動脈病変の複雑性が低い:GLASS stageが低い + 石灰化等が少ない 動脈病変の複雑性が高い:GLASS stageが高い + 石灰化等が多い 創傷範囲が小さい:WIfI stageが低い 創傷範囲が大きい:WIfI stageが高い 使用可能な自家静脈グラフトがない 使用可能な自家静脈グラフトがある 動脈病 糖尿病、腎不全、貧血、過去の心血管リスク治療中断歴 対側の大切断歴 WIfI W3、WIfI fI 2or3、同側の小切断歴、 CLTI発症後の血行再建歴あり、両側CLTI

  • #20.

    治 療 総大腿動脈 / 大腿膝窩動脈におけるEVT/opeの選択 総大腿動脈 ・孤立性の総大腿動脈病変に対しては、外科的内膜摘除術を行う。 ・大動脈/外腸骨動脈から総大腿動脈に及ぶ病変に対しては、ハイブリッド治療を行う。 (総大腿動脈への外科的内膜摘除術 +大動脈/外腸骨動脈へのEVTを行う。) 大腿膝窩動脈 EVTが望ましい opeが望ましい <25cmの病変 ≧25cmの病変で、良い自家静脈がない、または全身リスクが高い ≧25cmの病変で、良い自家静脈があり、かつ全身リスクが高くない ・膝窩動脈へのバイパスは可能な限り自家静脈グラフトを 用いたバイパスを行う。 ・膝下膝窩動脈へのバイパスで、良い自家静脈がない場合、 人工血管グラフトの使用を考慮しても良い。

  • #21.

    治 療 下腿足部動脈におけるEVT/opeの選択 下腿足部動脈 EVTが望ましい 2年以上の生命予後が期待できない、または 使用可能な自家静脈がない 重症度が高く、創傷治癒遅延が予想されるCLTIに アンギオサム(解剖学的に創傷部に血流を送っている と考えられる血管)に対する選択的EVTを考慮 してもよい 重症度が高く、創傷治癒遅延が予想される、または 来しているCLTIに対して、複数の膝下動脈病変への EVTを考慮してもよい 創傷治癒遅延を来しているCLTIの足関節より末梢の 病変に対して、EVTを考慮してもよい ope困難であり、しかし潰瘍/壊死/感染のコントロールのために EVT施行が必要となる事はしばしば起こりうる。 opeが望ましい 2年以上の生命予後が期待され、使用可能な自家静脈がある ・下腿動脈へのバイパスは可能な限り大伏在静脈を用い、 不可能であれば他の下肢/上肢静脈を用いる。 ・バイパス術において、中枢側の吻合部は体血圧との圧較差が 10mmである最遠位部動脈で行う。 ・バイパス術において、末梢吻合部は足部動脈までの間に 閉塞性病変がない下腿動脈、あるいは足部動脈において行う。

  • #22.

    結 語 CLTIにおいて最も重要な事は 前述の如く、CLTI罹患後の予後は極めて悪い。 治療を諦めずに必要に応じて血行再建も行うが、 その効果は限定的と言わざるを得ない。 故に、CLTIに於いて最も重要な事は 著者のLEADのスライドに リスク管理について詳記が あるので、そちらを参照 ・未病段階における動脈硬化リスク因子の管理 ・早期発見に努め、重症度が進行する前に治療介入すること である。

  • #23.

    Take home message ① ABIの低下や下肢跛行症状は認めない場合がある! 創部所見、画像所見、Sppなどから総合的に診断すべし。 ② 下肢切断?カテーテル治療?バイパス治療?保存的治療? リスクや重症度、生命予後から決まる治療方針。 ③ 生命予後が高度に蝕まれる悪性疾患。未病時点での予防が最も重要。

治療を、あきらめない。~包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)の診療~

  • 循環器内科

  • 初期研修医

  • 血行再建
  • 虚血
  • CLI
  • WIFI分類
  • 重症下肢虚血
  • 包括的高度慢性下肢虚血
  • EVT/ope
  • CLTI

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Genjoh@循環器内科

総合病院

概要

包括的高度慢性下肢虚血は生命予後が高度に蝕まれる悪性疾患です。重要な未病時点での予防、創部所見、画像所見、Sppなどからの総合的な診断、治療方針の選択についてまとめたスライドです。

◎目次

【Take home message】

【序論】

・CLTI(chronic limb-threatening ischemia;包括的高度慢性下肢虚血)とは?

【診断】

・CLTIの症状

・CLI(重症下肢虚血)からCLTIへの変化

・CLTIの診断

・WIFI分類とは?

・W : Wound : 創

・I : Ischemia : 虚血

・fI : foot Infection : 足部感染

・CLTIの診断(画像検査)

【治療】

・CLTIの予後から考える治療の意義

・CLTIの治療フローチャート(PLANコンセプト)

・WIfI clinical stage(WIfI CS)って?下肢救済可能って?

・血行再建リスク / 2年生存率予測

・血行再建の有用性

・血管の解剖学的評価(GLASS分類 FP/IP領域)

・GLASS stageと、標準リスク患者の初回血行再建の決定方法

・状況に応じたEVT/opeの選択(総論)

・総大腿動脈 / 大腿膝窩動脈におけるEVT/opeの選択

・下腿足部動脈におけるEVT/opeの選択

【結語】

・CLTIにおいて最も重要な事は

本スライドの対象者

研修医/専攻医/専門医

参考文献

  • 日本循環器学会 / 日本血管外科学会合同ガイドライン

  • 2022 年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン

テキスト全文

  • #1.

    治療を、あきらめない。 ~包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)の診療~ Dr.Genjoh@循環器内科 @DrGenjoh

  • #2.

    Take home message ① ABIの低下や下肢跛行症状は認めない場合がある! 創部所見、画像所見、Sppなどから総合的に診断すべし。 ② 下肢切断?カテーテル治療?バイパス治療?保存的治療? リスクや重症度、生命予後から決まる治療方針。 ③ 生命予後が高度に蝕まれる悪性疾患。未病時点での予防が最も重要。

  • #3.

    序 論 CLTI(chronic limb-threatening ischemia; 包括的高度慢性下肢虚血)とは? 急性下肢虚血 (ALI) CLTIの定義: 下記のいずれかの臨床像を呈する虚血肢。 80 末梢動脈疾患 (PAD) 下 肢 病 変 動脈硬化性 下肢閉塞性 動脈性疾患 (LEAD) 包括的高度 慢性下肢虚血 (CLTI) ① 客観的に高度虚血(WIfI分類 I[虚血]3)が 証明された安静時疼痛 超重要 ② 2週間以上継続する下肢潰瘍 後述 ③ 下腿または足部の壊疽 本稿ではここに絞って解説します。 以降、基本的に日本循環器学会 / 日本血管外科学会合同ガイドライン 2022 年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン に準拠。

  • #4.

    診 断 CLTIの症状 持続する足部の安静時疼痛 虚血に伴う 治癒しない足部創(壊疽/潰瘍) 足部創は 尖端、隙間に 出来やすい。 間歇性跛行 (歩行時の下肢の痛み、痺れ) 無症候性に進行する症例に注意! CLTI(壊疽、潰瘍等の重度虚血)の半数は先行する間歇性跛行を呈さない。 自立歩行不能、糖尿病、維持透析 症例は特に警戒すべき。

  • #5.

    診 断 CLI(重症下肢虚血)からCLTIへの変化 旧来 CLI : Fontaine分類 III度以上 / Rutherford小分類4以上 + 下肢虚血の証拠 (1954年) (1986年) 「跛行や安静時疼痛が先行し、潰瘍壊疽に進行するイメージ」 現実には無症候のまま潰瘍壊疽が 出現することがある。(特に糖尿病、透析) 問題点 「特に潰瘍壊疽まで進行した場合、重症度別の治療方針が不明瞭」 ① 客観的に高度虚血(WIfI分類 I[虚血]3)が 現在 CTLI : 証明された安静時疼痛 ② 2週間以上継続する下肢潰瘍 のうち、1つ以上 ③ 下腿または足部の壊疽 改善点 「現時点で、安静時疼痛+虚血 / 潰瘍 /壊疽 があること、と評価を明瞭化した」 「WIfI分類による重症度評価が可能となり、重症度別に考慮すべき治療方針が示された」

  • #6.

    診 断 CLTIの診断 臨床所見 + 機能的血流評価 = WIfI分類 下肢動脈エコー 造影CT 画像検査 単純/造影MRI 血管造影 WIfI分類で診断、重症度評価、予後評価を行う。 →血行再建に適している血管であるか否かを画像検査で調べる。

  • #7.

    診 断 WIFI分類とは? 2014年にアメリカ外科学会が発表した CLTIの重症度を3項目に分けて評価する仕組みのこと。 W : Wound 創 I : Ischemia 虚血 fI : foot Infection 足部感染 = WIfI

  • #8.

    診 断 W : Wound : 創 グレード 潰瘍 0 1 (小組織欠損) 2 (大組織欠損) 3 (広範組織欠損) 壊死 治療イメージ 潰瘍、壊死それぞれのグレード から最終的なWグレードを決定する。 なし なし 小さく、浅い なし (あっても末節骨まで) 足趾2本以下の切除 が必要 前足~中足部:深い (骨、関節、腱に及ぶ) または、踵部で浅い 足趾のみ 足趾3本以上の切除 ~中足骨切断術 が必要 前足~中足部: 広域で深い または、踵部の全層 前足~中足部の広域 または、踵内の全層 それ以上 判断に迷う場合は治療イメージに より合致するグレードとする。 前足部 中足部 踵部 踵は重症度が高い。 壊死だと潰瘍+1のイメージ。

  • #9.

    診 断 I : Ischemia : 虚血 グレード ABI 足首血圧(AP) [mmHg] 0 ≧0.80 >100 1 0.60~0.79 70~100 足趾血圧(TP) [mmHg] またはTcPO2 Spp [mmHg] (日本仕様) ≧60 ≧50 40~59 40~49 日本ではSpp(皮膚灌流圧)が主力。 虚血診断能も高い。 潰瘍治癒予測指標や 血行再建後の評価にも有用である。 Sppにも弱点がある。 2 0.40~0.59 50~70 30~39 30~39 ① 手間がかかる。 (気軽にはオーダー出来ない。) ② 血管内volumeの多寡により 計測値が変化する。 3 <0.40 <50 石灰化した血管や、足首以遠の血流評価としてはABIの過信は禁物 <30 <30 ③ 足に圧をかけるので疼痛が強いと 測定出来ないことがある。

  • #10.

    診 断 fI : foot Infection : 足部感染 SIRS グレード 臨床所見 0 感染兆候なし (-) 1 発赤<2cmの 局所感染兆候 (-) 2 発赤>2cmの 局所感染兆候 または 深部感染に伴う全身炎症 (-) 3 グレード2 + SIRS (+) (systemic inflammatory response syndrome)

  • #11.

    診 断 CLTIの診断(画像検査) 非侵襲的検査であり、血行再建後のフォローアップとしても用いやすい。 下肢動脈エコー : 一見して全体像を掴みにくい点や、特に下腿の狭小血管においては 検査の正確性が検査者の技量に依存しやすい点は難点。 細い下腿動脈ですら感度97%、特異度99%と非常に正確である。 造影CT : MIPやVRなど3D画像で血管全体のイメージが得やすく術前検査に適する。 (CTAngio) 腎不全、造影剤アレルギー症例では使用しにくい事がネック。 非造影でも感度、特異度ともに90%程度あり正確度は高い。 単純/造影MRA : 3D化も可能で、造影剤が使用しにくい症例での術前検査として有用。 (MRAngio) 一方で石灰化評価はしづらく、空間分解能もCTには劣る。 血管造影 狭小血管、閉塞病変であることが多い下腿~足部評価では特に重要。 : DSA(デジタルサブトラクション)撮影が有用だが、体動に極めて弱い。

  • #12.

    治 療 CLTIの予後から考える治療の意義 CLTI患者で、血管内治療(EVT)を 受けた群の2年以内の死亡率 2年のうちに41%が死亡した。 生命予後は極めて不良である。 ADL低下 または 認知機能低下CLTI患者の 血行再建群、非血行再建群の1年生存率 いずれも50%強で、半数は死亡する。 血行再建による生命予後改善効果はない。 (ただし血行再建群は1年後のQOL改善を認めた) CLTI患者で、外科的血行再建術群と EVT群における3年後の大切断回避生存率 いずれも52%。血行再建後で仮に3年間 生存出来たとしても半数は下肢の大切断に至る。 CLTI患者は極めて予後不良である。 CLTI治療の目的はあくまで大切断の回避および生命予後の改善であるが、困難であることが多い。 そもそも血行再建を行うべきか、一次切断(最初から切断術)を行うべきか、 疼痛緩和や感染管理などのいわゆる緩和的治療を行うべきか深慮する必要がある。

  • #13.

    治 療 CLTIの治療フローチャート(PLANコンセプト) CLTI患者 WifI CS=1 WifI CS評価 一次下肢切断 血行再建せず 最初から切断 複雑! 創傷ケア WifI CS≧2 No 対症療法 創傷ケア 血行再建 不可能 高リスク患者 下肢救済可能? YES 血行再建リスク 2年生存率予測 血行再建の 有用性考慮 血行再建の解剖学的ステージング(GLASS) 血行再建可能 標準リスク患者 自己静脈グラフト評価(エコー) 可能なら血管内治療 血管内治療 または 外科手術 つまり WIfI clinical stage(Wifi CS)≧2で、 EVT/ope後に結局大切断になるリスクが低くて、 EVT/opeに伴うリスクが低くて、 2年生存が期待出来て、 EVT/opeをやる意義を見いだせる症例 なら血行再建を考えましょう。 血行再建をするなら 血管の解剖学的評価と 患者の手術リスクと 自己静脈が使えるかを 評価してEVT/opeを選びましょう。 まとめてもやっぱり複雑

  • #14.

    治 療 WIfI clinical stage(WIfI CS)って?下肢救済可能って? I-0 I-1 I-2 I-3 W-0 1 1 2 3 1 2 3 4 2 2 3 4 2 3 3 4 W-1 1 1 2 3 1 2 3 4 2 3 4 4 3 3 4 4 W-2 2 2 3 4 3 3 4 4 3 4 4 4 4 4 4 4 W-3 3 3 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 fI-0 fI-1 fI-2 fI-3 fI-0 fI-1 fI-2 fI-3 fI-0 fI-1 fI-2 fI-3 fI-0 fI-1 fI-2 fI-3 WIfI分類の W・I・fIの3つ それぞれの 重症度評価の 組み合わせから WIfI Clinical stage を決定出来る。 W : Wound I : Ischemia fI : foot Infection 下肢救済可能か否かはどうやって判断するの? 一つの基準としてですが、1年後大切断リスクをWIfI CSから予測できます。 Clinical Stage 1:超低リスク Clinical Stage 2:低リスク Clinical Stage 3:中リスク Clinical Stage 4:高リスク CS5:下肢救済不可能が上の表に無いですよ?全部救済可能なの? CS5 = (CS3 or CS4) + GLASS P2 modifierです。 Clinical Stage 5:下肢救済不可能 足関節より末梢(IM領域)の血管状態(GLASS分類)。 P0:pedal arch(足底部を走る血管)〇、足趾血管〇 P1:pedal arch△~×、足趾血管〇 P2:pedal arch×、足趾血管×

  • #15.

    治 療 血行再建リスク / 2年生存率予測 血行再建リスクや2年生存率予測って、どうやって判断するの? 高齢、腎機能低下、冠動脈病変、うっ血性心不全、糖尿病、喫煙、脳血管障害、 組織欠損、BMI、認知症、ADLなどのリスク因子から計算を行います。 周術期死亡<5%、2年生存率>50%なら標準リスク群で、EVT/opeから最適な治療法を選びます。 周術期死亡≧5%、2年生存率≦50%なら高リスク群で、血行再建の有用性の有無をよく考慮した上で、 必要であればEVTを考慮します。 具体的な計算方法がわからないんですけど…。 計算アプリがあります。日本の現状をより反映しているのは日本血管外科学会 公表のJCLIMBリスクカリキュレーターアプリでしょう。 https://www.jsvs.org/ja/enquete/post_5/ (+日本語表記なので使いやすい。) FINNVASC score、modified PREVENT III score、BASIL score、CRAB、VQIなど、scoringの方法は複数提唱されている。

  • #16.

    治 療 血行再建の有用性 血行再建の有用性って、どうやって判断するの? 学術的にはWIfI I と WIfI CSの組み合わせで評価出来ます。 臨床的にはそこに患者背景を加味する必要があります。 3 有益 WIfI CS + WIfI I = WIfI W/I/fI + WIfI I WIfI Iが2回も算定されるので、WIfI Iの主軸となるSppは特に重要。 2 WIfI I 1 無益 臨床的には「血行再建をすべきか否か」を患者背景から考え、 血行再建する際には本人・家族に十分なコンセンサスを得る必要がある。 年齢、認知機能、ADL、社会的背景、積極的治療の希望の有無等。 0 1 2 3 4 WIfI CS 潰瘍/壊死や感染がある(WIfI CS高)からといって 虚血が証明されない(WIfI I低) のに血行再建しても仕方が無いよね、ということ。 特に 基本的に生命予後改善効果は期待出来ないこと 再狭窄、再閉塞リスクは高く、手術が成功しても大切断の可能性があること に関しては必ず説明し、理解を得ておく必要がある。 往々にして、「癌に対する積極的加療をするか否か」に似た状況になりうる。

  • #17.

    治 療 血管の解剖学的評価(GLASS分類 FP/IP領域) ・軽度ないし有意でないSFA病変(狭窄度<50%) S F A ・軽度あるいは有意でない治療対象動脈経路の病変 0 P O P A 1 0 TP trunk ・SFA総病変長が<1/3(<10cm) ・SFA起始部を含まない単独のSFA限局性閉塞(<5cm) ・軽度あるいは有意でない膝窩動脈病変 PTA ATA 2 ・SFA総病変長が1/3~2/3(10~20cm) ・SFA起始部を含まないSFA総病変長<1/3(<10cm) ・下腿3分岐(ATA+pero+PTA)に及ばない限局性PopA 狭窄 (<2cm) 3 ・SFA総病変長が>2/3(>20cm) ・SFA起始部からのSFA閉塞(<20cm) またはSFA起始部を含まないSFA閉塞(10~20cm) ・下腿3分枝に及ばない短区間のPopA狭窄 (2~5cm) SFA: 浅大腿動脈 Poptail.A: 膝窩動脈 4 複雑すぎる! ・SFA総閉塞長が>20cm ・PopA病変>5cmまたは下腿3分岐に及ぶPopA狭窄 ・PopA閉塞 FP領域 : 大腿~膝窩動脈領域 Peroneal.A ATA:前脛骨動脈 TP trunk: 脛骨腓骨動脈幹 ・下腿動脈の限局性狭窄<3cm 1 2 3 Peroneal.A: 腓骨動脈 PTA:後脛骨動脈 4 ・狭窄病変長が治療対象動脈全長の<1/3 ・限局性閉塞(<3cm) ・下腿動脈起始部やTP trunkを含まない病変 ・狭窄病変長が治療対象動脈全長の<2/3 ・全長の<1/3の閉塞病変(下腿動脈起始部を含んでよいが TP trunkは含まない病変) ・びまん性狭窄病変長が動脈全長の>2/3 ・閉塞病変長が全長の>1/3 ・TP trunkの閉塞(ATAが治療対象でない場合) IP領域 : 膝下動脈領域

  • #18.

    治 療 GLASS stageと、標準リスク患者の初回血行再建の決定方法 opeが良い ope / EVT 甲乙つけがたい EVTが良い 血行再建に適さない FP grade 4 III III III III III 3 II II II III III 2 I II II II III 1 I I II II III I I II III 1 2 3 4 0 0 III GLASS stage II I IP grade 1 2 3 4 WIfI CS GLASS分類の FP領域の点数 IP領域の点数 を組み合わせて GLASS stage I~IIIを決定する。 GLASS stage WIfI CS ・ 重症度が低ければそもそも 血行再建の適応ではない。 を組み合わせて 血行再建方法を決定する。 ・ 解剖学的に血管の状態が 良ければEVT、 悪ければope。 上記は自家静脈でのバイパスが可能で、標準リスク患者で、初回血行再建である、と条件が良い場合の一例に過ぎない。

  • #19.

    治 療 状況に応じたEVT/opeの選択(総論) 自家静脈でのバイパスが可能で、標準リスク患者で、初回血行再建である場合の血行再建方法の 決め方はわかりました。それ以外の状況ではどう決めるんですか? 全身状態と予想される生命予後、グラフト使用可能な自家静脈の有無、創傷及び解剖学的重症度、 病変長や病変の複雑性、病変の部位、などからEVT/opeのいずれがよいか個々の症例ごとに検討します。 EVTが望ましい opeが望ましい 周術期死亡<5%、2年生存率>50%:標準リスク群 周術期死亡≧5%、2年生存率≦50%:高リスク群 動脈病変の複雑性が低い:GLASS stageが低い + 石灰化等が少ない 動脈病変の複雑性が高い:GLASS stageが高い + 石灰化等が多い 創傷範囲が小さい:WIfI stageが低い 創傷範囲が大きい:WIfI stageが高い 使用可能な自家静脈グラフトがない 使用可能な自家静脈グラフトがある 動脈病 糖尿病、腎不全、貧血、過去の心血管リスク治療中断歴 対側の大切断歴 WIfI W3、WIfI fI 2or3、同側の小切断歴、 CLTI発症後の血行再建歴あり、両側CLTI

  • #20.

    治 療 総大腿動脈 / 大腿膝窩動脈におけるEVT/opeの選択 総大腿動脈 ・孤立性の総大腿動脈病変に対しては、外科的内膜摘除術を行う。 ・大動脈/外腸骨動脈から総大腿動脈に及ぶ病変に対しては、ハイブリッド治療を行う。 (総大腿動脈への外科的内膜摘除術 +大動脈/外腸骨動脈へのEVTを行う。) 大腿膝窩動脈 EVTが望ましい opeが望ましい <25cmの病変 ≧25cmの病変で、良い自家静脈がない、または全身リスクが高い ≧25cmの病変で、良い自家静脈があり、かつ全身リスクが高くない ・膝窩動脈へのバイパスは可能な限り自家静脈グラフトを 用いたバイパスを行う。 ・膝下膝窩動脈へのバイパスで、良い自家静脈がない場合、 人工血管グラフトの使用を考慮しても良い。

  • #21.

    治 療 下腿足部動脈におけるEVT/opeの選択 下腿足部動脈 EVTが望ましい 2年以上の生命予後が期待できない、または 使用可能な自家静脈がない 重症度が高く、創傷治癒遅延が予想されるCLTIに アンギオサム(解剖学的に創傷部に血流を送っている と考えられる血管)に対する選択的EVTを考慮 してもよい 重症度が高く、創傷治癒遅延が予想される、または 来しているCLTIに対して、複数の膝下動脈病変への EVTを考慮してもよい 創傷治癒遅延を来しているCLTIの足関節より末梢の 病変に対して、EVTを考慮してもよい ope困難であり、しかし潰瘍/壊死/感染のコントロールのために EVT施行が必要となる事はしばしば起こりうる。 opeが望ましい 2年以上の生命予後が期待され、使用可能な自家静脈がある ・下腿動脈へのバイパスは可能な限り大伏在静脈を用い、 不可能であれば他の下肢/上肢静脈を用いる。 ・バイパス術において、中枢側の吻合部は体血圧との圧較差が 10mmである最遠位部動脈で行う。 ・バイパス術において、末梢吻合部は足部動脈までの間に 閉塞性病変がない下腿動脈、あるいは足部動脈において行う。

  • #22.

    結 語 CLTIにおいて最も重要な事は 前述の如く、CLTI罹患後の予後は極めて悪い。 治療を諦めずに必要に応じて血行再建も行うが、 その効果は限定的と言わざるを得ない。 故に、CLTIに於いて最も重要な事は 著者のLEADのスライドに リスク管理について詳記が あるので、そちらを参照 ・未病段階における動脈硬化リスク因子の管理 ・早期発見に努め、重症度が進行する前に治療介入すること である。

  • #23.

    Take home message ① ABIの低下や下肢跛行症状は認めない場合がある! 創部所見、画像所見、Sppなどから総合的に診断すべし。 ② 下肢切断?カテーテル治療?バイパス治療?保存的治療? リスクや重症度、生命予後から決まる治療方針。 ③ 生命予後が高度に蝕まれる悪性疾患。未病時点での予防が最も重要。

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