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COVID-19の治療 2020.12

  • 感染症科

  • 感染症
  • COVID-19

35,103

11

2020/12/12

内容

2020.11に掲載したものの治療部分の改訂版です。

黒田浩一

神戸市立医療センター中央市民病院


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市中肺炎診療の考え方 ウィズコロナ時代

#市中肺炎 #感染症 #COVID-19

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COVID-19 診断・治療・感染対策

#感染症科 #感染症 #新型コロナウイルス感染症 #COVID-19

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COVID-19治療 アップデート 2022年8月版

#ステロイド #COVID-19 #レムデシビル #コロナ #ソトロビマブ #モルヌピラビル #ニルマトレルビル・リトナビル #デキサメタゾン

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COVID-19の治療 2020.12

  1. COVID-192020.12 UPDATE 神戸市立医療センター中央市民病院 感染症科 黒田浩一 COVID-19の治療 改善後の症状残存

  2. COVID-19の治療

  3. COVID-19に対する治療 呼吸管理 - 酸素療法、high-flow nasal cannula、人工呼吸器、ECMO 薬剤 - 効果が示されたもの:デキサメタゾン、レムデシビル - 効果が検討中のもの:ファビピラビル、トシリズマブ etc その他

  4. 呼吸管理 酸素投与 High-flow nasal cannula 挿管の適応 - 呼吸数・呼吸困難感の有無は重要 - 呼吸状態・画像所見・呼吸状態の悪化のスピードを総合的に判断 - 当初は急激な悪化を危惧して、O2 5L/分以上で挿管検討していた

  5. High-flow nasal cannula(HFNC) 当初エアロゾル発生が危惧されていたが、現在は臨床現場で多用されている 細菌性肺炎患者の研究やマネキンとスモーク(長径 1µm未満)を使用した実験では、通常の酸素マスクと同等のエアロゾル発生リスクであった 1) 一般病棟のCOVID-19患者に対するHFNCの有用性と安全性(空気予防策で対応)を示した観察研究がある 2) ただし、直接COVID-19患者におけるHFNCによるエアロゾル発生リスクを評価した研究や臨床効果を検討した比較研究はない 3) 1) Eur Respir J. 2020 May 14;55(5):2000892. doi: 10.1183/13993003.00892-2020. 2) Eur Respir J. 2020 Sep 9;2001154. doi: 10.1183/13993003.01154-2020. 3) Can J Anaesth. 2020 Sep;67(9):1217-1248.

  6. 当院でのHFNCの使用方法 適応 - 酸素投与5L/分以上でSpO2 93%未満 - 挿管回避が期待できる 除外基準 - 不穏状態などで、HFNCとサージカルマスクの継続使用不可 使用方法 - 陰圧個室、空気予防策、患者はサージカルマスク着用

  7. 病態に合わせて治療薬を選択する? 初期 :抗ウイルス作用 過剰炎症反応期 :抗炎症作用 J Heart Lung Transplant. 2020 May;39(5):405-407.

  8. 各治療薬の標的 BMJ. 2020 Oct 23;371:m3862. doi: 10.1136/bmj.m3862.

  9. レムデシビル Day 1 200mg/日、Day 2-5(10まで可) 100mg/日 先進国で行われたRCT(ACTT-1)では 1) - 臨床的改善までの期間短縮(10日 vs 15日) - 死亡は減少する傾向(11.4% vs 15.2%) - 人工呼吸器やNIV/HFNCが不要な呼吸不全例で効果が期待できる 重症COVID-19に対して5日 vs 10日投与は同等 2) - 5日目に人工呼吸器使用中の場合は、10日間まで延長してもよいかもしれない 効果を認めなかった研究もある(中国、WHO) 3)4) ACTT-1では23%で副腎皮質ステロイドが投与されていた

  10. WHOはレムデシビルに否定的? Solidality研究:院内死亡の減少なし 規模は、ACTT-1より大きい 参加国:先進国と途上国(アジア・アフリカ・ラテンアメリカが主体) 最重症例(人工呼吸器管理)が少ないが、致命率はACTT-1と同等 N Engl J Med. 2020 Dec 2. doi: 10.1056/NEJMoa2023184.

  11. メタ解析:低流量酸素投与中ではよい? N Engl J Med. 2020 Dec 2. doi: 10.1056/NEJMoa2023184.

  12. 中等症COVID-19に対する効果は微妙... 肺炎像があるがSpO2 94%以上のCOVID-19患者を対象 標準治療 vs レムデシビル 5日間 vs レムデシビル 10日間 Day 11での症状の改善がレムデシビル 5日群で標準治療群  と比較してわずかに多かった 改善(Day 14):73% vs 80% vs 79% 臨床的に意義のある差かどうか微妙なところ 酸素投与が不要な患者に末梢routeを確保すること自体のリスク(患者、医療者双方)やコストを考慮すると、中等症COVID-19への使用は推奨されない JAMA. 2020;324(11):1048-1057.

  13. -

  14. NIHのCOVID-19治療ガイドライン(2020.10.9に更新) https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/therapeutic-management/ レムデシビル「推し」

  15. NIHのCOVID-19治療ガイドライン(2020.12.3に更新) https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/therapeutic-management/ レムデシビルの推奨↓ ・低流量酸素で推奨 ・HFNC or NIVで考慮

  16. Therapeutics and COVID-19: living guideline(WHO) https://www.who.int/publications/i/item/therapeutics-and-covid-19-living-guideline

  17. 現時点でのレムデシビルの位置づけ 現時点では、呼吸不全を呈するCOVID-19の標準治療「候補」のひとつである デキサメタゾンをはじめとするステロイドとの併用効果は検討されていない 酸素投与が必要な重症COVID-19患者の酸素化の改善・入院期間の短縮が期待できる 人工呼吸器の適応となるほどの最重症例では効果が期待できない可能性が高い 抗ウイルス作用を期待して使用する薬剤であることから、早期投与が望ましい 5日間投与を基本として、5日目の時点で人工呼吸器を装着している場合は、10日間まで延長を検討する 医療体制が整っており、適切な集中治療が可能な医療環境で、効果が期待できる

  18. ファビピラビル(アビガン®) 無症状または軽症COVID-19(呼吸不全なし)におけるファビピラビルの効果を検討したRCT 早期投与群 vs 遅延投与群(day 6に開始)を比較 Primary outcome:day 6でのPCR陰性化率 投与方法:初日1800mg 1日2回、その後800mg 1日2回 合計10日間 発熱出現と無作為化までの期間:中央値7日間 PCR陰性化を早めない 解熱を早める可能性 2.1日 vs 3.2日 Antimicrob Agents Chemother. 2020 Sep 21;AAC.01897-20. doi: 10.1128/AAC.01897-20.

  19. ファビピラビル(アビガン®) ロシアでのオープンラベルRCT ファビピラビル vs 標準治療 対象:18歳以上の中等症COVID-19患者  (60名、25%が酸素投与必要、25%が発熱) primary endpoint:day 10までのPCR陰性化率 day 5のPCR陰性化率 62.5%vs 30%(有意差あり) day 10のPCR陰性化率 92.5% vs 80%(有意差なし) 解熱(37度未満)までの期間:2日 vs 4日(有意差あり) Clin Infect Dis. 2020 Aug 9;ciaa1176. doi: 10.1093/cid/ciaa1176.

  20. ファビピラビル(アビガン®) 治療中に高率に一過性の高尿酸血症が出現する(84.1%) アビガンで治療中に痛風発作が出現した症例報告(痛風発作の既往のあるCOVID-19患者)がある ICUで人工呼吸器管理を必要としているCOVID-19患者でのファビピラビルの血中濃度は非常に低く、効果は期待できない Clin Transl Sci. 2020 Sep;13(5):880-885. Intern Med. 2020 Sep 15;59(18):2327-2329. Antimicrob Agents Chemother. 2020 Sep 21;AAC.01897-20.

  21. ファビピラビル(アビガン®) 富士フィルム富山化学株式会社のwebsite:https://www.fujifilm.com/jp/ja/news/list/545

  22. ファビピラビル(アビガン®) 非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者を対象としたRCT ファビピラビル vs プラセボ primary outcome:症状(体温、酸素飽和度、胸部画像)の軽快、かつ、PCR陰性化までの時間 ファビピラビル投与群 11.9日、プラセボ投与群 14.7日(有意差あり) 体温や気道症状の改善のみをoutcomeとした場合の効果は不明(胸部画像の改善やPCR陰性化までの時間は重要なoutcomeではない) 富士フィルム富山化学株式会社のwebsite:https://www.fujifilm.com/jp/ja/news/list/545

  23. ファビピラビルのまとめ 重症COVID-19におけるdataはほぼない 軽症または中等症COVID-19のPCR陰性化を早める可能性はあるが、差がなかった研究もある 軽症または中等症COVID-19の症状の改善を1-2日早める可能性がある 重症化予防効果は不明 軽症例はそもそも治療不要。中等症(低酸素血症のない肺炎を呈するCOVID-19)における症状改善効果がわずかに期待できる可能性が期待される薬剤(現時点では、臨床的に有用な薬剤とは言えない)。

  24. トシリズマブの使用が検討される背景 トシリズマブ:ヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体 IL-6高値(>100 pg/mL)は、重症度とウイルス血症の存在に関連する 1) IL-6高値(>6.75 pg/mL)は、長期間のウイルス排泄(PCR)に関連する 2) IL-6高値(来院時のIL-6 >35 pg/mL、IL-6の最大値 >80 pg/mL)は、人工呼吸器管理の必要性(最重症例)に関連する 3) IL-6高値(入院時>70 pg/mL)は、死亡に関連する 4) 最重症のCOVID-19でIL-6は高値で、非生存者で有意に高い(中央値 61.1 pg/mL) 5) 1) Clin Infect Dis. 2020 Nov 5;71(8):1937-1942. 2) Clinical Infectious Diseases, ciaa490, https://doi.org/10.1093/cid/ciaa490 3) J Allergy Clin Immunol. 2020 Jul;146(1):128-136.e4. 4) Nat Med. 2020 Oct;26(10):1636-16 5) Am J Respir Crit Care Med. 2020 Jun 1;201(11):1430-1434

  25. トシリズマブ(重症例:酸素投与) 3つのRCTの結果が論文として発表されている すべての研究で、死亡減少効果は示されなかった ステロイドとの併用の効果は検討されていない 感染は増加しなかった

  26. トシリズマブ(重症例:酸素投与) 一般病棟で酸素投与が必要な患者(N=243) トシリズマブ 8mg/kg単回 vs placebo ステロイドは両群約10%で投与された 発症から中央値9-10日目(IQR 6-13) Primay outcome:死亡+挿管 致死率5%程度、挿管率7-10% N Engl J Med. 2020 Oct 21. doi: 10.1056/NEJMoa2028836

  27. トシリズマブ(重症例:酸素投与) 一般病棟のCOVID-19患者131名(酸素3L以上、かつ、HFNC・人工呼吸器使用なし) トシリズマブ(8mg/kg day 1) vs 標準治療  改善乏しい場合はday 3に 400mg追加検討 発症10日目に無作為化(IQR 7-13) Primary outcome:14日以内の人工呼吸器使用または死亡(24% vs 36%) 28日死亡同等(11% vs 12%) 標準治療群の方が、ステロイド(33% vs 61%)と抗ウイルス薬の使用患者数が多かった JAMA Intern Med. 2020 Oct 20;e206820. doi: 10.1001/jamainternmed.2020.6820.

  28. トシリズマブ(重症例:酸素投与) COVID-19:126名(P/F=200-300;ベンチュリーマスク or HFNC) トシリズマブ 8mg/kg投与、その後12時間後に2回目投与 Primary outcome:14日以内の臨床的悪化(死亡 or 人工呼吸器使用・ICU入室 or P/F 150未満)→同等 発症から無作為化まで8日(IQR 6-11) JAMA Intern Med. 2020 Oct 20;e206615. doi: 10.1001/jamainternmed.2020.6615.

  29. トシリズマブ(重症例:酸素投与) 文献化されていないが、企業が行った治験(トシリズマブ vs プラセボ) - 死亡は減少しない - 人工呼吸器の導入率は低下する可能性がある - 感染は増加しない https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200925153001_1025.html https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200729151500_1006.html

  30. トシリズマブ(重症例:酸素投与) 効果の可能性を示した観察研究は数多く報告されている 重症COVID-19(CRP >10mg/dL、フェリチン>900 µg/L、D-dimer >1.5µg/mLのうち2つ以上を満たす):メチルプレドニゾロン(初日250mg、その後80mg/日 4-6日間)で改善ない場合に、トシリズマブ(8mg/kg)追加した群は、どちらも投与しない群よりも死亡が少なかった 1) ほとんどの観察研究で、発症から4-14日以内にトシリズマブは投与されている CRP>15 mg/dLの場合、トシリズマブの効果が期待できるかもしれない 2) 1) Ann Rheum Dis. 2020 Sep;79(9):1143-1151. PMID:32719045 2) Clin Microbiol Infect. 2020 Sep 23;S1198-743X(20)30573-5. doi:10.1016/j.cmi.2020.09.021.

  31. トシリズマブ(最重症例:人工呼吸器) 単施設観察研究、対象は人工呼吸器管理中のCOVID-19患者 トシリズマブ投与群(78名):8mg/kgを1回投与。約半数が挿管後24時間以内に投与された 非投与群(76名):標準治療(ステロイドは推奨されなかった) primary outcome:挿管後の死亡が45%減少(28日死亡 18% vs 36%) 感染は増加した(54% vs 26%) 主にVAPが増加(45% vs 20%):S. aureus 50%、緑膿菌 12-18% グルココルチコイド:トシリズマブ投与群29%、非投与群20% 結論:人工呼吸器を使用したCOVID-19に対するトシリズマブは、VAPを増加させるが、死亡を約50%に減少させる可能性がある Clin Infect Dis. 2020 Jul 11;ciaa954. doi: 10.1093/cid/ciaa954

  32. 米国の68病院のICUに入院したCOVID-19患者(人工呼吸器使用約60%)を対象とした大規模観察研究(3924名) ICU入室後2日以内のトシリズマブ投与群 3日目以降の投与または非投与群 両群とも約15%でステロイドが投与された 30日死亡はトシリズマブで少なかった:27.5% vs 37.1% Subgroup解析では、人工呼吸器かつP/F<200でトシリズマブの効果をみとめた 2次感染の頻度は両群で同等(32.3% vs 31.1%) トシリズマブ(最重症例:人工呼吸器) JAMA Intern Med. 2020 Oct 20;e206252. doi: 10.1001/jamainternmed.2020.6252.

  33. 本当にCOVID-19でIL-6は上昇している?他の病態と比べると... COVID-19 with ARDS(ICU入室48時間以内) 細菌によるseptic shock with ARDS (診断から24時間以内) 細菌によるseptic shock without ARDS (診断から24時間以内) 院外心停止(ICU入室から24時間以内) 多発外傷(受傷から24時間以内) JAMA. 2020 Sep 3;324(15):1565-1567. 48 376

  34. 本当にCOVID-19でIL-6は上昇している?他の病態と比べると... 重症COVID-19では、IL-6などの炎症性サイトカインは上昇しているが、その「程度」は、他の炎症性サイトカインが上昇する病態(cytokine release syndrome、sepsis、COVID-19以外のARDS)と比較して小さい(重症化の病態は、cytokine stormではない) Lancet Respir Med. 2020 Oct 16;S2213-2600(20)30404-5.

  35. トシリズマブのまとめ 人工呼吸器を必要としない呼吸全患者への効果は期待できない 重症COVID-19では、感染を増加させない可能性が高い 最重症COVID-19では、感染を増加させる可能性がある 最重症COVID-19は、IL-6が著明に上昇する病態ではない ステロイド使用下のトシリズマブの効果を検討した報告はない 人工呼吸器を必要とする最重症COVID-19で、炎症反応の上昇が著明で、ステロイドへの反応が乏しい(2日程度で判定)場合は、ICU入室から早期に(例えば、4日以内)に投与を検討してもよいかもしれない

  36. デキサメタゾン:RECOVERY試験 入院が必要なCOVID-19患者(6425名)を対象としたRCT デキサメタゾン 6mg/日(内服 or 点滴)vs 標準治療 投与期間:10日間または退院まで(中央値7日間) primary endpoint:28日死亡 22.9% vs 25.7% 死亡減少効果は、呼吸不全例でのみ示された 人工呼吸器が必要になる患者も減少した レムデシビルは両群でほとんど投与されなかった N Engl J Med. 2020 Jul 17;NEJMoa2021436. doi: 10.1056/NEJMoa2021436

  37. その他のグルココルチコイドの研究 ハイドロコルチゾン(主に最重症例を対象):REMAP-CAP 1) 50mg 6時間おき 7日間 vs 50mg 6時間おき(shock時) vs 投与なし primary endpoint:organ support-free day、途中で試験終了 デキサメタゾン(最重症例):CoDEX 2) 20mg 5日間→10mg 5日間 vs 投与なし primary endpoint:ventilator-free days during the first 28 days 介入群で治療成績が有意に優れていた(6.6日 vs 4.0日) 副腎皮質ステロイドの効果を検討したメタ解析 3) 最重症例で28日死亡が減少する(OR 0.66) どの研究もレムデシビルをほとんど使用していない 1) JAMA. 2020;324(13):1317-1329. 2) JAMA. 2020;324(13):1307-1316. 3) JAMA. 2020;324(13):1330-1341.

  38. 副腎皮質ステロイドのまとめ デキサメタゾン 6mg/日(内服・点滴) 7-10日間(第1選択) 代替薬 メチルプレドニゾロン 1回10mg 1日4回 or ハイドロコルチゾン 1回50mg 1日3回 呼吸不全を呈している重症例・最重症例で使用する 病態を考慮すると、発症から7日目以降からの開始が目安となるが、重症化した時点で開始するのが現実的 遷延する呼吸不全に対して、投与期間を延長すべきかどうかは不明 BMJ. 2020 Sep 4;370:m3379. doi: 10.1136/bmj.m3379.

  39. その他:検討されてきた治療 回復期血漿× ヘパリン△ ヒドロキシクロロキン× クロロキン× ロピナビル/リトナビル× イベルメクチン? その他の免疫調整薬

  40. 回復期血漿 オープンラベル多施設RCT N=103(予定の200例に届かなかった) 重症または最重症COVID-19を対象 primary outcome(28日以内の症状改善)  全体:51.9% vs 43.1%(有意差なし)  重症例:91.3% vs 68.2%(有意差あり)  最重症例:20.7% vs 24.1%(有意差なし) secondary outcome:28日死亡(15.7% vs 24.0% ) 発症から無作為化まで:27-30日 JAMA. 2020 Aug 4;324(5):460-470. - 投与のタイミングは遅い - 重症例では効果がある可能性がある

  41. 回復期血漿 米国、単施設の観察研究(投与群 vs 非投与群) 重症または最重症COVID-19を対象(N=39) 投与群:投与14日後の呼吸の悪化↓(17.9% vs 28.2%)、死亡↓(12.8% vs 21.6%) 発症から入院までの期間の中央値 7日(0-14) 入院から輸血までの期間の中央値 4日(0-7) 挿管していない患者、入院から7日以内に投与した場合に、効果がみられやすかった Nat Med. 2020 Sep 15. doi: 10.1038/s41591-020-1088-9.

  42. 回復期血漿 N=35322(52.3%がICU患者で、27.5%が人工呼吸器患者)の観察研究 診断から3日以内 vs 4日目以降:30日死亡 21.6% vs 26.7%(有意差あり) 輸血した血漿中のIgG価が高いほど、効果が高かった(死亡が減少) 重症(約90%)または最重症COVID-19を対象 投与群138名 vs 非投与群1430名、発症から治療まで 45日 死亡減少 2.2% vs 4.1%、ICU入室減少 2.4% vs 5.1% medRxiv. 2020 Aug 12;2020.08.12.20169359. doi: 10.1101/2020.08.12.20169359. (プレプリント) Blood. 2020 Aug 6;136(6):755-759. doi: 10.1182/blood.2020007079.

  43. 回復期血漿のまとめ: 11月中旬.. 効果についてはまだ不明 重症例(呼吸不全、かつ、人工呼吸器未使用)に効果が期待される 早期の投与の場合に、効果が高い可能性がある 最適な投与量、必要な抗体価、最適な献血のタイミングなどは不明 今後の無作為比較試験の結果に期待

  44. 2020.11.24にRCTの結果が発表 アルゼンチン 成人重症COVID-19(呼吸不全) 最重症例は除外 RCT:投与群 vs プラセボ群 回復期血漿は症状出現から8日目(IQR 5-10)に投与 30日死亡:両群とも11% 効果なし 死亡 改善 N Engl J Med. 2020 Nov 24. doi: 10.1056/NEJMoa2031304.

  45. ヘパリン:COVID-19と血栓 入院中のCOVID-19患者では抗凝固薬予防中でも高率にDVTが発生する(20-46%) 1)3) ICU患者で特に頻度が高い(遠位DVT 85%、近位DVT 10%というdataもある) 2) 入院から7-10日程度で診断されることが多い 2)3) DVTの発生は、死亡との関連を認めている 1)3) 臨床現場の実感としては、ヘパリン皮下注を予防投与していれば、ほぼDVTは経験しないが...?? 1) J Thromb Haemost. 2020 Aug;18(8):1995-2002. 2) Circulation. 2020 Jul 14;142(2):181-183 3) Circulation. 2020 Jul 14;142(2):114-128.

  46. 人工呼吸器管理中のCOVID-19への治療量の抗凝固療法は、予防量または投与なしと比較して、死亡を減らす可能性がある(観察研究) 人工呼吸器管理中のCOVID-19患者にタウする治療的抗凝固薬は予防投与よりも、ガス交換を改善し、人工呼吸器離脱を早める可能性がある(N=20のRCT) ヘパリンの可能性 J Am Coll Cardiol. 2020 Jul 7;76(1):122-124. Thromb Res. 2020 Sep 21;196:359-366.

  47. その他:経験的抗菌薬治療 細菌感染症の合併1-5):2.2-7% ICU入室患者の細菌感染症の合併1-5) :11-41% 最重症例を除いて... 抗菌薬の経験的投与は不要なことがほとんどである しかし、抗菌薬の使用率は56-72%と報告されている 1,4,6,7)

  48. その他:経験的抗菌薬治療 軽症から中等症COVID-19では抗菌薬は、原則不要 経験的治療の対象 - 画像所見と炎症マーカーが細菌感染症を示唆する - 高度免疫不全者 - ICU入室患者?(当院ではICU入室のみを理由として抗菌薬投与は行っていない) 治療開始前に、喀痰培養・血液培養・(尿中抗原提出) 抗菌薬選択は、市中肺炎のガイドラインに従う(ただし、非定型肺炎のカバーは不要) 治療開始後48時間の時点で検査陰性の場合は、抗菌薬終了を検討する Recommendations for antibacterial therapy in adults with COVID-19 – An evidence based guideline. https://doi.org/10.1016/j.cmi.2020.09.041

  49. Intensive Care Med (2020). https://doi.org/10.1007/s00134-020-06278-x ICU入室 septic shock or CTで細菌性肺炎を疑う場合 培養検査を行う 治療期間は5-7日、de-escalationを行う

  50. COVID-19の治療後の経過 改善後の症状残存

  51. Long COVID or Ongoing COVID 遷延するCOVID-19による症状は、以下の病態の組み合わせの可能性  - Post Intensive Care syndrome  - Post Viral Fatigue syndrome  - Long Term COVID syndrome  - permanent organ damage Living with COVID: NIHR publishes dynamic themed review into ‘ongoing COVID’ https://www.nihr.ac.uk/news/living-with-covid-nihr-publishes-dynamic-themed-review-into-ongoing-covid/25891

  52. イタリアからの報告 イタリアの大学病院で行われた単施設の観察研究(2020.4-5) 143名(約20%がNIVまたはIMV) 退院から36日後(平均値)にフォローアップ 持続する症状:あり→87.4% なし 12.6%、1-2つ 32.2%、3つ以上 55.2% 倦怠感53%、呼吸困難43.3%、関節痛27.3% QOLの低下44.1% JAMA. 2020;324(6):603-605.

  53. ドイツからの報告 単施設観察研究 2020.3-2020.4に入院した279名の患者のうち120名に電話インタビュー COVID-19を発症してから110日後(平均値)にインタビュー施行 倦怠感55%、呼吸困難42%、咳16.7% 記憶障害34%、集中力低下28%、睡眠障害30.8% 脱毛20%、味覚障害10.8%、嗅覚障害13.3% これらの症状は、ICU患者と病棟患者で差がなかった 約30%の患者は職場復帰できていなかった J Infect. 2020 Aug 25;S0163-4453(20)30562-4. doi: 10.1016/j.jinf.2020.08.029.

  54. 日本からの報告 日本の単施設観察研究 2020.2-2020.6に退院したCOVID-19患者を対象とした 78名(呼吸不全例は35%)の対象者のうち63名の症状を電話インタビュー 退院後約108日後(平均値)にインタビューを行った 発症から60日時点:嗅覚障害(16.1%)、呼吸困難(17.5%)、倦怠感(15.9%)、咳(7.9%)、味覚障害(4.8%) 発症から120日時点:呼吸困難(11.1%)、嗅覚障害(9.7%)、倦怠感(9.5%)、咳(6.3%)、味覚異常(1.6%) 脱毛24.1%(発症から58.6日後に出現:平均) Open Forum Infectious Diseases, Volume 7, Issue 11, November 2020, ofaa507, https://doi.org/10.1093/ofid/ofaa507

  55. 嗅覚・味覚障害はすぐには改善しない 軽症COVID-19成人外来患者187名(イタリア) 66.3%が嗅覚または味覚障害あり 診断から4週間後の時点で  完全に改善 48.7%  改善傾向 40.7%  改善なしまたは悪化 10.6% 咳、呼吸困難、頭痛などの残存率が高い JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2020;146(8):729-32.

  56. COVID-19後のメンタルヘルス COVID-19診断から14-90日以内に、不安障害、気分障害、不眠、高齢者の認知症の新規発症が増加した インフルエンザなどのその他の気道感染症後と比較して優位に精神疾患の新規発症・再燃が増加した 新規 新規+再燃

  57. 重症COVID-19罹患後は肺拡散能が低下 退院後30日時点 :肺拡散能(DLCO)の低下をみとめた 退院時点と退院後30日時点 :重症例(呼吸不全)と軽症-中等症を比較  →重症例でDLCOの低下、全肺気量の低下が著明であった Eur Respir J. 2020 Jun 18;55(6):2001217. doi: 10.1183/13993003.01217-2020. Respir Res. 2020 Jun 29;21(1):163. doi: 10.1186/s12931-020-01429-6.

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