テキスト全文

• #1.

  疹2024 谷 長 堺市 総合医療センター 感染症内科 川耕平 立 麻 2024.03.08作成

• #2.

  阪で発 ！ • 2024.03.07, 上記患者と同じ航空機 (エティハド航空 EY830便) に搭乗していた20歳代 男性 (ワクチン未接種) が 疹を発症したと堺市から報告 • 今後も新規患者が発 疹を発症したと東 大 疹について再確認しておく必要がある 麻 麻 する可能性があり, 生 麻 2024.02.29, UAEから帰国後の20歳代男性 (ワクチン未接種) が 阪市から報告 生 • 大 麻 疹が

• #3.

  • 前駆期 (カタル期)： 3-5 間, 発熱, 咳嗽, , 結膜炎などが続く。発疹出現1-2 前に頬 粘膜にKoplik斑が出現 • 熱 疹 発疹期： 旦解熱した後再び 熱あり。全 に発疹が現れ, 4-5 間続く。Koplik斑は発疹 出現後2 の終わりまでに急速に消失 • 回復期：発熱はおさまり, 発疹は 残して消退する。 Koplik斑 結膜炎症状 感冒症状 素沈着を 咳嗽 潜伏期 10-12 カタル期 発疹期 回復期 鼻 身 日 色 高 日 日 目 日 一 Manual for the laboratory diagnosis of measles and rubella virus infection Second edition (accessed March 8, 2024) https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/70211/WHO_IVB_07.01_eng.pdf?sequence=1&isAllowed=y 日 水 麻 皮 疹ってどんな病気？

• #4.

  Koplik斑 • 頬粘膜に出現 • 紅暈に囲まれた1mm程 度の 隆起 色 白 N Engl J Med. 2006;354(7):740. DOI: 10.1056/NEJMicm050576

• #5.

  手 生 身 患者さんの同意を得て撮影 • 斑状丘疹が全 • 丘疹紅斑型薬疹と極めて似ている 性に じ, 掌にも認められることが特徴

• #6.

  児 疹患者7-9/100 炎など が中 の感染を起こし, 難 8/100 が下痢を起こす 聴になり得る 1/1000が急性脳炎を発症 (脳 浮腫が起こる)。痙攣を起こし たり, 難聴や知的障害を起こし うる 膜破壊による の障害が起こ りえる。低栄養の ンA不 疹患者1/4 児やビタミ でリスク増加。 が 院加療を要する 1-6/100 児 が肺炎を起こし, 疹患者の死因1位 亜急性硬化性全脳炎 (SSPE) と 呼ばれる致死的脳合併症が感染 後数年経ってから稀に じる 疹患者1/1000 が死亡する 人 生 小 入 人 目 人 人 耳 人 足 麻 ECDC Infographicより作成 (updated July 9, 2015) https://www.ecdc.europa.eu/en/publications-data/infographic-measles-serious-disease 麻 小 麻 耳 小 角 麻 麻 疹って怖いの？

• #7.

  • 疹特異的IgM抗体 (EIA法) • 疹特異的IgG抗体 (EIA法, ペア PCR (咽頭ぬぐい液, 液, 尿) 血 • 血 麻 麻 診断 清で2-4倍上昇)

• #8.

  検査を IgM ELISA ( 液, 唾液, 乾 燥 液滴) 疹ウイルスとの最近の接触 によって じたIgMを検出 IgG ELISA (2-3週間あけた ペア 清が必要) RT-PCR (咽頭, 咽頭スワ ブ, 唾液, 尿); ウイルスRNA を検出 うきっかけ 疹を疑った場合 最近感染したか, 免疫があるかの確認 疹を疑った場合 強み 弱み 簡易で信頼性が かつ安価 く, 簡易で信頼性が かつ安価 く, 疹出現から3 以内や以前 のワクチン接種により偽陰性 となりえる リウマチ因 や他の抗体との 交差による偽陽性の可能性 疹出現から10 以内の場 合, 陰性になりえる 偽陰性を減らすため, 疹出 迅速で信頼性が く, 汚染や 現から7 以内かつ新鮮で適 RNAの分解が起こりにくい 切な検体が必要 皮 鼻 日 高 高 高 日 血 子 生 日 行 血 Lancet. 2022;399(10325):678-690. DOI: 10.1016/S0140-6736(21)02004-3 血 麻 麻 皮 皮 麻 それぞれの特徴

• #9.

  ※感染可能期間は発症1 前から解熱3 後までとされる 日 日 麻 Lancet. 2022;399(10325):678-690. DOI: 10.1016/S0140-6736(21)02004-3 医療機関での 疹対応ガイドライン 第七版 (updated May, 2018) https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/guideline/medical_201805.pdf

• #10.

  • 基本再 • 感染者の呼吸器から排出された 疹ウイルスは空気中に最 同じ空間にいただけで感染した報告もある • 免疫を持たない 産数 12-18 (患者1 が あたり12-18 に伝播させうる) 2時間存在。感染者と20分間 疹患者に接すると9割が発症 • ワクチン接種歴や罹患歴があっても感染しうるため, 医療従事者は疑似症 含めた患者対応時に必ずN95マスクを着 すること CDC Measles (accessed June 9, 2023) https://www.cdc.gov/measles/hcp/index.html 大 用 人 麻 人 麻 人 Western Pac Surveill Response J. 2012;3(4):33-38. doi: 10.5365/WPSAR.2012.3.3.009 ECDC Factsheet about measles (accessed June 11, 2023) https://www.ecdc.europa.eu/en/measles/facts 生 麻 疹は空気感染

• #11.

  どうやって予防する？ •ワクチン接種が最も重要

• #12.

  ワクチンの有効性 • 2回接種で感染に対するワクチン効果95%以上 • 100%がseroconversionする • 1回接種では5%程度がsecondary vaccine failureを起こす ECDC Factsheet about measles (accessed March, 2024) https://www.ecdc.europa.eu/en/measles/facts

• #13.

  Figure. Estimates of the Measles Case Reproduction Number, R, by Vaccination Status • 国における2001-2017年の2218例の 疹症例の伝播を解析 • 予防接種歴がない は, 接種歴がある 3-4倍感染性が い • 5例以上の感染源となった伝播者23例中19 例が未接種者 の 麻 人 人 JAMA Pediatr. 2020;174(1):56-62. DOI: 10.1001/jamapediatrics.2019.4357 高 米 麻 疹ワクチン接種は感染伝播を減らす

• #14.

  疹ワクチン接種率 • 2022年末までに, 83%の 供が2歳の誕 までに 疹含有ワクチンを1 回接種し, 188のWHO加盟国が 疹ワクチンの2回接種を定期予防接種の 部として含めており, 74%の 供が国の予防接種スケジュールに従って 疹ワクチンを2回接種している • やや回復しているものの, COVID-19流 回っている 前の2019年の 準 (86%) を下 水 麻 日 生 行 麻 子 子 WHO Immunization coverage (Updated July 18, 2023) https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/immunization-coverage Progress towards regional measles elimination – worldwide, 2000–2021 (accessed March 8, 2024) https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/364731/WER9747-eng-fre.pdf 麻 一 麻 国際的な

• #15.

  ワクチン接種率が低い層に流 する • 例えば… • インドネシアでは2023年1 1 〜4 3 までに, 合計2161例の 疹疑い 患者 (検査確定848例, 疑似症1313例) が報告されている (2020年 310件 → 2021年 132件 → 2022年 4845件) • 95%が1〜14歳で, 75%は 疹ワクチン未接種, 11%は1回, 10%は2回 接種と, ワクチン未接種・不完全者を中 に発 している 麻 行 生 日 心 月 日 麻 月 WHO Measles-Indonesia (updated April 28, 2023) https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2023-DON462

• #16.

  諸外国では 疹が流 中 直近6ヶ の 国名 イエメン 疹報告数 症例数 18,464 アゼルバイジャン 13,721 ※ が濃いと症例数が多い カザフスタン 13,195 インド 12,301 エチオピア 10,060 ロシア 7,720 イラク 7,601 パキスタン 7,027 キルギス 5,777 インドネシア 3,205 Notes: Based on data received 2023-05 - Surveillance data from 2022-10 to 2023-03 - * Countries with highest number of cases for the period - **WHO classifies all suspected measles cases reported from India as measles clinically compatible if a specimen was not collected as per the algorithm for classification of suspected measles in the WHO VPD Surveillance Standards. Thus numbers might be different between what WHO reports and what India reports. - ** DRC typically reports more cases through IDSR 行 麻 麻 月 色 https://www.who.int/teams/immunization-vaccines-and-biologicals/immunization-analysis-and-insights/ surveillance/monitoring/provisional-monthly-measles-and-rubella-data (accessed March 8, 2024)

• #17.

  • 本は2015年以降, 本でも増えるのか？ 疹排除地域に認定されている ( 着していない) → 国内報告例の始まりは全て海外起源ということ • ただし, それらが • 国内の 疹ワクチン2回接種率は低下傾向 (2020年 94.7%→2021年 93.8%→2022年92.4%) ※ 標95% 本で伝播し流 • 渡航制限がなくなった今, 再び する可能性はある 疹の持ち込みが増加するかもしれない 土 行 麻 しんワクチン接種状況 (accessed March 8, 2024) https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou21/dl/221130-01.pdf 目 麻 日 日 麻 しん 風 日 麻 これから

• #18.

  • 疹の罹患歴が検査診断により確認されている者, 疹ワクチンを1歳以上で2回接種し ていることが記録により確認されている者については, 発症予防策は不要 • 上記以外の場合, 曝露後72時間以内にワクチン接種を 潜伏期間が短いため) • ワクチン接種不適当者 (妊婦, 免疫不全者) についてはEIA <10.0の場合にIVIgを検討す る (曝露6 以内なら有効である可能性) • 免疫不 分な医療従事者が曝露した場合, 曝露後予防の有無に関わらず曝露5 まで就業制限を う う (ワクチン株の が野 株より から21 生 目 日 方 行 麻 行 日 十 麻 ECDC Factsheet about measles (accessed March 8, 2024) https://www.ecdc.europa.eu/en/measles/facts 医療機関での 疹対応ガイドライン 第七版 (updated May, 2018) https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/guideline/medical_201805.pdf 目 麻 日 曝露後予防

• #19.

  発熱・発疹の 疹を鑑別に！ ワクチン接種歴 (2回) を確認する - 1990年4 以前に出 - 1972年10 以前に出 した した は, 定期の 疹ワクチンが1回のみ は, 度もワクチンを打っていないかも • 疑ったら保健所に届け出て, PCR検査を依頼する (臨床診断+抗体検査も並 • カタル期に何かしら投薬 → その後 も、、、 して う) 行 付けられてしまうケース 行 麻 疹が出現し, 薬疹として 片 麻 一 皮 人 人 人 生 ・結膜炎のうち1つ以上あれば, より確からしくなる 生 月 せき・ 月 • 水 鼻 • が来たら

• #20.

  分だと修飾 ワクチン接種が中途半端なときなど, 典型的な 疹のこと • 潜伏期間が14 • 微熱でカタル期に乏しく, 典型的な経過 ( を辿らないこともある • 症状のみで診断するのは難しく, あやしければPCR検査に頼る必要がある • 抗体検査の場合, 急性期のIgM抗体陰性, IgG抗体が著明 に疑う 程度と 分な場合に じる い 旦解熱し再度発熱とともに 疹が出現する) 値 (EIA法で100前後) の場合 生 皮 十 高 麻 一 疹対応ガイドライン 第七版 (updated May, 2018) https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/guideline/medical_201805.pdf 麻 長 十 日 麻 疹ウイルスに対する免疫が不 感染症研究所 (Updated June 7, 2018) https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html 医療機関での 麻 疹が起こるかも • 国 立 非 免疫不

• #21.

  https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/pdf01/arugorizumu2016.pdf