アプリだとスライドの中のお気に入りの1ページを保存できます
インストール

戦え緩和ケア ~四の五の言わずに症状取ったらええねん~

使用されているブラウザではスライドの拡大ができません。iPadをご利用の場合はSafariをお試しください

1/89

シェア
岡村 知直

2021/12/09

岡村 知直

みなとクリニック

24575 page views

在宅で疼痛緩和をする医療者のためにまとめました。エビデンスが少ない世界なので、個人的見解に振り切っています。
在宅に関わってなくても、緩和ケアに関心ある人全てが対象のスライドでございます。

- Featured Contents -

【公式】Antaa Slideへのアップロード方法

Antaa Slideは、医師・医学生のためのスライド共有プラットフォームです。 本スライドでは、Antaa Slideへのスライドアップロード方法を解説します。 ① Antaa Slideへのログイン方法 ② スライドのアップロード方法 ③ アップロードしたスライドの確認方法 ④ ご利用にあたっての注意点 勉強会やセミナーのために作ったスライドを、皆でシェアして知識をつないでいきましょう。アップロードをお待ちしています! ※登録には、医師資格登録年度または医学部卒業見込み年度の入力が必要です。 <以下のnoteもぜひご覧ください> Antaa Slideは、医師同士の“Giveの精神”でつながるスライド共有プラットフォーム https://note.com/antaa/n/n5fabdc34a32f Antaa Slideってどんなサービス? 反響をまとめてみました https://note.com/antaa/n/nd09bf6ed8f3f

40626 20

オミクロン(B.1.1.529系統)について

2021年11月から急速に世界中に拡がり、2022年1月初旬から日本でも急速に増加しているオミクロンについて、2022年1月6日時点でわかっていることについてまとめました。日本政府の方針に合わせて、2022年1月10日に1回目の改訂を行い、2022年1月15日に再度改訂しました。このスライドは、作者が個人的に作成したものであり、所属施設の見解を代表したものではありません。

169845 61

2022.1.11時点のCOVID治療について

様々な新薬が使用できるようになりCOVID治療の選択肢が増えました。 2022.1.11時点におけるCOVIDの標準治療をまとめました。 参照される際は最新の情報をもとにご活用いただきますようお願い致します。

7602 42

内科医のための脳出血とくも膜下出血

内科医が苦手意識があるかもしれない、出血性脳卒中について初療の重要ポイントを、その後の脳神経外科医の仕事にもイメージがわくように、まとめました。「内科医のための」とありますが、内科医ではない先生も、研修医の先生も、ぜひ少しでも御参考頂ければ幸いです。

25435 46

在宅医療における看取りの作法

在宅医療の看取りを言語化したときに「一定の作法・型がある」というのが私の臨床経験上の1つの結論です。トータルペイン、看取りのパンフレット、キュブラー・ロスの死の受容5段階モデルの活用など。より具体的にスライド作成していますので、明日の在宅医療現場で意識してもらえたら幸いです。

4762 12

救急外来で気軽に使える漢方入門 漢方はじめるならこの症候 3選

本スライドは「現代医学的な視点」で「西洋医学を補完」するための救急漢方の入門編です. ◎対象者 ・救急外来で漢方を役立てたい人 ・漢方に興味があるが, はじめ方がわからない人 ・漢方特有の理論が苦手な人 ◎目次 ・本スライドの対象者 ・救急漢方はどんなときに役立つ? ・救急漢方の特徴は? ・救急漢方はじめるならこの症候 ・めまい ・便秘 ・打撲 ・もっと救急漢方を役立てたい方 ・最後に漢方の代表的な副作用をチェック ・Take home message

10287 41

「脊髄損傷」コレだけは 〜基本的な初期対応〜

脊髄損傷の「評価の方法」「手術の是非」「ステロイド大量療法の是非」が学べます。当直などで脊髄損傷が来るとなった時でも焦らずに対応できるよう学んでいきましょう。 ◎目次 ・今回のスライドで学べること ・脊髄損傷でもまずはABCDE ・バイタルが安定したら脊髄損傷の評価 ・高位診断 ・損傷高位と達成可能な予後 ・脊髄損傷の重症度評価 ・脊髄損傷の重症度による予後予測 ・脊髄損傷に対する手術治療の是非 ・ステロイド大量療法の是非 ・脊髄損傷の初期合併症の注意点と対応 ・ステミラック注 ・TAKE HOME MESSAGE

6064 33
もっと見る

戦え緩和ケア ~四の五の言わずに症状取ったらええねん~

1. 戦え緩和ケア~四の五の言わずに症状取ったらええねん~ みなとクリニック 岡村 知直 千葉在宅診療クリニック 岡本 宗一郎
2. 自己紹介 福岡県福岡市出身 大阪府大阪市在住 九州大学医学部医学科卒業(2010年) 茅ヶ崎徳洲会総合病院 初期研修(救急医志望) →飯塚病院総合診療科 後期研修医/スタッフ →飯塚病院連携医療・緩和ケア科 一般内科診療&緩和ケアチーム&他医院から訪問診療 &慢性期病院での緩和ケアコンサルテーション 救急緩和ケアセミナー運営開始(第1回~7回) 2020年より大阪府大阪市北区長柄の小さなクリニックへ 資格 総合内科専門医 緩和医療専門医    グロービス経営大学院卒(2017年)
3. 自己紹介 名前:岡本 宗一郎 出身:東京都 経歴:昭和大学医学部(剣道部で東医体団体2連覇)      亀田総合病院 初期研修      あそかビハーラ病院      聖隷三方原病院 ホスピス科      貞栄会←在宅医療にチャレンジ中 緩和ケア医を目指すきっかけ 1.大学時代の恩師(剣道部OBの高宮有介先生) 2.忘れられない患者
4.     在宅の緩和ケアと入院緩和ケア 在宅では医療資源に限界がある 在宅では医療者が到着するまで時間がかかる 在宅では治療の安全性という点では入院に劣る
5.         お持ち帰りポイント 在宅緩和ケアではPCAを使いこなせ!! 症状緩和のための次のプランを常に考えよ!!! それでも症状が取れない時に:治療抵抗性の苦痛を考える
6. 緩和ケア医と総合診療医で何が違うの? あんまり変わりません 緩和ケア医は、「この先どんな経過になるのかなあ」が経験的にわかります(でもよく外れます) 経験的に「あ、これはオピオイド効かへんわ、とっととメサドン入れるか」とか「これはあかん。すぐブロック頼めるところ探すわ」とか見極め早いです
7.               緩和ケアを実践するための戦略を立てよう 緩和ケアを実践するために医学的知識を持っておこう できることとできないことの見極めを早く行おう
8.          戦略を立てる前に 生命予後は? 機能予後は? 社会的状況は?(介護力、経済力、バックアップベッド) 病状認識は?
9. BMJ 2005;330:1007-11 Illness trajectories and palliative care 慢性疾患(心不全、呼吸不全)パターン 認知症・老衰パターン ①突然死パターン(数秒~数時間) ②急性疾患パターン(数日~数週間) ③老衰自然死パターン(数か月~数年) 入院を繰り返す ① ② ③ trajectory:軌道 Illness trajectory
10. Illness trajectory BMJ 2005;330:1007-11 Illness trajectories and palliative care 悪性腫瘍パターン ①高齢者 ②若年者 ① ②
11. 大雑把な予後予測 がん:月単位、週単位、日単位と身体機能低下の低下は進んでいく。突然死もありうるが、亡くなる直前まで歩いていた、なども珍しくない。 非がん:増悪・緩解を繰り返し徐々に身体機能低下。予後は予測しにくい。また、増悪時の可逆性の判断が難しい!
12. がんの予後予測ツール PaPスコア (Palliative Prognosis Score) PPI (Palliative Prognostic Index) PiPSモデル (Prognosis in Palliative care Study predictor models)
13.         亡くなる直前の変化 内服困難 身の置き所のない苦痛 死前喘鳴
14.            戦略を立てる ① 医学的状況を整理する(身体症状の原因) ② 生命予後、機能予後を推測する ③ そのうえで症状緩和の目標と治療計画を大まかに立てる ④ うまくいかなかった際のことも想定する ⑤ 以上を患者、スタッフ全体と共有する 症状が強い場合は、上記と並行して症状緩和を始める
15.               注意点 症状緩和に関しては結構エビデンスが確立されていない部分が大きい 複数選択肢を知っておくことが大事 Do No Harmの原則からは逸脱しないこと
16.     症状緩和の計画を立てる前に 疼痛の原因は何か? インターベンションの適応はないのか?? あるとしたら、それを施行できる環境はどこなのか? それによって失われる時間と、得られる利益はどれくらいあるのか?
17. 在宅だと限定される ※採血、エコー等
18. 症例1 75歳男性、 StageⅣの右肺尖部扁平上皮肺癌。胸膜と椎体への浸潤を認める。右腕全体にNRS5/10(中等度)のびりびりするような疼痛。1日に1-2回の悶えるような疼痛が出現する。 ADLは車椅子、息苦しさはないが浮腫あり、食事量は3割程度。むせはなかった。  Q1:鎮痛薬を始めよう。 何を選ぶ?  Q2:医療用麻薬の開始と増量。 どうする?  Q3:疼痛増強。 どう対応する?
19. 症例1 75歳男性、 StageⅣの右肺尖部扁平上皮肺癌。胸膜と椎体への浸潤を認める。右腕全体にNRS5/10(中等度)のびりびりするような疼痛。1日に1-2回の悶えるような疼痛が出現する。 ADLは車いす、息苦しさはないが浮腫あり、食事量は3割程度。むせはなかった。  Q1:鎮痛薬を始めよう。 何を選ぶ?  Q2:医療用麻薬の開始と増量。 どうする?  Q3:疼痛増強。 どう対応する?
20. 症例 患者を診たてる ① 医学的状況を整理する(身体症状の原因)   →胸膜と腰椎浸潤。神経障害性疼痛か混合性疼痛かな… ② 生命予後、機能予後を推測する   →PPIは1点、42日以上(月単位)の可能性あり
21. 症例 患者を診たてる ③ そのうえで症状緩和の目標を大まかに立てる   →疼痛&(今後生じうる)呼吸困難の症状緩和を考えよう ④ うまくいかなかった際のことも想定する   →オピオイド抵抗性の疼痛であり、放射線治療、     メサドン、神経ブロックまで行うか検討 ⑤ 以上を患者、スタッフ全体と共有する   →みんなで共有しよう
22. 症例 75歳男性、 StageⅣの右肺尖部扁平上皮肺癌。胸膜と椎体への浸潤を認める。右腕全体にNRS5/10(中等度)のびりびりするような疼痛。1日に1-2回の悶えるような疼痛が出現する。 ADLは車椅子、息苦しさはないが浮腫あり、食事量は3割程度。むせはなかった。  Q1:鎮痛薬を始めよう。 何を選ぶ?  Q2:医療用麻薬の開始と増量。 どうする?  Q3:疼痛増強。 どう対応する?
23. レスキュー がん性疼痛と鎮痛薬 持続痛 突出痛 定期薬 NRS 時間
24. 鎮痛薬を始めよう。  よくみる処方  定期薬  ロキソプロフェン60mg3錠+レバミピド3錠  毎食後  カロナール200mg8錠分4  毎食後、就寝前  トラマール25mg4錠分4  毎食後、就寝前  (もしくはトラムセット4錠分4  毎食後、就寝前) 果たして、これでいいのだろうか…
25. どんな問題があるか 問題1 非オピオイドや弱オピオイドはがん性疼痛に必須か 問題2 内服負担の観点からするとポリファーマシーになりがち
26. どんな問題があるか 問題1 非オピオイドや弱オピオイドはがん性疼痛に必須か 問題2 内服負担の観点からするとポリファーマシーになりがち
27. WHO方式がん疼痛治療法 ①経口的に(by mouth)②時刻を決めて規則正しく(by the clock) ③除痛ラダーにそって効力の順に(by the ladder)④患者ごとに個別的な量で(for the individual)⑤その上で細かい配慮を(with attention to detail)              除痛ラダーって…分かった!              あれでしょ、あれ。
28. WHO方式がん疼痛治療法 ラダー除痛法 非オピオイド鎮痛薬(NSAIDs、アセトアミノフェン)±鎮痛補助薬 強オピオイド ・モルヒネ ・オキシコドン ・フェンタニル ・メサドン 弱オピオイド ・コデイン ・トラマール (その他:少量のオキシコドン) 第一段階 第二段階 第三段階
29. WHO方式がん疼痛治療法 ラダー除痛法 非オピオイド鎮痛薬(NSAIDs、アセトアミノフェン)±鎮痛補助薬 強オピオイド ・モルヒネ ・オキシコドン ・フェンタニル ・メサドン 弱オピオイド ・コデイン ・トラマール (その他:少量のオキシコドン) 第一段階 第二段階 第三段階
30. ①経口的に(by mouth)②時刻を決めて規則正しく(by the clock)③患者ごとに個別的な量で(for the individual)④その上で細かい配慮を(with attention to detail) “除痛ラダーにそって効力の順に(by the ladder)“ が削除された シン・WHO方式がん疼痛治療法
31. NSAIDs エビデンス 高度の痛みを除き、NSAIDsはプラセボより鎮痛効果は強い オピオイドとの併用は有効であるが、有害事象が増える 異なるNSAIDsの比較では、効果は同等であった ガイドライン推奨文 がん疼痛の患者にNSAIDsを投与する(強い推奨 中等度の根拠)  オピオイドで不十分な時にNSAIDsを併用する(弱い推奨 弱い根拠)
32. アセトアミノフェン エビデンス 軽度な疼痛患者でアセトアミノフェン vs プラセボの試験はない オピオイドへの上乗せは、中用量でそこそこ有効、高用量で無効である ※高用量はモルヒネ200mg、フェントステープ7mgになる ガイドライン推奨文 軽度のがん疼痛の患者にアセトアミノフェンを投与する(強い推奨 弱い根拠)  オピオイドで不十分な時にアセトアミノフェンを併用する(弱い推奨 弱い根拠) Stockler M. J Clin Oncol. 2004;22:3389-94. Israel FJ, et al. J Pain Symptom Manage. 2010;39:548-554.
33. 弱オピオイド vs 強オピオイド 対象  非オピオイド鎮痛薬で鎮痛できないNRS4-6(中等度)の疼痛の患者240名 方法  非盲検化ランダム比較試験 介入  弱オピオイド(トラマール/コデイン) vs 強オピオイド(モルヒネ)     NRS20%以上低下で有効率を評価 結果  強オピオイドから開始したほうが有意に鎮痛がよく、副作用も少なかった 通常の場合は強オピオイドから導入するのがよさそう。 麻薬忌避や咳嗽が主体時には、弱オピオイドの出番あり。 Bandieri E, Romero M, Ripamonti CI, et al. Randomized Trial of Low-Dose Morphine Versus Weak Opioids in Moderate Cancer Pain. J. Clin. Oncol. 2016;34(5):436-442
34. ここまで 1.シン・WHO方式がん疼痛治療法から除痛ラダーがなくなった 2.非オピオイド鎮痛薬を併用しないといけないわけではない 3.弱オピオイドを使用せず、強オピオイドから開始しても構わない
35. どんな問題があるか 問題1 非オピオイドや弱オピオイドはがん性疼痛に必須か 問題2 内服負担の観点からするとポリファーマシーになりがち
36. がん患者のポリファーマシー がん患者は鎮痛薬や下剤、抗精神病薬などの症状緩和の薬剤によりポリファーマシーになりやすい 1回の内服数や回数が多いことが、本人の負担になる 本人が辛そうだと家族も感じている →内服数を減らすことは、がん患者&家族の負担軽減につながる
37. がん患者のポリファーマシー がん患者のポリファーマシー がん患者&家族の負担感が増える 薬は少ない方がよい
38. NSAIDsとアセトアミノフェン
39. NSAIDsとアセトアミノフェン
40. トラマドール製剤
41. トラマドール製剤
42. 鎮痛薬を始めよう。  おすすめ処方  腎機能〇   メロキシカム10mg1錠分1  1日1回   セレコキシブ100mg2錠分2  朝食後・眠前(8時・20時)  内服△   経皮吸収型ジクロフェナク2~3枚  1日1回貼付  腎機能△、オピオイド忌避がある   トラマドール製剤:ワントラム100mg1錠分1  1日1回   トラマドール配合錠:トラムセット4錠分4 毎食後、眠前  
43. 補足)COX-2選択性 COX-2選択性の程度   メロキシカム   セレコキシブ   ジクロフェナク  上から順に、COX-2選択性が高い    経皮吸収型ジクロフェナクはCOX-2選択性が高く  終末期も比較的使いやすいとされる Warner TD, Giuliano F, Vojnovic I, Bukasa A, Mitchell JA, Vane JRNonsteroid drug selectivities for cyclooxygenase-1 rather than cyclooxygenase-2 are associated with human gastrointestinal toxicity: a full in vitro analysis. Proc Natl Acad Sci USA 96: 7563-7568 COX-2選択的NSAIDs
44. 補足)ロキソプロフェンの出番は… 最も処方されているポピュラーな薬剤≒入手容易なのが強み 細粒&内服液は約18分でTmax、頓服ではおすすめである
45. 補足)アセトアミノフェンの出番は… 腎機能障害でも使用できるのが強み、入手もほぼできる 錠剤と細粒には大きな差がなく30分で効く。効果は短め 坐剤は効くまで2時間30分、半減期は4時間以上と長め
46. 症例 75歳男性、 StageⅣの右肺尖部扁平上皮肺癌。胸膜と椎体への浸潤を認める。右腕全体にNRS5/10(中等度)のびりびりするような疼痛。1日に1-2回の悶えるような疼痛が出現する。 ADLは車椅子、息苦しさはないが浮腫あり、食事量は3割程度。むせはなかった。  Q1:鎮痛薬を始めよう。 何を選ぶ?  Q2:医療用麻薬の開始と増量。 どうする?  Q3:疼痛増強。 どう対応する?
47. 医療用麻薬の開始。  とある処方  定期薬   モルヒネ10mg2錠分2 1日2回(8時・20時)   or オキシコドン10mg2錠分2  1日2回(8時・20時)  レスキュー   モルヒネ速放製剤5mg1包  1回1包   or オキシコドン速放製剤2.5mg1包  1回1包     (オキノーム散、オキシコドン内服液)
48. 医療用麻薬の開始。  簡易換算表 モルヒネ 30mg オキシコドン 20mg フェンタニル貼付剤 1mg ヒドロモルフォン6mg タペンタドール100mg
49. 医療用麻薬の開始。  簡易換算表 モルヒネ 30mg オキシコドン 20mg フェンタニル貼付剤 1mg ヒドロモルフォン6mg タペンタドール100mg
50. 医療用麻薬の開始。  おすすめ処方  定期薬 ()は商品名  内服〇~△   ヒドロモルフォン6mg1錠分1 1日1回   (高齢者→ヒドロモルフォン2mg1錠分1 1日1回)    腎機能×   フェンタニル貼付剤1mg1枚  1日1枚 貼付   (高齢者→フェンタニル貼付剤1mg1枚  1日1枚 貼付)    ※調整性を考慮して1mg1枚 1日半面 貼付
51. 医療用麻薬の開始。  おすすめ処方  レスキュー  内服〇   モルヒネ速放製剤5mg1包  1回1包   or オキシコドン速放製剤2.5mg1包  1回1包  内服△~×   アブストラル舌下錠/バッカル錠100μg  1回1錠から
52. 症例 75歳男性、 StageⅣの右肺尖部扁平上皮肺癌。胸膜と椎体への浸潤を認める。右腕全体にNRS5/10(中等度)のびりびりするような疼痛。1日に1-2回の悶えるような疼痛が出現する。 ADLは自立、息苦しさはないが浮腫あり、1-2か月で食事量はすこし減少。むせはなかった。  Q1:鎮痛薬を始めよう。 何を選ぶ?  Q2:医療用麻薬の開始と増量。 どうする?  Q3:疼痛増強。 どう対応する?
53. 疼痛増強。  疼痛が増強した時の考え方 1.定期薬の増量 2.持続皮下注射 3.ほかの鎮痛方法を検討する
54. 疼痛増強。  疼痛が増強した時の考え方 1.定期薬の増量 2.持続皮下注射 3.ほかの鎮痛方法を検討する
55. 定期薬を増やす場合   増量幅は1.2~1.5倍が安全域とされる 定期薬の増量だけでは、血中濃度上昇まで時間が掛かる レスキューでつなぎながら、定期薬の血中濃度の上昇を待つ 例)レスキュー6時間毎+フェンタニル貼付剤増量 定期薬の増量
56. 疼痛増強。  疼痛が増強した時の考え方 1.定期薬の増量 2.持続皮下注射 3.ほかの鎮痛方法を検討する
57. 「定期薬の増量」 と考え方は同じ 持続皮下注射
58. 持続皮下注射の導入を検討する場合  急激な疼痛増強では血中濃度を速やかに上昇させたい 持続皮下注射は速やかなタイトレーションに優れている 開始とともにレスキューを行い、持続皮下注射の血中濃度の上昇を待つ 例)適宜レスキュー+持続皮下注射 持続皮下注射
59. 補足)持続皮下注射で用いる機器 1.電動式精密型ポンプ  ①.シリンジ型:テルフュージョン小型シリンジポンプTE-361(テルモ)  ②.リザーバー型:デルテックポンプCADDシリーズ(スミスメディカル) 2.ディスポーザルポンプ  ①.シュアーフューザーA(ニプロ)  ②.アキュフューザー(クリメートメディック)  ③.クーデックシリンジェクター(大研医器)
60. テルフュージョン小型シリンジポンプTE-361(テルモ) ・10mlのシリンジ、0.05ml/hr刻みで設定可能 ・自己調整鎮痛の後付け可、1時間量を早送り ・ACアダプターでリチウムバッテリー充電、乾電池で駆動出来ない デルテックポンプCADDシリーズ(スミスメディカル) ・50ml、100ml(お薦め)、250mlの専用カセットがある ・CADD-Legacy PCA Model6300 or CADD-Solis PIB  →数年後には新型Solisに移行する ・単三電池で駆動可(Legacy→2本14日間、Solis→4本1週間) 補足)持続皮下注射で用いる機器
61. デルテックポンプCADDシリーズ(スミスメディカル) ・基本セット 100mlカセットを使用する オキシコンチン50mg/5ml10A+生食50ml:5mg/ml Start 0.1ml/hr:2.4ml/day、12mg/day(経口モルヒネ24mg) →次→0.15ml/hr:3.6ml/day、18mg/day →次→0.20ml/hr:4.8ml/day、24mg/day→続いていく ・注意点 ①流量が増えると、カセットが空にならないように ②増量する際には、指示を決めておくとよい ③地域の訪問看護師の協力を得るには、事前に協力体制の構築を 補足)持続皮下注射で用いる機器
62. シュアーフューザー®A PCAセット(ニプロ) ・内容量は100ml、注入速度は可変式&固定式あり アキュフューザー(クリメートメディック) ・内容量とボーラス量が多彩、注入速度は固定式 クーデックシリンジェクター(大研医器) ・内容量は120ml、注入速度は固定式 ・可変式ボーラス&ロックアウトタイムで調節性がある 補足)持続皮下注射で用いる機器
63. シュアーフューザー®A PCAセット(ニプロ) アキュフューザー(クリメートメディック) クーデックシリンジェクター(大研医器) ・ 補足)持続皮下注射で用いる機器 使用例
64. シュアーフューザー®A PCAセット(ニプロ) アキュフューザー(クリメートメディック) クーデックシリンジェクター(大研医器) ・ 補足)持続皮下注射で用いる機器 使用例
65. 補足)持続皮下注射使用時の麻薬増量 (ディスポーザルポンプの)麻薬投与量を増量したいとき 1.可変式なら持続投与量を0.5ml/hrから1.0ml/hrに増量する  →簡便だけど投与量が倍になる、投与日数は短縮 2.注射の麻薬濃度を変更する  →濃度計算が必要、やや煩雑になる、すぐに対応できない 3.異なる医療用麻薬(貼付剤)で増量する   →フェンタニル貼付剤増量(後日剥離し、麻薬の注射濃度を変更) 例)フェントステープ4mgはオキシコドン(50mg/5ml)10A+生食50ml 合計100ml、    0.5ml/hr投与と同等。増量時はフェントステープ1mgもしくは2mgを貼付してOK
66. 疼痛増強。  疼痛が増強した時の考え方 1.定期薬の増量 2.持続皮下注射 3.ほかの鎮痛方法を検討する
67. ほかの鎮痛方法を検討する 麻薬の増量が鉄則だが、それでも疼痛が残存する場合 ①鎮痛補助薬 ②非薬物療法
68. 鎮痛補助薬 鎮痛補助薬とは 主たる薬理作用には鎮痛作用を有しないが、鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物である。神経障害性疼痛などの括りで研究はあるが、がん性疼痛に限ったエビデンスは乏しい。 ・おすすめ処方  抗うつ薬  デュロキセチン、ミルタザピン  抗痙攣薬  ミロガバリン、プレガバリン、バルプロ酸  特定状況  ①頭蓋内圧亢進・脊髄圧迫:ステロイド ②骨転移に伴う骨痛:ビスホスホネート製剤         ③腸疝痛:ブスコパン、ソマトスタチン ④感染(皮膚浸潤など):抗菌薬 がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2014年度版. 日本緩和医療学会編.
69. 難治性疼痛について 難治性疼痛 定義(明確なものはない)  “一般的な医療行為で疼痛の原因が取り除けず、   患者に適したあらゆる種類の疼痛管理を行っても、   十分な除痛が得られないか、耐えがたい副作用が出現している。“ ・起こしやすいとされる疼痛:  神経叢浸潤:腹腔・骨盤神経叢浸潤症候群etc  脊髄圧迫症候群、胸膜浸潤、多発骨転移  すべてのがん性疼痛で起こりうる
70. 非薬物療法を早期から検討する 放射線治療やIVRの適応がないか? 神経ブロックの適応はないか? がん以外の疼痛の合併はないか?新規イベントはないか? メサドン適応はないか?
71. 非薬物療法を早期から検討する 放射線治療、IVR治療 神経ブロック 生命予後、機能予後から適応を考える 地域の医療リソースを必ず把握しておく
72. 放射線治療・IVR治療 放射線治療 例)脊髄圧迫、骨転移痛、脳転移 気道閉塞、SVC症候群、消化器がんの出血 食道がんの食道閉塞 IVR治療 例)経皮的椎体形成術、悪性腸閉塞PTEG 各種ステント、デンバーシャント ラジオ波焼灼、CVポート造設
73. 放射線治療・IVR治療 日本インターベンショナルラジオロジー学会(日本IVR学会) https://www.jsir.or.jp/about/hospital/kansai/
74. 神経ブロック 神経ブロックの適応病態 ①大量のオピオイド投与によっても鎮痛効果が得られない場合 ②オピオイドや鎮痛補助薬の副作用が強く使用できない場合 ③比較的限局した痛みで、痛み伝達に関与する脊髄分節、末梢神経が多数存在しない場合 がん性痛に対するインターベンショナル治療ガイドライン. 日本ペインクリニック学会
75. 神経ブロック 神経ブロックを行っていない理由 薬物療法で痛みのコントロールが大半可能である  28.1% 施行できる医師がいない  25.9% 施行できる医師がいるがマンパワーに余裕がない  17.8% 合併症が心配である  9.6% 適応がわからない  5.9% 有効と思わない  2.2% 平川奈緒美ら. わが国のがん性痛に対するインターベンショナル治療の現状. 日本ペインクリニック学会Vol.22 No.4, 2015
76. 神経ブロック 日本ペインクリニック学会ガイドライン 推奨度Aの治療 ・硬膜外ブロック:頚髄神経(三叉神経領域除く)から仙髄神経領域 ・くも膜下鎮痛法:頚髄神経(三叉神経領域除く)から仙髄神経領域               オピオイドに局所麻酔薬の併用、副作用少ない くも膜下フェノール:片側胸部痛に76.9%(NRS3以上の低下)                 会陰・肛門部痛で80%で効果あり ・腹腔神経叢・内臓神経ブロック:オピオイド使用量を減らし、                           便秘少ない、早期ほど効くとされる がん性痛に対するインターベンショナル治療ガイドライン. 日本ペインクリニック学会 Nagaro T, et al. Pain. 1994 Sep;58(3):325-330 Ischia S, et al. Pain. 1984 Oct;20(2):139-149.
77. 疼痛増強。 難治性疼痛  切り札としてご紹介したいのが・・・ メサペイン(メサドン)
78. 疼痛増強。 メサペイン(メサドン) オピオイド受容体+ NMDA受容体拮抗作用→神経障害性疼痛に効く 半減期が長く(30.4±16.3時間)、1日2-3回の投与が可能 腎機能障害患者でも使用しやすい、バイオアベイラビリティが高い 他オピオイドとの交叉耐性が少なくて換算に幅がある Toombs JD, Kral LA. Methadone treatment for pain states. Am Fam Physician. 2005 Apr 1;71(7):1353-8. PMID: 15832538.
79. 疼痛増強。 初回:原則、他オピオイドから切り替え(モルヒネ60mg以上)  Stop & Go方式 使用中のオピオイドを全部中止して、メサペインに変更する方法 3-days switch 3日間かけて1/3ずつ、使用中のオピオイドを減薬し、メサペインに変更する方法 MonksnesによればStop & Go方式より、変更後の脱落率が少ないと報告 増量 半減期が長いので、7日間は増量を行わない 投与量の50%ずつ増量する(1回あたり5mgが上限) Moksnes K et al. Serum concentrations of opioids when comparing two switching strategies to methadone for cancer pain. Eur J Clin Pharmacol. 2012 Aug;68(8):1147-56.
80. Q3:難治性疼痛になったら、どう対応する。 メサペイン(メサドン) 注意点 ✓心電図測定が必要(QT延長チェック) 開始前、投与中は定期的に 投与量100mg/dayを超える時→1週間後 QT延長をきたしやすい患者では投与量が安定した時 ✓電解質異常(K、Ca、Naなど)に注意が必要 開始前、投与中は定期的に
81.     症状緩和の計画を立てる前に 疼痛の原因は何か? インターベンションの適応はないのか?? あるとしたら、それを施行できる環境はどこなのか? それによって失われる時間と、得られる利益はどれくらいあるのか?
82. 症例2 64歳男性、 StageⅣの大腸がん。腰椎転移。3日前から左下肢全体にNRS 9/10(中等度)のびりびりするような疼痛。体動時に悶えるような疼痛が出現する。 ADLは車椅子。食事量は3割程度。むせはない。  現在 メサドン 90mg/日内服  オキシコドンレスキューで20mg/回を1日10回   どう対応する?
83. 症例 患者を診たてる ① 医学的状況を整理する(身体症状の原因)   →神経障害性疼痛か混合性疼痛かな… ② 生命予後、機能予後を推測する   →予後は短い月単位~週単位の可能性あり
84. 症例 患者を診たてる ③ そのうえで症状緩和の目標を大まかに立てる   →現在疼痛のため熟睡できないため、夜寝られることを目標に。 ④ うまくいかなかった際のことも想定する   →難治性疼痛、どうしても難しければ緩和ケア病棟相談も検討 ⑤ 以上を患者、スタッフ全体と共有する   →みんなで共有しよう
85.         今日のお持ち帰り 在宅緩和ケアではPCAを使いこなせ!! 症状緩和のための次のプランを常に考えよ!!! それでも症状が取れない時に:治療抵抗性の苦痛を考える
86. Take HomeできなかったMessage 地域の医療資源をうまく用いるスキル 辛い患者との対話スキル 終末期の鎮静の倫理的検討 →総合診療・内科医には必要なスキルですよね!   
87.    都会のプライマリケア・緩和ケアを、創造する    短期研修、見学者が大好きな二人の医師がいます
88. みなとクリニックはあなたを待っている 大阪市北区長柄(梅田に自転車で10分)「都会のプライマリケア」 訪問診療・訪問緩和ケアの急成長事業  (半年で在宅患者20倍に!) 外科医と総合内科医のコラボという教育体制 楽しい仲間募集中(医師、看護師) 短期研修、見学大歓迎   
89. 学生、医師、看護師の見学・短期研修     いつでも大歓迎 野生の緩和ケア医 総合外科医Dr.T みなとクリニックHP 連絡先:minatoclinic2021@gmail.com もしくは上記DMかFace book Messenger