PCRでウイルスが消えたら退院可能?いつまで感染伝播リスクがあるのか? 2020.12

使用されているブラウザではスライドの拡大ができません。iPadをご利用の場合はSafariをお試しください

1/30

シェア

黒田 浩一

神戸市立医療センター中央市民病院

11778 page views

2020.11に掲載したものの改訂版です。

- Featured Contents -

【公式】Antaa Slideへのアップロード方法

Antaa Slideは、医師・医学生のためのスライド共有プラットフォームです。 本スライドでは、Antaa Slideへのスライドアップロード方法を解説します。 ① Antaa Slideへのログイン方法 ② スライドのアップロード方法 ③ アップロードしたスライドの確認方法 ④ ご利用にあたっての注意点 勉強会やセミナーのために作ったスライドを、皆でシェアして知識をつないでいきましょう。アップロードをお待ちしています! ※登録には、医師資格登録年度または医学部卒業見込み年度の入力が必要です。 <以下のnoteもぜひご覧ください> Antaa Slideは、医師同士の“Giveの精神”でつながるスライド共有プラットフォーム https://note.com/antaa/n/n5fabdc34a32f Antaa Slideってどんなサービス? 反響をまとめてみました https://note.com/antaa/n/nd09bf6ed8f3f

28057 15

新型コロナウイルスワクチン(COVID-19ワクチン)Q&A

COVID-19ワクチンを接種するか悩んでいる医療従事者の方、または医療職以外の病院職員は多いと思います。内科外来の医療事務さんが接種するか悩んでいたのをみて、わかりやすい情報提供が必要と考え、作成しました。基本的な内容となっています。2021年1月29日に作成したもののため、その後の知見の集積によって、今後推奨は変わる可能性があります。

288215 133

誤嚥性肺炎の主治医力【診断編】

最近受け持った誤嚥性肺炎の患者さん、誤嚥の原因は何でしたか? 誤嚥性肺炎は結果であり、正しい診断のためには原因の見極めが必須です。 そのためのポイントを解説します。 ※本スライドは、2021年1月8日配信のAntaaNEWS「Short Lecture」の講演スライドです。 【このスライドの解説動画はこちら】 https://qa.antaa.jp/stream/contents/113

16619 39

タコでもわかる静注抗菌薬の話

逆にこれだけ知っていれば静注抗菌薬では(ほぼ)困らない、そんな10種類の静注抗菌薬についてタコでもわかるようにまとめてみました。 【更新連絡(7/24)】 わかりにくい表現を何箇所か修正しました。 【他のコンテンツ】 * サルでもわかる経口抗菌薬の話 2021年版 (https://slide.antaa.jp/article/view/5199820d537c41bc) * タコでもわかる静注抗菌薬の話 2021年版 これ * カメでもわかるCRPの話 2021年版 (https://slide.antaa.jp/article/view/e83a7e12c9d74d3b#46) ご質問・ご意見等はtwitter(@metl63)までお寄せください。

418349 203

ショックのまとめ【定義・分類・鑑別を中心に】

救急外来や病棟急変でよく出会うショックについて、確実に知っておくべき知識を理解していますか? ショック=血圧低値と誤解されることが多い、ショックの概念についてまとめました! 生理学や生化学から、ショックの定義や分類、鑑別を中心にまとめています。 初期研修医の先生方や看護師さんにとっては、きっと学びの多いスライドとなっているはずなので、参考にしていただければ幸いです◎

61027 33

それって本当に尿管結石?!

<ERで「尿管結石?」って思ったら> 1. 安易に決めつけるのはNG! 2. エコーで“らしい”所見をチェック! 3. 鑑別疾患を意識して、重篤な疾患を見逃すな! 本スライドは、「三銃士 指導医・研修医レクチャーシリーズ」vol.10です。質問・コメントは以下へお願いします。 http://bit.ly/39kNKUy ※「三銃士」は、救急・集中治療医の坂本壮、総合診療医の髙橋宏瑞、鎌田一宏により運営される、医学教育の課題解決を目指した教育ユニットです。 ▶三銃士Facebookページ https://www.facebook.com/dartagnanproject ▶坂本壮のAmazon著者ページ https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B079T41LV8

18740 49
もっと見る

PCRでウイルスが消えたら退院可能?いつまで感染伝播リスクがあるのか? 2020.12

1. COVID-192020.12 UPDATE 神戸市立医療センター中央市民病院 感染症科 黒田浩一
2. PCR検査についてのQ&A PCRでウイルスが消えたら退院可能? いつまで感染伝播リスクがあるのか? 再感染はするのか?
3. Q2:PCRでウイルスが消えたら退院可能? 退院前のPCR陰性確認は不要であり、感染性の有無は、症状の経過・重症度・発症からの期間で評価可能 退院は、以下の2点が確認できた時点で可能となる - 患者の状態が改善している - 感染伝播リスクが消失している
4. いつまで感染するリスクがある? ただしく恐れる 4
5. 「感染性がある」とは? PCR陽性→× ウイルス培養陽性→? 実際に起こったoutbreakの調査結果 5
6. 軽症から重症のCOVID-19患者12例の検討 ・発症から9日目でウイルス培養陽性の症例があった ・10日目以降のウイルス培養は検討されていない ・気管挿管例は含まれていない Nat Med. 2020 Apr 23. doi: 10.1038/s41591-020-0877-5 6
7. 軽症COVID-19(9例の検討)発症8日目までの喀痰ウイルス培養陽性 便のウイルス培養は全例陰性(PCRのウイルス量に関連なし) Nature. 2020 Apr 1. doi: 10.1038/s41586-020-2196-x. 7
8. 米国のSkilled Nursing Facilityで起こったoutbreak。重症例も含めたCOVID-19の上気道検体を使用したPCRとウイルス培養を施行。SARS-CoV-2は、発症6日前から発症9日目で培養陽性となった。ウイルス量(PCR)が多い場合に培養陽性となる傾向があるようにみえるが、発症早期にウイルス量が多いことが原因と思われる。 N Engl J Med. 2020 Apr 24. doi: 10.1056/NEJMoa2008457. 8
9. 発症前(潜伏期間):45% 発症後:40% 環境接触:10% 無症状感染者:5% 感染伝播:感染(曝露)から10-12日頃まで Science. 2020 May 8;368(6491). doi: 10.1126/science.abb6936. 9
10. COVID-19のヒト-ヒト感染77ペアを解析した研究。感染伝播は、発症2.3日前から出現し、発症前後でpeakとなり、その後発症7日目までに急速に減少する。感染伝播の44%は発症前に起こる(pre-symptomatic transmission)。 Nat Med. 2020 Apr 15. doi: 10.1038/s41591-020-0869-5. 10
11. 100名の患者からの感染伝播を調査した台湾の報告。Secondary caseは、index case発症から初回曝露までの期間が5日以下までの症例のみだった。感染率が高いのは、発症前曝露(pre-symptomatic transmission)、家庭内曝露、重症例/最重症例。無症状感染者からの感染(asymptomatic transmission)はなかった。 JAMA Intern Med. 2020 May 1. doi: 10.1001/jamainternmed.2020.2020. 11 presymptomatic transmissionは発症4日前から起こりうる
12. 主に軽症から中等症のCOVID-19患者の上気道検体のウイルス培養は、発症から10日まで陽性となりうる。無症状者も有症状者も同様の結果であった。 Euro Surveill. 2020;25(32):pii=2001483. https://doi.org/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.32.2001483 12
13. 13 重症または最重症のCOVID-19患者の上気道検体のウイルス培養は、発症から20日まで陽性となりうる。発症から15日を超えて陽性となる可能性は5%以下であった。 プレプリントのdata doi: https://doi.org/10.1101/2020.06.08.20125310
14. 14 成人COVID-19患者(重症度や年齢・基礎疾患などの詳細なdataは提示されていない)の鼻咽頭または気管内検体のウイルス培養で、発症から8日以降は陽性例なし。Ct値>24でも陽性例はなかった。 Clin Infect Dis. 2020 May 22;ciaa638. doi: 10.1093/cid/ciaa638.
15. 15 Clinical Infectious Diseases, ciaa1249 https://doi.org/10.1093/cid/ciaa1249
16. 例外は存在する 造血幹細胞移植後とCAR-T細胞療法の患者で発症から20日を越えてウイルス培養が陽性となった報告がある 3例報告されており、発症から25日、26日、61日目でのウイルス培養が陽性であった ゼロリスク達成は難しい:免疫不全者には、マスク着用と手洗いを特に指導する必要がある N Engl J Med. 2020 Dec 1. doi: 10.1056/NEJMc2031670
17. RT-PCRのCt値と感染性の関係 診断における一般的なCt値のカットオフ値は<40 Ct値が低いほどウイルス培養陽性率が高い Ct > 30-35でウイルス培養は陰性と予測できる Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2020 Jun;39(6):1059-1061. Clin Infect Dis. 2020 Aug 25;ciaa1249. doi: 10.1093/cid/ciaa1249. Emerg Infect Dis. 2020 Jul;26(7):e201595. doi: 10.3201/eid2607.201595 Clin Infect Dis. 2020 Oct 24;ciaa1579. doi: 10.1093/cid/ciaa1579. Ct=Threshold Cycle
18. Ct値はRT-PCR検査の結果報告に記載すべき?Ans. routineに行うことは推奨されない 同じウイルス量でも、Ct値は検査系によって異なる(cobasとXpertのCt=20のウイルス量copy/testは異なる) Ct値は、検体採取のqualityに左右される Ct値によって、感染性の有無を評価する十分なevidenceはまだない J Clin Microbiol. 2020 Oct 21;58(11):e01695-20. doi: 10.1128/JCM.01695-20.
19. 感染伝播する期間:文献のまとめ 発症2-4日前から発症後5-10日目までがリスクが高い - 院内感染のリスクが高い感染症である それ以降に感染伝播が起こる可能性は非常に低い → 発症から11日目以降の感染リスクはほぼない 最重症例(人工呼吸器管理)は20日間までリスクあり 19
20. PCR検査は再度陽性になることがあるが感染伝播した例は報告されていない 2回PCR陰性確認された4名のCOVID-19患者で、5-13日後にPCRが再度陽性化した SARS-CoV-2 PCR検査2回陰性確認後退院となった患者の14.5%で再度陽性化した 韓国CDCは、COVID-19の症状が改善し、いったんPCR陰性化した患者で、再度陽性になった285名の追跡したところ、1例も感染伝播を起こさなかった Clin Infect Dis. 2020 Apr 8;ciaa398. doi: 10.1093/cid/ciaa398. JAMA. 2020 Feb 27;323(15):1502-1503. 20
21. COVID-19治癒後の患者へのPCR再検は原則不要 終生免疫はできない可能性が高い そのため、治癒後長期間(例えば3か月)経過してから 再度感染する可能性はある 21
22. 感染伝播する期間:2020.5以前 発症から10日以上経過、かつ、解熱状態72時間以上経過していれば、感染性はないと考えてよいと思われるが、さらに安全な条件として、「症状改善、かつ、24時間以上の間隔をあけてPCR 2回陰性確認」(日本政府が決めた退院基準)。 22
23. 退院基準の変更(日本) 2020年6月12日に「発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合」に変更 退院の適応を決定するにあたって、原則PCR検査は行わないことになった この基準は、重症度を考慮していない 23
24. 院内感染対策終了の基準(米国) 軽症・中等症の場合(呼吸不全なし)  発症から10日以上、かつ、解熱24時間、かつ、症状改善 重症・最重症の場合(呼吸不全あり) 高度免疫不全の場合  発症から20日以上、かつ、解熱24時間、かつ、症状改善 ※退院基準ではない 24
25. 院内感染対策終了の基準(WHO) 重症度に関係なく 発症から10日以上経過、かつ、症状消失後72時間 25 https://apps.who.int/iris/handle/10665/332196
26. 院内感染対策終了の基準(欧州) 軽症・中等症  発症から8日以上経過、かつ  解熱後72時間以上、かつ、その他の症状改善 重症・免疫不全  発症から14日以上経過、かつ  解熱後72時間以上、かつ、その他の症状改善 26 https://www.ecdc.europa.eu/en/publications-data/covid-19-guidance-discharge-and-ending-isolation
27. 感染伝播する期間:2020.8の当院 発熱を含めた症状が改善して72時間が経過、かつ - 軽症・中等症は、発症から10日以上 - 重症・最重症の場合は、発症から20日以上 経過していることが確認できれば、感染性はない と判断している(院内感染対策終了の判断に使用) 27
28. 再感染の報告はある インドの2名の医療従事者 1)→2回とも無症状(スクリーニング検査) - 1回目の治癒確認から3-5か月後に再感染が判明 既往のない33歳男性 2)→初回:軽症、2回目:無症状 - 1回目の治癒確認から4ヶ月後に再感染が判明 喘息の既往のある51歳女性 3)→初回はSpO2 94%、2回目はより軽症 - 1回目発症から3ヶ月後に2回目を発症 上記の患者は、ゲノム配列の解析で、「再感染」と診断された
29. 再感染が軽症とは限らない 米国の既往のない25歳男性: 初回軽症、2回目重症(呼吸不全あり) Lancet Infect Dis. 2020 Oct 12;S1473-3099(20)30764-7.
30. 重要な点 感染伝播の危険性があるのは、発症2日前から発症9日目がほとんど 重症例でも、発症から20日を越えて感染することはほとんどない