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【総論】身体抑制低減化のための不眠せん妄フォーミュラリー

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山本 大介

2021/12/31
(2022/01/07 更新)

山本 大介

湘南鎌倉総合病院

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不眠診療また、せん妄診療をレベルアップするための一つのストラテジーについて説明しています。入院診療における不要な身体抑制を減らすために、安全な投薬介入を試みています。このスライドは、フォーミュラリー全体像について詳しく説明するプレゼンテーションです。

■動画解説あり、ご参照下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=qHtwTZwcmG4

フォーミュラリーの詳細は以下サイトをご参照下さい。
https://mitonchan.mystrikingly.com/

■使い方①では、オレキシン受容体拮抗薬を屯用使用することから、投薬設計していく方法について解説しています。
https://www.youtube.com/watch?v=DnG_1QV0RWE

■使い方②では、せん妄発症を予防するために積極的に予防投薬を行うことから、投薬設計していく方法について解説しています。
https://www.youtube.com/watch?v=3fj-92WpoCs

総論では、フォーミュラリーの全体像も含めて説明しています。使い方①と使い方②はシンプルな解説です。

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【総論】身体抑制低減化のための不眠せん妄フォーミュラリー

1. 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー 1 身体抑制を減らそう! 不眠せん妄 フォーミュラリー の解説と使い方
2. 魔法少女☆ミトンちゃん と一緒に、 不眠せん妄に強くなろう! 2 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
3. 高齢者入院診療において、せん妄対応は重要です。 せん妄発症により、入院治療を十分に受けられない場合や、身体的な衰弱につながり、状態悪化にもつながりうることから、対応が必要です。 せん妄は、各診療科いずれのセッティングでも対応を求められる問題です。 魔法少女☆ミトンちゃんとともに、このテーマに一緒に強くなりましょう!
4.
5.
6. フォーミュラリーとは? 6 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
7. 7 フォーミュラリーとは フォーミュラリーとは、「医療機関における医学的妥当性や経済性を踏まえて作成された医薬品の使用方針」と説明されます。 フォーミュラリーによって、エビデンスに基づいた処方薬の推奨を施設等のユニットにおいて明確化することができます。 そしてフォーミュラリーは、処方行動の複雑性を減らすことで得られる有効性と経済性における利点を期待して、活用されます。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
8. 8 フォーミュラリーとは もちろん処方を行う医師によって知識や専門性、思考、ポリシーは異なります。また、処方をうける患者さんの状態も個々に異なるので、単純化した処方行動によってすべての症例の問題解決が達成できるわけではありません。 しかしながら、こと、せん妄を減らす、ひいては身体抑制を減らす、というアクションは組織全体で取り組まねばならない問題です。せん妄・不眠についての問題解決において組織としてのアウトカムを追求する場合には、ある程度統一化された手順による介入が必要と考えられます。 本フォーミュラリーは組織での質改善に活用していただくことを意図して作成しています。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
9. 本フォーミュラリーの 目的 9 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
10. 本フォーミュラリーの目的 10 本フォーミュラリーの主題は、以下のようなものです。 「シンプルでわかりやすい」 「誰にでも使いやすい」 「安全性を重視している」  「多くの場面で活用しやすい」 これらを重要視しています。本フォーミュラリーで解決できない症例ももちろんありえます。しかしながら、いずれの診療科の医師でも、本フォーミュラリーを用いることで自身で速やかに対応できることを重視して、フォーミュラリーを設計しています。まずは本フォーミュラリーを用いて担当医が初期対応を行い、結果対応困難だった症例を専門診療科へ積極的にコンサルテーションする、というようなスタイルを想定しています。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
11. 本フォーミュラリーの目的 11 患者層が超高齢化していく社会においては、せん妄・不眠に対する対応はより多くのシチュエーションで求められます。全例専門診療科へコンサルテーションするわけにもいきませんし、その対応にはある程度「スピード感」も求められます。 よって、いずれの診療科の医師でも自分で速やかに治療介入を始められ、かつ安全性をもって対応可能であることは重要であり、それをフォーミュラリーのテーマにしています。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
12. ベンゾジアゼピンのネガティブな側面 12 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
13. 13 ベンゾジアゼピンの負のエビデンス せん妄発症とベンゾジアゼピンの関連について言及します。 ベンゾジアゼピンの使用はせん妄リスクを高めることが知られています1)。 よって、ベンゾジアゼピンを常用内服している患者さんの入院対応には、せん妄発症リスクを前提に考慮して対応せねばなりません。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー 01) Crit Care Clin 2013;29:51-65.
14. 14 ベンゾジアゼピンの負のエビデンス その他のベンゾジアゼピンの負のエビデンスとしては、認知機能低下が挙げられます。 ベンゾジアゼピン内服により、短期的に認知機能低下のリスクが認められますが、長期的な認知症発症リスクも報告されています2)。認知機能障害をテーマにした外来では、ベンゾジアゼピンを内服中止することで認知機能が改善することは度々経験します。 また、ベンゾジアゼピンによる転倒・骨折リスクも重要な副作用です3)。転倒・骨折によるADL低下は、高齢患者においては大きな負債になりえます。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー 02) BMJ 2012;345:e6231 03 ) Plos One 2015;10:e0129366
15. 15 ベンゾジアゼピンの負のエビデンス 以上より、ベンゾジアゼピンに関する問題点は以下のようにまとめられます。 ベンゾジアゼピン常用患者が入院した場合にせん妄発症のリスクになり問題になること、認知機能障害と転倒・骨折が大きなデメリットになりうること。 これら負のエビデンスを踏まえて、入院診療・外来診療でのベンゾジアゼピン新規処方については、十分検討される必要があること。 必ずしもベンゾジアゼピン処方は絶対悪ではありませんが、せん妄・不眠に関する話題においては共通知識として認識される必要があります。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
16. 投薬介入により せん妄発症予防は可能か? 16 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
17. オレキシン受容体拮抗薬(Orexin receptor antagonist: ORA) ・ メラトニン受容体作動薬(Melatonin receptor agonist: MRA) による せん妄予防のエビデンス 17 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
18. せん妄発症ハイリスク症例に対して、せん妄発症前の処方介入によってせん妄発症予防が可能か?という問いについては検討がなされています。ドーパミン過剰状態がせん妄の病態の一つとして理解されることからは、ドーパミン受容体遮断作用のある抗精神病薬の使用は予防薬としてアイデアになりえます。一方で、抗精神病薬の予防使用は、副作用の面からは躊躇されるのは当然です。抗精神病薬による予防的介入のエビデンスとしては、その有効性の報告はあります4)。 18 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー 04) J Clin Psychiatry 2013;74:36-44
19. 19 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー 05) JAMA Psychiatry. 2014;71:397-403 06) Crit Care Med. 2018;46:1099-1105 07) J Clin Psychiatry. 2017;78:970-979 08) Cochrane Database Syst Rev 2016;3:CD005563. 一方、副作用が問題になりにくいORAやMRAによるせん妄発症抑制のエビデンスは複数報告があります5-7)。副作用の懸念が少ないなら、予防的投与によるせん妄発症抑制のアプローチは選択肢として検討されます。これは「本フォーミュラリーの目的」で記載したコンセプトには合致するものと考え、ORA、MRAによるせん妄発症抑制を意図した介入を組み込んでいます。 一方、ORA、MRAによるアプローチの問題点はいくらか指摘があります。ORA、MRAによる予防的介入はRCTでの効果の実証があるものの、より一層エビデンスの蓄積が必要であること8)、またORA、MRAの予防的投与は保険制度では適応として認められていないこと、等が挙げられます。
20. 20 次に、少し見方を変えて「不眠とせん妄」について考えます。入院における不眠状態自体は、せん妄発症のリスクになる可能性も指摘されています9)。見方を変えれば、入院における不眠にアプローチすることは、せん妄対応そのものとも言えます。ORA、MRAによるせん妄への予防的投与アプローチは、入院における不眠に介入しせん妄発症予防を試みること、とも捉えられます。 また、せん妄を発症した症例の不眠症状についてのORA、MRAの使用も検討してよいと考えます。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー 09 ) Crit Care Med. 2018;46:e1204-e1212
21. 21 もちろん、せん妄発症予防は薬物治療のみではありません。むしろ、薬物療法以外のアプローチが最初にあり、最終的に検討されるものが薬物療法であるべきです。安易な薬物介入は勧められるものではありません。しかしながら、実際の臨床現場においては、ケアにおけるマンパワー不足があり、非薬物アプローチに割ける人的コストには限界があります。また、せん妄発症による患者自身へのデメリット(せん妄が理由で転帰不良にもなりえます)も考慮され、可能な限りせん妄発症予防に対する介入は望ましいと考えられます。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
22. 22 せん妄対応においては、やむを得ず身体拘束を行うこともありうるわけですが、可能な限り身体拘束を行わないための手段は講じられるべきです。以上より、薬物療法について絶対的推奨があるわけではありませんが、一つの手法としては試みられるものとして理解いただければと思います。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
23. せん妄の ハイリスク症例とは? 23 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
24. 24 せん妄発症のリスク因子として以下の要素が知られています。 70歳以上、認知症、せん妄の既往、脳器質的障害(脳血管障害、中枢神経疾患、頭部外傷)、アルコール多飲、ベンゾジアゼピンなどリスクとなる薬剤の使用、全身麻酔を要する手術後またはその予定があること、などです10)。 本フォーミュラリーの一つの要素として、ハイリスク症例に対する予防的投薬介入が含まれており、ハイリスク症例を理解することはフォーミュラリー活用において重要です。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー 10) せん妄ハイリスク患者ケア加算にかかるチェックリスト
25. まずは せん妄ハイリスク を知りましょう。 ハイリスクとされる患者背景を確認する。
26. 入院時にせん妄発症 ハイリスクかどうかを 確認しましょう。 <- First IMAGE <- Second IMAGE <- Third IMAGE bb aa https://www.pexels.com/photo/ocean-water-wave-photo-1295138/ https://www.pexels.com/photo/lotus-temple-1098460/ せん妄 ハイリスクの同定 https://www.pexels.com/photo/photo-of-woman-walk-through-pathway-1093946/
27. フォーミュラリーのコンセプト 27 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
28. 28 massive x
29. フォーミュラリーの 使い方: せん妄発症予防目的 29 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
30. 30 フォーミュラリーの使い方: せん妄発症予防目的 せん妄発症ハイリスクとして評価した症例に、予防薬の投与を検討して下さい。処方薬の選択肢は以下のごとくです。 ORA:デエビゴ (レンボレキサント) ORA:ベルソムラ(スボレキサント) MRA:ロゼレム (ラメルテオン) 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
31. ハイリスク症例に 予防的投薬を行う。
32. 使用にあたって留意していただくポイント 32 ORAの方が、MRAより睡眠効果は高いです。MRAはマイルドな効果です。 ORAで効果が強すぎる場合には、MRAへの変更を検討して下さい。 ORAで効果が不十分な場合には、MRAの追加も検討して下さい。 デエビゴとベルソムラの使い分けについては特に推奨はありません。予防的介入のエビデンスが示されているのはベルソムラです。デエビゴもベルソムラと同じくORAであり、本フォーミュラリーでは予防的投与に並列で記載しています。 抗精神病薬を使用せずに、安全にせん妄コントロールを試みることも本フォーミュラリーの一つの意図です。せん妄発症症例において、抗精神病薬使用に不安のある症例(過鎮静の懸念など)がある場合には、ORA・MRAでの介入を検討して下さい。 一方でORA・MRAでもせん妄状態が続く場合には、抗精神病薬の屯用処方を活用して下さい。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
33. フォーミュラリーの使い方: 抗精神病薬(屯用) 33 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
34. 34 せん妄症例への対応 (抗精神病薬の屯用) 本フォーミュラリーの基本コンセプトは、ORAとMRAを主軸としてせん妄対応をしていくところにあります。ただし、必ずしもORA・MRAのみで対応する必要はありません。対応困難な場合は、抗精神病薬も使用して下さい。本フォーミュラリーでは、抗精神病薬の使用については安全性を重視して、まずは屯用処方から、と示しています。屯用処方で対応困難な場合には、連日内服への移行や、他の抗精神病薬への変更を検討することになります。ORAをベースに使用し、追加で抗精神病薬を使用する、処方設計となります。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
35. ORAに加えて、 抗精神病薬の屯用 使用を準備する。
36. 使用にあたって留意していただくポイント 36 第一選択薬はクエチアピンとしてください。 第二選択薬はリスペリドンとしてください。 クエチアピンは糖尿病で使用禁忌です。これは重要ですので確認して下さい。糖尿病がある場合には、リスペリドンを使用して下さい。 薬物の強度としては、クエチアピン < リスペリドン をイメージして下さい。クエチアピンで効果不十分な場合には、リスペリドンを使用して下さい。 マイルドな効果を期待したい場合に、弱い治療強度を意図したルーランを選択肢に入れています。 屯用で使用した場合は、連日内服に変更してください。初期介入後対応困難な、専門診療科へのコンサルテーションを検討して下さい。 内服できない場合のセレネース点滴静注も適宜使用して下さい。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
37. フォーミュラリーの使い方: 抗精神病薬 (連日内服) 37 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
38. 38 せん妄症例への対応 (抗精神病薬の連日内服) 抗精神病薬による屯用対応を、本フォーミュラリーの最初のアプローチとして推奨しています。もちろん、せん妄対応の処方に慣れている先生は、最初から常用処方で介入していただいて構いません。ここでは不慣れな先生をイメージし、安全に介入できることを重視してフォーミュラリーを設計しています。 不穏時屯用薬を使用した場合には、常用への変更も検討して下さい。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
39. 抗精神病薬の屯用 で使用した場合、連日使用に変更を検討する。
40. 使用にあたって留意していただくポイント 40 クエチアピンを常用する場合には、基本は25mg/day(夕食後内服)で使用して下さい。体格が小さい場合、過鎮静を避けたい場合には、12.5mg/dayで使用して下さい。 リスペリドンを常用する場合には、0.5mg/day(夕食後内服)で使用して下さい。十分な鎮静が得られない可能性もありますが、少量からの使用が原則です。 抗精神病薬によって過鎮静になるくらいなら、投薬強度が足りないほうがまし、という原則を理解して、最初の投薬強度を設定するよう心掛けてください。 もちろんうまくいかない時には、専門診療科へのコンサルテーションを検討して下さい。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
41. フォーミュラリーの使い方: 睡眠薬の屯用 41 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
42. 42 フォーミュラリーの使い方: 不眠時屯用薬 このフォーミュラリーは純粋な不眠対応にも使用してもらってOKです。不眠時屯用薬については、デエビゴ、ベルソムラ、デジレルを選択肢にしています。デジレルも使いやすく安全性もある薬剤なので、処方に慣れてください。 フォーミュラリーではシンプルさを重んじてORAはデエビゴのみ記載しています。ベルソムラでもOKです。ORAではデエビゴ・ベルソムラについて細かい使い分けの条件もあるので確認してください。例えば、肝硬変ではデエビゴは不適でベルソムラを選択することになります。併用薬との兼ね合いもあるので確認して下さい。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
43. 不眠では、デエビゴ・ベルソムラ・デジレルを使用。
44. ORA使用については、 腎不全・肝不全がある場合は確認を。
45. ORA使用については、 併用薬剤の確認をお願いします。
46. 使用にあたって留意していただくポイント 46 不眠時屯用薬としては、ORAとしてデエビゴ、ベルソムラを、また鎮静系抗うつ薬としてデジレルを選択して下さい。 ORAを連日内服としている場合には、デジレルを屯用指示で使用して下さい。 屯用薬が使用可能であることを、看護師と情報共有して下さい。不眠に対する積極的な介入について、医師―看護師間でテーマを共有して下さい。 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
47. 具体例で使い方を 確認しましょう。 47 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
48. Case 1 85歳男性、アルツハイマー病 今回尿路感染症で入院した。 高度の短期記憶障害と見当識障害あり。 JCSⅠ-3で、飲水・内服は可能。 入院時点ではひとまず落ち着いている。 過去入院でせん妄になり、身体拘束を必要とした経緯があり。
49. 対応なしではせん妄発症はおそらく必発です。 もちろん、投薬介入以外でできる介入(環境整備など)は一通り検討して下さい。フォーミュラリーの使用の仕方としては、二通り考えてみて下さい。 ひとまず屯用のORAの条件指示で対応してみる。 最初からORAを予防的投与で介入してみる。 このケースでは、パターン1で対応してみます。 せん妄発症 ハイリスク症例として理解されます。対応について どうするか?
50. 50 massive x パターン1 屯用ORAで 始めてみる。 まずは様子見で、不眠時屯用薬を条件指示を使用することにしました。病棟看護師と方針について共有し、夜間眠れない様子であれば、デエビゴを積極的に使用してもらう方針としました。 うまくいった場合:結局夜間不眠の様子でしたので、デエビゴ内服で対応しました。幸いせん妄発症なく過ごせました。翌日からはデエビゴ連日内服に変更としました。 =>ORAにより不眠に積極的に介入する、というスタンスが問題を回避できた可能性があり、有効であったと考えられます。
51. 51 massive x パターン1 屯用ORAで 始めてみる。 今度は、うまくいかなかったパターンです。 まずは様子見で、不眠時屯用薬を条件指示にいれてみます。病棟看護師と方針について共有し、夜間眠れない様子であれば、デエビゴを積極的に使用してもらう方針としました。 うまくいかなかった場合:デエビゴ夜間に内服してもらいましたが、せん妄状態に陥ってしまいました。 =>方針変更し、不穏時屯用薬の条件指示を使えるように設定します。ORAは常用に変更します。
52. 52 massive x パターン1 屯用ORAで 始めてみる。  処方   デエビゴ   5mg 1T1X 眠前  不穏時条件指示   クエチアピン 25mg 1T 内服       もしくは   セレネース 5㎎ 点滴静注 上記指示としました。翌日は、クエチアピン屯用内服で夜間対応可能でした。よって、クエチアピンは連日内服に変更し、対応していくこととします。ひとまず以下処方で安定が得られました。  最終的な処方   デエビゴ   5mg 1T1X 眠前   クエチアピン 25mg 1T1X 夕食後
53. Case 1 85歳男性、アルツハイマー病 パターン1対応のまとめ デエビゴ屯用で介入してみました。 うまくいった場合は、デエビゴ内服でせん妄発症なしで経過できました。 うまくいかなかった場合は、デエビゴ常用+不穏時条件指示を追加して対応しました。 その後、条件指示で使用した薬剤の常用変更で安定が得られました。
54. Case 2 75歳男性、脳梗塞既往あり アルコール多飲歴あり 今回はてんかん発作で入院した。 てんかん発作はERでコントロールされ、その後は発作再燃なし。 飲水・内服は可能である。 入院時はひとまず落ち着いている様子。 JCSⅠ-2で、見当識障害と疎通の悪さは気になる。
55. せん妄発症リスクは高そうで、できるなら介入を。 もちろん、投薬介入以外でできる介入(環境整備など)は一通り検討して下さい。フォーミュラリーの使用の仕方としては、二通り考えてみて下さい。 ひとまず屯用のORAの条件指示で対応してみる。 最初からORAを予防的投与で介入してみる。 このケースでは、パターン2で対応してみます。 せん妄発症 ハイリスク症例として理解されます。対応について どうするか?
56. 56 massive x パターン2 予防的ORAで 始めてみる。 せん妄発症リスクは高いので、ORAを内服してもらうことにしました。また、不穏時屯用薬もセットしました。方針について、夜勤看護師と共有しました。糖尿病がありましたので、クエチアピンは使用せず、リスペリドンを屯用薬に選択しました。  処方   デエビゴ  5mg 1T1X 眠前  不穏時条件指示   リスペリドン 0.5mg 1T 内服        もしくは   セレネース  5㎎ 点滴静注
57. 57 massive x パターン2 予防的ORAで 始めてみる。 その日の夜間は結局、リスペリドンを一回使用し、落ち着いて過ごせました。リスペリドンは常用することとして、処方変更しました。しばらく安定が得られたので、リスペリドンは中止し、入院中はデエビゴ単剤で安定して過ごすことができました。  最終的な処方   デエビゴ   5mg 1T1X 眠前   リスペリドン 0.5mg 1T1X 夕食後  =>リスペリドンはその後中止で、    デエビゴのみ継続対応とした。
58. Case 2 75歳男性、脳梗塞既往あり アルコール多飲歴あり まとめ デエビゴを最初から使用。 デエビゴだけでは対応できなかったが、抗精神病薬を組み合わせて安定した。 デエビゴは入院中継続し、安定が得られた。 ORAを中心に処方を組み立て、せん妄コントロールがうまくできた。
59. SUMMARY 59 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー
60. 60 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー する 不眠に介入 何も行動しなければ改善は得られません。 安全で使いやすいORAを中心とした処方戦略を。 ORA+抗精神病薬に 使い慣れましょう。 せん妄発症予防に、入院時から意識的に取り組みましょう。 不眠・せん妄に得意になり、 診療のレベルアップを。 入院患者さんのQOLを 高めましょう。
61. https://pixabay.com/en/metro-st-petersburg-tube-tunnel-3714290/ フォーミュラリーを活用し、不眠にアプローチすることで、せん妄をコントロールしよう! 身体抑制を減らそう! https://pixabay.com/en/space-telescope-mirror-segments-532989/
62. 62 湘南鎌倉不眠せん妄フォーミュラリー 本フォーミュラリーは、 簡便で、使いやすく、安全に、 役に立つ処方ストラテジーです。 前向きな、少しでもより良いものに つながればと考えます。 是非ご活用お願い致します。 山本大介 湘南鎌倉総合病院 脳神経内科