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長澤@腎臓内科

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長澤@腎臓内科

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テキスト全文

  • #1.

    検尿のススメ 〜たんぱく尿、アルブミン尿は腎予後、生命予後に大事! 非専門医はここを押さえて治療して欲しい!〜 長澤@腎臓内科

  • #2.

    腎臓内科の思考回路 ✔ 腎臓の機能(eGFR)をできる限り維持する。 ✔ 心血管イベント(CVD)を減らす ✔ 腎機能低下に伴う合併症に対応する。 (代謝性アシドーシス、 腎性貧血、Ca×P 代謝異常)

  • #3.

    腎臓内科的疾患は検尿必須!(HD除) ※HD:血液透析 ✔腎臓は尿を生成・調整する臓器(その他ホルモン分泌もある) 検尿 🞐 尿量→体液量の恒常を保てているか否か 🞐 尿たんぱく(uP)・尿アルブミン(uAlb) → 腎臓が壊れている証拠 (さらに全身の血管が壊れている証拠として捉える) 🞐 尿赤血球→糸球体が壊れている証拠 尿生化学 🞐 尿電解質→電解質の調整

  • #4.

    uP は腎予後のマーカー ✔ uP が多い → eGFR 低下が早い!(下のイメージ) 累積割合 (%) uP 別 累積末期腎不全に達する割合 3+(15年で10-20%くらい) 10 この段階では無症状 早期介入が重要! 2+(15年で5-10%くらい) 5 1+ ・・・15年で1−2%くらい +/5 10 15 ここは糖尿病ならば uAlb で議論するところ。 観察期間(年)

  • #5.

    uP を見つけたら定量で! ⮚ 試験紙では(-)-(4+)だが、濃度で検出 → 希釈尿だと偽陰性になる事がある ⮚ - から +/- でも隠れ腎臓病がかなりいる → +/- 以上は一度uP定量。 ⮚ 定量は g/gCre(尿たんぱく濃度 / 尿中 Cr 濃度)で。 → <0.2g/gCre が正常。 ⮚ 小柄な人、尿中 Cr 低め → uP過大評価 ⮚ 大柄な人、尿中 Cr 高め → uP過小評価 → 成人男性が 1g/日尿に Cr を排泄するために、1日量の代わりとして使われる

  • #6.

    どのくらいの頻度で検尿? ✔ 高血圧(140/90 mmHg 以上あるいは降圧薬内服中)あるいは 糖尿病は 3ヶ月に一回は検尿 を! ✔ その他の人は誕生月に年一回でOK。 ✔ 医療機関ではためらわずuP定量を! (試験紙はスクリーニング用!) 3ヶ月に1回

  • #7.

    糖尿病、試験紙(-)→ アルブミン尿定量 ✔ 試験紙だけだとアルブミン尿を見逃す! ✔ → 試験紙では少ないアルブミン尿は検出できな い 試験紙の結果と実際のアルブミン尿の有無 試験紙 微量アルブミン(%) 顕性アルブミン(%) ー 0.2 10.1 +/ー 1.2 59.3 1+ 28.8 51.0 Clin Exp Nephrol. 2007 ;11(1):51-5 糖尿病あり 試験紙法 uP (-) uP (+/-) 尿中アルブミン定量を! 尿中たんぱく定量を!(g/gCre)

  • #8.

    何故 uAlb が重要か? ✔ CVDのマーカーとして有用 ✔ 腎症の進展のマーカーとして有用 ✔ 非専門医は uAlb をターゲットにした治療が確実かつ有用! →保険診療上は「早期糖尿病性腎症」で3ヶ月に1回測定可能」 (非糖尿病は苦しい。) ✔ 顕性蛋白尿は原則専門医紹介!

  • #9.

    uAlb と心血管イベント (アルブミン尿の程度) NA mA MA 60 ✔ uAlb ↑ で心血管イベント↑、RRTのリスク↑ 低 イベントのリスク eGFR (mL/min) ✔ eGFR↓で心血管イベント↑、RRTのリスク↑ ✔ eGFRとuAlbの組み合わせでより強力なマーカー 高 0 eGFR↓、uAlb↑でイベントが爆発的に増える。 ※大体においてeGFRは測っているのでここにuAlbを加える! RRT:腎代替療法(Renal Replacement Therapy) NA:Normoalbuminuria (0-29mg/gCre) mA:microalbuminuria(30-299mg/gCre) MA:macroalbuminuria(≧300mg/gCre)

  • #10.

    基本的には uAlb → uP へ進展 ✔ アルブミン尿が徐々に増えていき、顕性蛋白尿になる事が大半! ✔ いきなり顕性蛋白尿が出ている場合には、腎疾患を想定する → IgA腎症、膜性腎症など ✔上記の為にも「いつまで検尿が問題ないか」も大事

  • #11.

    uAlb と eGFR の関係 観察年数 eGFR変化(mL/min/1.73m2/年) アルブミン尿(-) :-0.22 (-2.22 – 2.01) 一般住民:-0.36 ここは問題ない。 臨床的には年に1未満のeGFR低下 は認識できない アルブミン尿(+):-2.68 (-6.15 – 0.56) ここはかなり問題 5年で10以上 eGFRさがる eGFR 試験紙(-)でも、このようにuAlbが隠れており進行が早い症例が存在する! →だからuAlb定量が必要! BMJ Open Diabetes Res Care. 2020 Mar;8(1):e000902 J Am Soc Nephrol. 2006 May;17(5):1444-52. から作図

  • #12.

    正常な人の腎機能低下速度 ✔ eGFR(mL/min/1.73m2)の年あたりの低下速度 →小さな変化なので過去のデータを年に1回は見直す ・日本の住民レベル:0.36 ・eGFR 40-50 :0.8-1.2 ・eGFR 30-39 :2.0-3.3 これを逸脱してeGFRの低下が早いときは Hypetens Res 2008;31:433-441 eGFR (mL/min) 紹介を検討 ・左図はeGFR低下のイメージ → 50から加速し、40を切ると転げ落ちる。 50 40 ・eGFR<30あたりから、薬の制限、腎性貧血、アシドーシス、 P、Ca代謝異常など色々起こる → これらがでてくるとフォローの間隔を調整する必要がある。 50 60 70 80 90 年齢(歳)

  • #13.

    日本人のベースライン eGFR ✔年齢で eGFR のベースラインが違う →若いのに eGFR が低い人が問題になることが多い! (mL/min/1.73m2) (2017年国民健康・栄養調査より作図) eGFRが毎年3-5減少しているのはおかしいと気付くことが大事!

  • #14.

    無難な紹介基準 eGFR (mL/min/1.73m2) ・75歳でeGFR<35は生涯でRRTになる可能性有 こういう人は心配ない → 特に若い人に腎移植、腹膜透析の話をするには 悩ましいが、75歳でeGFR35をかすりそうならば 一度見てもらう方が良いだろう 一度専門医に診てもらった方が良い。 → 超高齢者にRRTどうするか?と言う話も必要 ・eGFR>35であれば、治療オプションも多い → 腎生検で確定診断するメリットも多い 35 この場合が想定できる場合は 紹介しておいた方が良い(年齢によらず) 75 年齢(歳) ※紹介基準は地域の腎臓診療の状況にかなり依存する

  • #15.

    アルブミン尿の進展(JDCS) <30 >90 60-89 30-299 ※JDCS:日本糖尿病合併症研究 >300 0.67%/年 45-59 ✔1990→2000年代で腎症への進展は かなり改善した。 この数字以下が目標。 Diabetologia. 2011; 54: 1025-31 30-44 15-29 <15 かかりつけ医→腎臓専門医の紹介基準に準拠 赤 :紹介 黄色:血尿プラスなら紹介 40未満なら紹介。生活指導、診療継続 緑 :経過観察 ✔2010年代以降でさらに改善する見込み → SGLT2阻害薬・GLP-1・DPP4阻害薬が でてきたため。 ✔ただし患者数が圧倒的多数(1000万人以上) → 皆が対応できる必要有

  • #16.

    uAlb↓には血圧が大事! ✔ RAS系を使ってまず 140/90 mmHg を達 成! (mmHg) ここがコスパが高い これ以上下げると過降圧など懸念↑ (mmHg) 最近は死亡率の観点からここまでは下げない Diabetes Care 2005; 28: 2733-2738から作図

  • #17.

    血糖も脂質も一緒に良くする! 血圧、脂質、血糖未達成を1とした時の uP 寛解の Odds Ratio 〜 6.2 3個達成がとても大事! 禁煙も加えると尚良い 🞐 血圧:<130/80mmmHg 🞐 脂質: ・TC <200mg/dl 2.0 1.0 ・TG<150mg/dl 1.2 ・HDL>40mg/dl 🞐 目標達成検査値の個数 Diabetes. 2005 Oct;54(10):2983-7 Diabetes. 2007 Jun;56(6):1727-30. より作図 血糖:HbA1c<7.0% ※続報でeGFRの低下抑制、 心血管イベント↓

  • #18.

    目標値に達するまで手を緩めない ✔ 良い薬がたくさんあるのに、 ✔ これだけしか治療目標を達成していない! 項目 目標値 達成率 血糖 HbA1c < 7.0% 50%強 血圧 < 140/90 mmHg 70%強 脂質 non-HDL < 130 mg/dL 50%強 (米国国民栄養調査の糖尿病患者のデータ) ✔ 恐らく日本でも同程度 (N Engl J Med 2021; 384:2219-2228) このギャップを埋めることで腎症の進展も抑制!

  • #19.

    腎臓内科紹介のポイント 🞐 治療目標※に達しているのにuPが減らない、eGFRが低下する。 → 腎炎などが隠れている事がある ※<140/90mmHg, HbA1c<7.0%, non- HDL<130mg/dl 🞐 そもそも治療目標に達しない!(特に血圧) → 二次性の否定など必要になります 🞐 uPがでていないのに、eGFRがじわじわ下がる。 → 多発嚢胞腎や IgG4 関連腎疾患、シェーグレン症候群などが隠れている事あり 紹介を検討

  • #20.

    Tips ✔ 腎臓内科に紹介時は血清クレアチニンと検尿を必ずセットで! ✔ 顕性蛋白尿、eGFR↓早いときは紹介 ✔ 糖尿病ではアルブミン尿が腎機能低下、心血管イベントの有用な ✔ マーカー → 3~6 か月に 1 回はチェックしよう! ✔ アルブミン尿を減らすためには血圧を中心に血糖・脂質も良くする。 ✔ 目標達成までは手を緩めない。

検尿のススメ 〜たんぱく尿、アルブミン尿は腎予後、生命予後に大事! 非専門医はここを押さえて治療して欲しい!〜

  • 内科

  • 腎臓内科

  • 腎臓内科
  • 検尿
  • 尿たんぱく
  • uP
  • アルブミン尿
  • eGFR
  • 紹介基準

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投稿者プロフィール
長澤@腎臓内科

東北大学病院

概要

◎目次

・腎臓内科の思考回路

・腎臓内科的疾患は検尿必須!(HD除)

・uP は腎予後のマーカー

・uP を見つけたら定量で!

・どのくらいの頻度で検尿?

・糖尿病、試験紙(-)→ アルブミン尿定量

・何故 uAlb が重要か?

・uAlb と心血管イベント

・基本的には uAlb → uP へ進展

・uAlb と eGFR の関係

・正常な人の腎機能低下速度

・日本人のベースライン eGFR

・無難な紹介基準

・アルブミン尿の進展(JDCS)

・uAlb↓には血圧が大事!

・血糖も脂質も一緒に良くする!

・目標値に達するまで手を緩めない

・腎臓内科紹介のポイント

・Tips

本スライドの対象者

研修医/専攻医

参考文献

  • Clin Exp Nephrol. 2007 ;11(1):51-5

  • BMJ Open Diabetes Res Care. 2020 Mar;8(1):e000902 J Am Soc Nephrol. 2006 May;17(5):1444-52.

  • Diabetes Care 2005; 28: 2733-2738

  • Diabetes. 2005 Oct;54(10):2983-7

  • Diabetes. 2007 Jun;56(6):1727-30.

  • N Engl J Med 2021; 384:2219-2228

テキスト全文

  • #1.

    検尿のススメ 〜たんぱく尿、アルブミン尿は腎予後、生命予後に大事! 非専門医はここを押さえて治療して欲しい!〜 長澤@腎臓内科

  • #2.

    腎臓内科の思考回路 ✔ 腎臓の機能(eGFR)をできる限り維持する。 ✔ 心血管イベント(CVD)を減らす ✔ 腎機能低下に伴う合併症に対応する。 (代謝性アシドーシス、 腎性貧血、Ca×P 代謝異常)

  • #3.

    腎臓内科的疾患は検尿必須!(HD除) ※HD:血液透析 ✔腎臓は尿を生成・調整する臓器(その他ホルモン分泌もある) 検尿 🞐 尿量→体液量の恒常を保てているか否か 🞐 尿たんぱく(uP)・尿アルブミン(uAlb) → 腎臓が壊れている証拠 (さらに全身の血管が壊れている証拠として捉える) 🞐 尿赤血球→糸球体が壊れている証拠 尿生化学 🞐 尿電解質→電解質の調整

  • #4.

    uP は腎予後のマーカー ✔ uP が多い → eGFR 低下が早い!(下のイメージ) 累積割合 (%) uP 別 累積末期腎不全に達する割合 3+(15年で10-20%くらい) 10 この段階では無症状 早期介入が重要! 2+(15年で5-10%くらい) 5 1+ ・・・15年で1−2%くらい +/5 10 15 ここは糖尿病ならば uAlb で議論するところ。 観察期間(年)

  • #5.

    uP を見つけたら定量で! ⮚ 試験紙では(-)-(4+)だが、濃度で検出 → 希釈尿だと偽陰性になる事がある ⮚ - から +/- でも隠れ腎臓病がかなりいる → +/- 以上は一度uP定量。 ⮚ 定量は g/gCre(尿たんぱく濃度 / 尿中 Cr 濃度)で。 → <0.2g/gCre が正常。 ⮚ 小柄な人、尿中 Cr 低め → uP過大評価 ⮚ 大柄な人、尿中 Cr 高め → uP過小評価 → 成人男性が 1g/日尿に Cr を排泄するために、1日量の代わりとして使われる

  • #6.

    どのくらいの頻度で検尿? ✔ 高血圧(140/90 mmHg 以上あるいは降圧薬内服中)あるいは 糖尿病は 3ヶ月に一回は検尿 を! ✔ その他の人は誕生月に年一回でOK。 ✔ 医療機関ではためらわずuP定量を! (試験紙はスクリーニング用!) 3ヶ月に1回

  • #7.

    糖尿病、試験紙(-)→ アルブミン尿定量 ✔ 試験紙だけだとアルブミン尿を見逃す! ✔ → 試験紙では少ないアルブミン尿は検出できな い 試験紙の結果と実際のアルブミン尿の有無 試験紙 微量アルブミン(%) 顕性アルブミン(%) ー 0.2 10.1 +/ー 1.2 59.3 1+ 28.8 51.0 Clin Exp Nephrol. 2007 ;11(1):51-5 糖尿病あり 試験紙法 uP (-) uP (+/-) 尿中アルブミン定量を! 尿中たんぱく定量を!(g/gCre)

  • #8.

    何故 uAlb が重要か? ✔ CVDのマーカーとして有用 ✔ 腎症の進展のマーカーとして有用 ✔ 非専門医は uAlb をターゲットにした治療が確実かつ有用! →保険診療上は「早期糖尿病性腎症」で3ヶ月に1回測定可能」 (非糖尿病は苦しい。) ✔ 顕性蛋白尿は原則専門医紹介!

  • #9.

    uAlb と心血管イベント (アルブミン尿の程度) NA mA MA 60 ✔ uAlb ↑ で心血管イベント↑、RRTのリスク↑ 低 イベントのリスク eGFR (mL/min) ✔ eGFR↓で心血管イベント↑、RRTのリスク↑ ✔ eGFRとuAlbの組み合わせでより強力なマーカー 高 0 eGFR↓、uAlb↑でイベントが爆発的に増える。 ※大体においてeGFRは測っているのでここにuAlbを加える! RRT:腎代替療法(Renal Replacement Therapy) NA:Normoalbuminuria (0-29mg/gCre) mA:microalbuminuria(30-299mg/gCre) MA:macroalbuminuria(≧300mg/gCre)

  • #10.

    基本的には uAlb → uP へ進展 ✔ アルブミン尿が徐々に増えていき、顕性蛋白尿になる事が大半! ✔ いきなり顕性蛋白尿が出ている場合には、腎疾患を想定する → IgA腎症、膜性腎症など ✔上記の為にも「いつまで検尿が問題ないか」も大事

  • #11.

    uAlb と eGFR の関係 観察年数 eGFR変化(mL/min/1.73m2/年) アルブミン尿(-) :-0.22 (-2.22 – 2.01) 一般住民:-0.36 ここは問題ない。 臨床的には年に1未満のeGFR低下 は認識できない アルブミン尿(+):-2.68 (-6.15 – 0.56) ここはかなり問題 5年で10以上 eGFRさがる eGFR 試験紙(-)でも、このようにuAlbが隠れており進行が早い症例が存在する! →だからuAlb定量が必要! BMJ Open Diabetes Res Care. 2020 Mar;8(1):e000902 J Am Soc Nephrol. 2006 May;17(5):1444-52. から作図

  • #12.

    正常な人の腎機能低下速度 ✔ eGFR(mL/min/1.73m2)の年あたりの低下速度 →小さな変化なので過去のデータを年に1回は見直す ・日本の住民レベル:0.36 ・eGFR 40-50 :0.8-1.2 ・eGFR 30-39 :2.0-3.3 これを逸脱してeGFRの低下が早いときは Hypetens Res 2008;31:433-441 eGFR (mL/min) 紹介を検討 ・左図はeGFR低下のイメージ → 50から加速し、40を切ると転げ落ちる。 50 40 ・eGFR<30あたりから、薬の制限、腎性貧血、アシドーシス、 P、Ca代謝異常など色々起こる → これらがでてくるとフォローの間隔を調整する必要がある。 50 60 70 80 90 年齢(歳)

  • #13.

    日本人のベースライン eGFR ✔年齢で eGFR のベースラインが違う →若いのに eGFR が低い人が問題になることが多い! (mL/min/1.73m2) (2017年国民健康・栄養調査より作図) eGFRが毎年3-5減少しているのはおかしいと気付くことが大事!

  • #14.

    無難な紹介基準 eGFR (mL/min/1.73m2) ・75歳でeGFR<35は生涯でRRTになる可能性有 こういう人は心配ない → 特に若い人に腎移植、腹膜透析の話をするには 悩ましいが、75歳でeGFR35をかすりそうならば 一度見てもらう方が良いだろう 一度専門医に診てもらった方が良い。 → 超高齢者にRRTどうするか?と言う話も必要 ・eGFR>35であれば、治療オプションも多い → 腎生検で確定診断するメリットも多い 35 この場合が想定できる場合は 紹介しておいた方が良い(年齢によらず) 75 年齢(歳) ※紹介基準は地域の腎臓診療の状況にかなり依存する

  • #15.

    アルブミン尿の進展(JDCS) <30 >90 60-89 30-299 ※JDCS:日本糖尿病合併症研究 >300 0.67%/年 45-59 ✔1990→2000年代で腎症への進展は かなり改善した。 この数字以下が目標。 Diabetologia. 2011; 54: 1025-31 30-44 15-29 <15 かかりつけ医→腎臓専門医の紹介基準に準拠 赤 :紹介 黄色:血尿プラスなら紹介 40未満なら紹介。生活指導、診療継続 緑 :経過観察 ✔2010年代以降でさらに改善する見込み → SGLT2阻害薬・GLP-1・DPP4阻害薬が でてきたため。 ✔ただし患者数が圧倒的多数(1000万人以上) → 皆が対応できる必要有

  • #16.

    uAlb↓には血圧が大事! ✔ RAS系を使ってまず 140/90 mmHg を達 成! (mmHg) ここがコスパが高い これ以上下げると過降圧など懸念↑ (mmHg) 最近は死亡率の観点からここまでは下げない Diabetes Care 2005; 28: 2733-2738から作図

  • #17.

    血糖も脂質も一緒に良くする! 血圧、脂質、血糖未達成を1とした時の uP 寛解の Odds Ratio 〜 6.2 3個達成がとても大事! 禁煙も加えると尚良い 🞐 血圧:<130/80mmmHg 🞐 脂質: ・TC <200mg/dl 2.0 1.0 ・TG<150mg/dl 1.2 ・HDL>40mg/dl 🞐 目標達成検査値の個数 Diabetes. 2005 Oct;54(10):2983-7 Diabetes. 2007 Jun;56(6):1727-30. より作図 血糖:HbA1c<7.0% ※続報でeGFRの低下抑制、 心血管イベント↓

  • #18.

    目標値に達するまで手を緩めない ✔ 良い薬がたくさんあるのに、 ✔ これだけしか治療目標を達成していない! 項目 目標値 達成率 血糖 HbA1c < 7.0% 50%強 血圧 < 140/90 mmHg 70%強 脂質 non-HDL < 130 mg/dL 50%強 (米国国民栄養調査の糖尿病患者のデータ) ✔ 恐らく日本でも同程度 (N Engl J Med 2021; 384:2219-2228) このギャップを埋めることで腎症の進展も抑制!

  • #19.

    腎臓内科紹介のポイント 🞐 治療目標※に達しているのにuPが減らない、eGFRが低下する。 → 腎炎などが隠れている事がある ※<140/90mmHg, HbA1c<7.0%, non- HDL<130mg/dl 🞐 そもそも治療目標に達しない!(特に血圧) → 二次性の否定など必要になります 🞐 uPがでていないのに、eGFRがじわじわ下がる。 → 多発嚢胞腎や IgG4 関連腎疾患、シェーグレン症候群などが隠れている事あり 紹介を検討

  • #20.

    Tips ✔ 腎臓内科に紹介時は血清クレアチニンと検尿を必ずセットで! ✔ 顕性蛋白尿、eGFR↓早いときは紹介 ✔ 糖尿病ではアルブミン尿が腎機能低下、心血管イベントの有用な ✔ マーカー → 3~6 か月に 1 回はチェックしよう! ✔ アルブミン尿を減らすためには血圧を中心に血糖・脂質も良くする。 ✔ 目標達成までは手を緩めない。

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