医師・医学生のためのスライド共有

Antaa Slide

お知らせ

ログイン
診療科
出血傾向 L001.png

すでにアカウントをお持ちの方はこちら

関連テーマから出会おう。

閲覧履歴からのおすすめ

Antaa Slide
IVRistが知っ得べき血液疾患(試作)

IVRistが知っ得べき血液疾患(試作)

松田律史

続けて閲覧
APTT/PT異常をみつけたら

APTT/PT異常をみつけたら

kotobuki@血液専門医

続けて閲覧
投稿者

島田利彦

1/29

テキスト全文

  • #1.

    Essential & effortless 出血傾向 医仁会 武田総合病院 淡海医療センター

  • #2.

    症例1: 80歳代男性 COPDで吸入しているが、その他の服薬なくADL自立 10日ほど前から四肢に内出血斑が多発するようになった。打撲なし 発熱なし 血便なし 次に何を確認する? 上肢の広範な内出血

  • #3.

    急性の出血傾向のある80代男性 WBC  11600/μl  分画問題なし Hb   11.3 g/dL (MCV 101 fl) Plt   357000/μl PT-INR           1.04 APTT           97.2秒 フィブリノーゲン     437 mg/dl AT3活性 113% Dダイマー         7.9 μg/ml          何を調べる?

  • #5.

    Mixing study クロスミキシング試験正常血漿と患者血漿を混合しながらAPTTの変化を測定していく 凝固因子の欠損か、阻害抗体かの鑑別 金沢大学血液内科・呼吸器内科 http://www.3nai.jp/weblog/entry/30520.html

  • #6.

    急性の出血傾向のある80代男性 APTT単独の延長   診断: 後天性血友病A      第8因子凝固活性 < 1.0% (78-165)  第8因子インヒビター 56.0 BU/ml (≦1.0)

  • #7.

    極論:高齢者の突然の出血傾向+APTT延長≒後天性血友病

  • #8.

    (内因系)バイパス療法ステロイド等による免役抑制と別に 障害部位を外して凝固因子を補充する ノボセブン rFⅦa   活性型第7因子製剤  ファイバ aPCC   血漿由来活性型プロトロンビン製剤 Cf. ケイセントラ   4Factor PCC     ヒトトロンビン複合体製剤          FFPより迅速に拮抗

  • #9.

    症例2: 90歳代女性 重度の認知症で寝たきり・発語なし ここ数ヶ月経口摂取も極端に低下しており、最小限の末梢点滴でお看取りの予定となっている 数日前から急に口腔粘膜や体幹(前胸部など)に著明な内出血が多発(打撲歴はない) 一部改変・創作あり

  • #10.

    低栄養の認知症高齢女性口腔内出血++ 歯もボロボロ 血小板数・PT・APTTは異常なし → どうする?

  • #11.

    アスコルビン酸濃度: 測定感度以下 壊血病=ビタミンC欠乏 ヒドロキシプロリンの合成低下から組織間をつなぐコラ-ゲンや歯の象牙質、骨の間充組織 の生成保持に障害を受ける。さらに微小血管の損傷につながり出血の原因となる。

  • #12.

    【症例報告】 22歳⼥性。1年前から軽症全⾝性エリテマトーデスの既往あり。全⾝倦怠感や疲労感などの全⾝症状がメイン。 ⾝体症状では、両腕の外側および下腿前⾯に”Corkscrew”様の縮れ⽑を認めた。⽩⾝⾁および加⼯⾷品を主体とする⾷事が主だった。 Cleve Clin J Med. 2015 Apr;82(4)

  • #13.

    症例3.  83歳 認知症男性 重症大動脈弁狭窄, 心不全などで循環器フォロー中 進行性の貧血で上部消化管内視鏡施行 十二指腸などに多発性の血管拡張を認めた 血小板、PT/APTTは正常 なんでしょう?

  • #14.

    後天性von Willebrand syndrome  VWFが減少  or 高分子量VWFが減少   VWマルチマー解析で鑑別 ① VWFに対する自己抗体の産生     リンパ増殖性疾患や自己免疫疾患 ② 高分子量VWFマルチマーの減少     本態性血小板血症や真性多血症     (血小板数の著増に伴うvWF消費・低下)      ③ ずり応力亢進によるADAMTS13のVWF分解促進   →  次頁      弁膜症 、人工心臓       大動脈弁狭窄 (Hyde症候群) ④ VWF因子の産生並びに分泌障害       甲状腺機能低下症

  • #15.

    Acquired von Willebrand syndrome (AvWS)Hyde症候群   https://www2.idac.tohoku.ac.jp/avec2/details.html

  • #16.

    症例4.  69歳 糖尿病男性 化膿性脊椎炎、腎膿瘍で入院 血液培養からMSSA検出  CEZで保存的治療中だが治療抵抗性 経口摂取不良で低栄養進行(Alb 1.3 g/dL) ルーチンの採血で以下の異常を認めた          PT-INR 8.66  APTT 77.7秒  出血傾向なし     血小板減少なし どうする?

  • #17.

    抗生剤起因性ビタミンK欠乏 CMZのようなN-methyl tetrazole thiol基(NMTT基)を含むLMOX, CPZ, CMX, CTT, CMDなどで多く起きるが、CEZでも報告がある 診断のための検査は?           → PIVKAⅡ 24806 mAU/ml 抗生剤変更、VitK投与で直ちに改善

  • #18.

    出血傾向へのアプローチ

  • #19.

    機序による分類 1. 皮膚粘膜・血管の脆弱性  (忘れられがち!)    ステロイド・クッシング症候群、高齢(老人性紫斑)、壊血病(VitC)    アミロイド-シス    Osler weber rendu(遺伝性出血性末梢血管拡張:HHT) エーラス・ダンロス、マルファン症候群、  IgA血管炎(HSP) 2. 一次止血: 血小板の機能的・量的低下         産生低下・消費・破壊:  AA/MDS, ITP, HIT, TTP/HUS, DIC    薬剤(可逆性・不可逆性) 3. 二次止血: 凝固系   PT, APTTに変化がでる事が多い    血友病、vWD、後天性血友病

  • #20.

    評価:問診・身体所見 出血の家族歴   → 血友病、vWD 家族歴+患者における顔面,口唇,口腔または鼻粘膜,および指趾先端の毛細血管拡張     → 遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT=OWR) 下肢の触知可能紫斑     → アレルギー性紫斑病(HSP) 皮膚および粘膜など表層部位からの出血     → 血小板の量的もしくは質的な障害    または血管障害(例,アミロイドーシス) 深部組織への出血(関節出血,筋肉血腫,後腹膜出血)   → 凝固障害

  • #21.

    検査の第1歩 血小板:  血算 末梢血塗沫 凝固:   PT, APTT 出血時間: 特異性に欠けるため施行されない 血算、PT, APTTが(ほぼ)正常であれば       vWD,   HHT ,   13因子欠損      などの稀なものも考えられる

  • #22.

    血小板減少症 (詳細は別に) 凝集: 混和不十分など EDTA: EDTA依存性偽性血小板減少症 まず確認と再検査 (キャップ裏で凝集のことも) 入院患者(薬剤性・HIT)  vs.  外来患者(ITP) IPF 幼若(網)血小板比率 

  • #23.

    凝固カスケード https://quizlet.com/ja

  • #24.

    凝固因子による出血傾向のまとめ

  • #25.

    出血傾向の治療 (略) 原因治療 輸血  大量出血での輸血 トランサミン  ワーファリンのビタミンK拮抗 凝固因子補充  PCC  ケイセントラ

  • #26.

    Take home points 出血傾向を見たら まず出血部位と性状を確認 皮膚、粘膜、血管の問題はないか? 血小板(IPF) 、 PT / APTTを測定  凝固系延長パターンのいずれかを判断         (PT, APTT延長の組み合わせ)

出血傾向

  • 内科

  • 血液内科

  • 初期研修医

  • 後天性血友病
  • vonWillebrand病
  • 凝固
  • Hyde症候群
  • 出血傾向
  • 壊血病

19,337

74

更新

シェア

ツイート

投稿者プロフィール
島田利彦

医仁会武田総合病院

投稿した先生からのメッセージ

成人出血傾向の捉え方(診断)を比較的まれな症例から学ぶ。初期研修医向け

概要

成人の出血傾向をみたときの考え方

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医

テキスト全文

  • #1.

    Essential & effortless 出血傾向 医仁会 武田総合病院 淡海医療センター

  • #2.

    症例1: 80歳代男性 COPDで吸入しているが、その他の服薬なくADL自立 10日ほど前から四肢に内出血斑が多発するようになった。打撲なし 発熱なし 血便なし 次に何を確認する? 上肢の広範な内出血

  • #3.

    急性の出血傾向のある80代男性 WBC  11600/μl  分画問題なし Hb   11.3 g/dL (MCV 101 fl) Plt   357000/μl PT-INR           1.04 APTT           97.2秒 フィブリノーゲン     437 mg/dl AT3活性 113% Dダイマー         7.9 μg/ml          何を調べる?

  • #4.

    急性の出血傾向のある80代男性 APTT単独の延長    鑑別診断は? それらをどう見分ける? 金沢大学血液内科・呼吸器内科 http://www.3nai.jp/weblog/entry/28648.html

  • #5.

    Mixing study クロスミキシング試験正常血漿と患者血漿を混合しながらAPTTの変化を測定していく 凝固因子の欠損か、阻害抗体かの鑑別 金沢大学血液内科・呼吸器内科 http://www.3nai.jp/weblog/entry/30520.html

  • #6.

    急性の出血傾向のある80代男性 APTT単独の延長   診断: 後天性血友病A      第8因子凝固活性 < 1.0% (78-165)  第8因子インヒビター 56.0 BU/ml (≦1.0)

  • #7.

    極論:高齢者の突然の出血傾向+APTT延長≒後天性血友病

  • #8.

    (内因系)バイパス療法ステロイド等による免役抑制と別に 障害部位を外して凝固因子を補充する ノボセブン rFⅦa   活性型第7因子製剤  ファイバ aPCC   血漿由来活性型プロトロンビン製剤 Cf. ケイセントラ   4Factor PCC     ヒトトロンビン複合体製剤          FFPより迅速に拮抗

  • #9.

    症例2: 90歳代女性 重度の認知症で寝たきり・発語なし ここ数ヶ月経口摂取も極端に低下しており、最小限の末梢点滴でお看取りの予定となっている 数日前から急に口腔粘膜や体幹(前胸部など)に著明な内出血が多発(打撲歴はない) 一部改変・創作あり

  • #10.

    低栄養の認知症高齢女性口腔内出血++ 歯もボロボロ 血小板数・PT・APTTは異常なし → どうする?

  • #11.

    アスコルビン酸濃度: 測定感度以下 壊血病=ビタミンC欠乏 ヒドロキシプロリンの合成低下から組織間をつなぐコラ-ゲンや歯の象牙質、骨の間充組織 の生成保持に障害を受ける。さらに微小血管の損傷につながり出血の原因となる。

  • #12.

    【症例報告】 22歳⼥性。1年前から軽症全⾝性エリテマトーデスの既往あり。全⾝倦怠感や疲労感などの全⾝症状がメイン。 ⾝体症状では、両腕の外側および下腿前⾯に”Corkscrew”様の縮れ⽑を認めた。⽩⾝⾁および加⼯⾷品を主体とする⾷事が主だった。 Cleve Clin J Med. 2015 Apr;82(4)

  • #13.

    症例3.  83歳 認知症男性 重症大動脈弁狭窄, 心不全などで循環器フォロー中 進行性の貧血で上部消化管内視鏡施行 十二指腸などに多発性の血管拡張を認めた 血小板、PT/APTTは正常 なんでしょう?

  • #14.

    後天性von Willebrand syndrome  VWFが減少  or 高分子量VWFが減少   VWマルチマー解析で鑑別 ① VWFに対する自己抗体の産生     リンパ増殖性疾患や自己免疫疾患 ② 高分子量VWFマルチマーの減少     本態性血小板血症や真性多血症     (血小板数の著増に伴うvWF消費・低下)      ③ ずり応力亢進によるADAMTS13のVWF分解促進   →  次頁      弁膜症 、人工心臓       大動脈弁狭窄 (Hyde症候群) ④ VWF因子の産生並びに分泌障害       甲状腺機能低下症

  • #15.

    Acquired von Willebrand syndrome (AvWS)Hyde症候群   https://www2.idac.tohoku.ac.jp/avec2/details.html

  • #16.

    症例4.  69歳 糖尿病男性 化膿性脊椎炎、腎膿瘍で入院 血液培養からMSSA検出  CEZで保存的治療中だが治療抵抗性 経口摂取不良で低栄養進行(Alb 1.3 g/dL) ルーチンの採血で以下の異常を認めた          PT-INR 8.66  APTT 77.7秒  出血傾向なし     血小板減少なし どうする?

  • #17.

    抗生剤起因性ビタミンK欠乏 CMZのようなN-methyl tetrazole thiol基(NMTT基)を含むLMOX, CPZ, CMX, CTT, CMDなどで多く起きるが、CEZでも報告がある 診断のための検査は?           → PIVKAⅡ 24806 mAU/ml 抗生剤変更、VitK投与で直ちに改善

  • #18.

    出血傾向へのアプローチ

  • #19.

    機序による分類 1. 皮膚粘膜・血管の脆弱性  (忘れられがち!)    ステロイド・クッシング症候群、高齢(老人性紫斑)、壊血病(VitC)    アミロイド-シス    Osler weber rendu(遺伝性出血性末梢血管拡張:HHT) エーラス・ダンロス、マルファン症候群、  IgA血管炎(HSP) 2. 一次止血: 血小板の機能的・量的低下         産生低下・消費・破壊:  AA/MDS, ITP, HIT, TTP/HUS, DIC    薬剤(可逆性・不可逆性) 3. 二次止血: 凝固系   PT, APTTに変化がでる事が多い    血友病、vWD、後天性血友病

  • #20.

    評価:問診・身体所見 出血の家族歴   → 血友病、vWD 家族歴+患者における顔面,口唇,口腔または鼻粘膜,および指趾先端の毛細血管拡張     → 遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT=OWR) 下肢の触知可能紫斑     → アレルギー性紫斑病(HSP) 皮膚および粘膜など表層部位からの出血     → 血小板の量的もしくは質的な障害    または血管障害(例,アミロイドーシス) 深部組織への出血(関節出血,筋肉血腫,後腹膜出血)   → 凝固障害

  • #21.

    検査の第1歩 血小板:  血算 末梢血塗沫 凝固:   PT, APTT 出血時間: 特異性に欠けるため施行されない 血算、PT, APTTが(ほぼ)正常であれば       vWD,   HHT ,   13因子欠損      などの稀なものも考えられる

  • #22.

    血小板減少症 (詳細は別に) 凝集: 混和不十分など EDTA: EDTA依存性偽性血小板減少症 まず確認と再検査 (キャップ裏で凝集のことも) 入院患者(薬剤性・HIT)  vs.  外来患者(ITP) IPF 幼若(網)血小板比率 

  • #23.

    凝固カスケード https://quizlet.com/ja

  • #24.

    凝固因子による出血傾向のまとめ

  • #25.

    出血傾向の治療 (略) 原因治療 輸血  大量出血での輸血 トランサミン  ワーファリンのビタミンK拮抗 凝固因子補充  PCC  ケイセントラ

  • #26.

    Take home points 出血傾向を見たら まず出血部位と性状を確認 皮膚、粘膜、血管の問題はないか? 血小板(IPF) 、 PT / APTTを測定  凝固系延長パターンのいずれかを判断         (PT, APTT延長の組み合わせ)

投稿された先生へ質問や勉強になったポイントをコメントしてみましょう!

0 件のコメント

コメントするにはログインしてください >

島田利彦さんの他の投稿スライド

咽頭痛へのアプローチ~風邪と診断する前に

##centor criteria ##咽頭痛 #急性上気道炎 ##Killer sore throat #溶連菌性扁桃腺炎 ##石灰化頸長筋腱炎

206

80,294

最終更新:2022年5月27日

発熱・不明熱へのアプローチ

##発熱 #不明熱 ##免疫不全 #OPSI #脾摘 ##院内発熱 ##CRP ##抗生剤無効

408

271,067

最終更新:2022年5月19日

肝機能障害の読み解き方

#肝機能障害 #AST #ALT #胆汁鬱帯 #肝予備能 #ALP #アンモニア #門脈圧亢進 #フェリチン #肝細胞障害 #γGTP

371

59,234

最終更新:2023年8月25日

もっと見る



診療科ごとのスライド

内科(539)

消化器内科(69)

循環器内科(91)

呼吸器内科(135)

血液内科(37)

糖尿病内分泌代謝内科(69)

腎臓内科(51)

アレ膠リウマチ内科(51)

脳神経内科(115)

総合診療科(234)

救急科(433)

外科(39)

消化器外科(4)

呼吸器外科(38)

乳腺外科(0)

整形外科(92)

脳神経外科(23)

泌尿器科(25)

形成外科(24)

皮膚科(35)

眼科(19)

耳鼻咽喉科(14)

歯科口腔外科(9)

リハビリテーション科(12)

心臓血管外科(8)

小児科(66)

産婦人科(52)

精神科(73)

放射線科(88)

麻酔科(14)

緩和ケア科(29)

感染症科(236)

産業医(9)

初期研修医(533)

医学生(65)

その他(368)


Antaa Slide Post Banner
今すぐ投稿
Antaa Slide Post Banner今すぐ投稿

Antaa Slide

医師・医学生のためのスライド共有

投稿者インタビュー
Antaa QA

医師同士の質問解決プラットフォーム

App StoreからダウンロードGoogle Play Storeからダウンロード

会社概要

Antaa, Inc. All rights reserved.

Follow us on Facebook
Follow us on Twitter