COVID-19の治療update 2021年7月版

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黒田 浩一

神戸市立医療センター中央市民病院

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COVID-19の治療について最新のエビデンスをもとにまとめました。個人的な意見はほとんど記載せず、なるべくエビデンスに忠実に作成しています。外来で可能な治療にも言及しています。皆様の診療の参考にしていただければ幸いです。公開範囲は制限していません。

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COVID-19の治療update 2021年7月版

1. COVID-19の治療2021.7 UPDATE 神戸市立医療センター中央市民病院 感染症科 黒田浩一 2021.7.29作成
2. 呼吸管理
3. COVID-19に対する呼吸管理 SpO2 94%未満で、酸素投与開始 High-flow nasal cannula(HFNC) 人工呼吸器 - 適応決定にあたって、呼吸数・呼吸困難感の有無は重要 - 呼吸状態・画像所見・呼吸状態の悪化のスピードを総合的に判断 - 当初は急激な悪化を危惧して、O2 5L/分以上で挿管検討していた
4. High-flow nasal cannula(HFNC) 治療成績を悪化させずに、人工呼吸器管理が20%減少する可能性がある 患者の不快感が少ない サージカルマスクが着用しやすい 当初エアロゾル発生が危惧されていたが、空気予防策を実施すれば、安全に使用可能と考えられており、現在は臨床現場で多用されている Am J Respir Crit Care Med. 2020;202:1039-42 Eur Respir J. 2020;56(5):2001154.
5. HFNCの安全性 細菌性肺炎患者の研究やマネキンとスモーク(長径 1µm未満)を使用した実験では、通常の酸素マスクとエアロゾル発生リスクが同等であった 1) 一般病棟のCOVID-19患者に対するHFNCの有用性と安全性(空気予防策で対応)を示した観察研究がある 2) ただし、直接COVID-19患者におけるHFNCによるエアロゾル発生リスクを評価した研究や臨床効果を検討した比較研究はない 3) 1) Eur Respir J. 2020 May 14;55(5):2000892. doi: 10.1183/13993003.00892-2020. 2) Eur Respir J. 2020 Sep 9;2001154. doi: 10.1183/13993003.01154-2020. 3) Can J Anaesth. 2020 Sep;67(9):1217-1248.
6. 当院でのHFNCの使用方法 適応 - 酸素投与5L/分以上でSpO2 93%以下 - 挿管回避の可能性がある 除外基準 - 不穏状態などで、HFNCとサージカルマスクの継続使用不可 使用方法 - 個室(陰圧が望ましい)、空気予防策 - 患者はサージカルマスク着用
7. NIV(noninvasive ventilation) 当院では、原則として使用していない - 大量のエアロゾル発生が懸念される - 非COVID-19による1型呼吸不全に対してHFNCよりも治療成績が劣る可能性がある 使用を考慮する場合 - 神経筋疾患やCOPDによって2型呼吸不全を呈している場合 - 心原性肺水腫の場合 N Engl J Med. 2015;372:2185-96.
8. 気管挿管のタイミング その他の呼吸不全を呈する病態と同様である (1)時間単位で急速に呼吸状態が悪化 (2)HFNCで酸素化が保てない(PaO2/FiO2<100が目安) (3)CO2貯留、 (4)呼吸筋疲労 (5)意識障害 (6)循環動態不安定 (7)多臓器不全 などを加味して、総合的に判断する
9. 薬物治療
10. 病態を踏まえてevidenceのある薬剤で治療を行う
11. 臨床医として重要なこと(私見) evidenceのある薬剤で治療を行う 信頼できるガイドラインを参照する(NIH@米国 etc) 理論的に効果が期待され、弱いevidenceのある薬剤(例:観察研究のみで効果が示されている)は、他の効果が確立した薬剤がない場合に、riskとbenefitを考慮した上で、その使用が検討される(または、臨床試験の中で使用すべきである) マスコミ、SNS、一部の専門家の意見:「切れ味がよい」という一部の専門家の意見は参考にしてはいけない(臨床現場で実感できるほどの薬剤は今のところないはずである)
12. BMJ. 2020 Oct 23;371:m3862. doi: 10.1136/bmj.m3862.
13. 重症COVID-19はbiphasic illnessである 重症化 炎症cascade>ウイルス増殖 J Antimicrob Chemother. 2020 Oct 25;dkaa442. doi: 10.1093/jac/dkaa442.
14. 病態に合わせて治療薬を検討する 初期(~1-2w) :抗ウイルス作用 過剰炎症反応期 :抗炎症作用 J Heart Lung Transplant. 2020 May;39(5):405-407.
15. 重症度発症からのタイミングで治療薬が決定する
16. 外来患者
17. 外来患者 重症化予防効果を示した質の高いevidenceがあるのは、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体のみ SARS-CoV-2のスパイク蛋白の受容体結合部位(receptor-binding domain:RBD)を標的とした中和モノクローナル抗体で、3種類存在する
18. 抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体
19. 抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体 Bamlanivimab+Etesevimab Casirivimab+Imdevimab Sotrovimab Casirivimab+Imdevimabが、2021.7.19に特例承認された 商品名:「ロナプリーブ点滴静注セット」
20.
21. Bamlanivimab+Etesevimab 重症化リスクのある軽症・中等症患者に投与すると、28日以内の入院+死亡が70%減少する(7.0%→2.1%) ただし、E484Kをもつベータ株・ガンマ株、L452Rをもつイプシロン株に対して、in vitroで感受性が低下している N Engl J Med. 2021 Jul 14. doi: 10.1056/NEJMoa2102685 入院
22. Casirivimab+Imdevimab Weinreich DM, et al. REGEN-COV Antibody Cocktail Clinical Outcomes Study in Covid-19 Outpatients. medRxiv 2021.05.19.21257469; doi: https://doi.org/10.1101/2021.05.19.21257469 入院+死亡が70%減少(3.2%→1.0%) PREPRINT(7/29/2/21)
23. 軽症または中等症のCOVID-19患者を対象 発症から7日以内に投与(実際の試験での中央値は3日) プラセボ群と比較して、28日以内の入院+死亡が、70%減少した(3.2%→1.0%) 投与量は、600mgずつと1200mgずつで効果に差なしのため、600mgずつ(合計1200mg)が推奨されることになった Casirivimab+Imdevimab PREPRINT(7/29/2/21)
24. 投与前にIgGが陽性だった群も含めて解析されている ただし、まだ査読未の論文であり、詳細は不明 E484KやL452Rを持つ変異株に対する効果は、in vitroで、低下しないことが示されている Casirivimab+Imdevimab PREPRINT(7/29/2/21)
25.
26. 日本で使用する際の問題点 現時点では、入院患者にしか使用できない 現時点では、供給量が十分でない 入院した患者に同意書を取り、その後、国に発注をかけ、その1-3日後に病院に届くことになっている そのため、発症3-4日以内にPCR検査を行い、4-5日以内に入院する必要がある
27. その他の薬剤
28.
29. デキサメタゾン
30. デキサメタゾン 入院患者におけるデータであるが、酸素投与をしていない患者に対する副腎皮質ステロイドは、効果がないことが示されているため、デキサメタゾンは投与しない(理論上、時期尚早な投与によって、予後が悪くなる可能性もある) 入院ができない医療状況で、SpO2が93%以下となった場合は、投与が検討される(在宅酸素旅法中にDexa 6mg/日、最長10日間)が、安易な使用は控えるべきである。高血糖に注意する。 N Engl J Med. 2021;384:693-704.
31. ファビピラビル
32. RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬 もともとインフルエンザに対して開発された薬剤 現時点では、COVID-19への効果は期待できず、臨床的に意義のある薬剤ではないと考えられている ファビピラビル(アビガン®) Nat Med. 2021 Jul 5. doi: 10.1038/s41591-021-01439-x
33. ファビピラビル(アビガン®) 無症状または軽症COVID-19(呼吸不全なし)におけるファビピラビルの効果を検討したRCT 早期投与群 vs 遅延投与群(day 6に開始)を比較 Primary outcome:day 6でのPCR陰性化率 投与方法:初日1800mg 1日2回、その後800mg 1日2回 合計10日間 発熱出現と無作為化までの期間:中央値7日間 PCR陰性化を早めない 解熱を早める可能性 2.1日 vs 3.2日 Antimicrob Agents Chemother. 2020 Sep 21;AAC.01897-20. doi: 10.1128/AAC.01897-20.
34. ファビピラビル(アビガン®) ロシアでのオープンラベルRCT ファビピラビル(発症から6-7日で投与) vs 標準治療 対象:18歳以上の中等症COVID-19患者  (60名、25%が酸素投与必要、25%が発熱) primary endpoint:day 10までのPCR陰性化率 day 5のPCR陰性化率 62.5%vs 30%(有意差あり) day 10のPCR陰性化率 92.5% vs 80%(有意差なし) 解熱(37度未満)までの期間:2日 vs 4日(有意差あり) Clin Infect Dis. 2020 Aug 9;ciaa1176. doi: 10.1093/cid/ciaa1176.
35. ファビピラビル(アビガン®) 治療中に高率に一過性の高尿酸血症が出現する(84.1%) アビガンで治療中に痛風発作が出現した症例報告(痛風発作の既往のあるCOVID-19患者)がある ICUで人工呼吸器管理を必要としているCOVID-19患者でのファビピラビルの血中濃度は非常に低く、効果は期待できない Clin Transl Sci. 2020 Sep;13(5):880-885. Intern Med. 2020 Sep 15;59(18):2327-2329. Antimicrob Agents Chemother. 2020 Sep 21;AAC.01897-20.
36. ファビピラビル(アビガン®) 富士フィルム富山化学株式会社のwebsite:https://www.fujifilm.com/jp/ja/news/list/545
37. ファビピラビル(アビガン®) 非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者を対象としたRCT ファビピラビル vs プラセボ primary outcome:症状(体温、酸素飽和度、胸部画像)の軽快、かつ、PCR陰性化までの時間 ファビピラビル投与群 11.9日、プラセボ投与群 14.7日(有意差あり) 体温や気道症状の改善のみをoutcomeとした場合の効果は不明(胸部画像の改善やPCR陰性化までの時間は重要なoutcomeではない) 富士フィルム富山化学株式会社のwebsite:https://www.fujifilm.com/jp/ja/news/list/545
38. ファビピラビル(アビガン®) メタ解析(9つの比較試験) - 入院7日後の症状改善率高い - 入院14日後の症状改善率は同等 - ウイルス排除は早めない - 呼吸不全に至る可能性は減らさない - ICU入室率減らさない - 死亡減らさない 呼吸不全 ICU入室 Sci Rep. 2021 May 26;11(1):11022. doi: 10.1038/s41598-021-90551-6.
39. https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4157475.html 2020.12.21の記事
40. イベルメクチン
41. イベルメクチン 糞線虫症やオンコセルカ症などに使用される抗寄生虫薬であるが、in vitroでSARS-CoV-2に対して持つことが示されたため、その効果が検討されるようになった in vitroでSARS-CoV-2に効果を認めたイベルメクチンの濃度は、ヒトに対する通常投与量では到底達成できないような高い濃度である 現時点では、有効性はない可能性が高く、臨床試験以外では使用しないことが推奨される。 Nat Med. 2021 Jul 5. doi: 10.1038/s41591-021-01439-x
42. イベルメクチン 多くのRCTが軽症または中等症のCOVID-19患者を対象として実施されているが、大半はまだ査読されておらず、プレプリントの状態 これらの研究は、(1)規模が小さい、(2)研究デザインに問題があるものが多い、(3)大半の研究が先進国以外で実施されている、(4)1回投与量(200-400 µg/kgまたは12-24mg)や投与期間(単回投与や5日間)が様々である
43. 論文として発表されているRCT 発症早期(4-7日以内)に投与した場合 プラセボ群(または標準治療群)と比較して - 入院(重症化)は減らない - 症状の改善は早まらない BMC Infect Dis. 2021;21:635. IMC Journal of Medical Science, 2021;14(2):11-18. https://doi.org/10.3329/imcjms.v14i2.52826 International Journal of Sciences 2020;9:31-35. DOI:10.18483/ijSci.2378 Int J Infect Dis. 2021;103:214-6. EClinicalMedicine. 2021;32:100720. JAMA. 2021;325:1426-35.
44. メタ解析:効果なし? Mortalityの差はない IVM群がよい傾向であった論文はまだ査読されていない 10のRCTのメタ解析(1つがスペイン、その他はlow- or middle- incomeの国) ・各研究の規模:24-398名、既往ない患者が大半 ・イベルメクチンの投与方法:  総投与量12-210mg  単回(5研究) or 5日(4研究) ・死亡、入院期間、副作用、ウイルス排除は同等 Clin Infect Dis. 2021 Jun 28;ciab591.  doi: 10.1093/cid/ciab591
45. メタ解析:効果あり? Clinical recovery 入院期間 24のRCTを対象としたメタ解析では、イベルメクチンは死亡を減少させることが示された(上には、提示していない)。しかし、対象とした論文の2/3は査読されていない研究であること、解析対象となっていた死亡を著明に減少させた効果を示した論文がデータ改ざんなどの疑いで撤回されたこと(赤枠)、などから、このメタ解析の結果の信頼性は低い。同様の結果を示したメタ解析はもう1つあるが、同じように解釈されている。 Open Forum Infectious Diseases, 2021;, ofab358, https://doi.org/10.1093/ofid/ofab358 Am J Ther. 2021 Jun 21;28(4):e434-e460. doi: 10.1097/MJT.0000000000001402.
46. コルヒチン
47. コルヒチン コルヒチンは、痛風・心膜炎・家族性地中海熱などに使用される抗炎症作用のある薬剤で、この抗炎症作用を期待して、COVID-19に使用される。 現時点では、(1)重症化リスクのある外来患者に対するコルヒチンの投与は考慮してもよいが、下痢などの消化器症状に注意して使用する、(2)入院患者に対しては使用しない。なお、保険適用はない。 外来での使用方法(例):1回0.5mg 1日2回を3日間内服した後、1回0.5mg 1日1回 27日間内服(最適な投与量・投与期間は不明) ただし、効果を示した研究は、現時点では未査読(プレプリント)である
48. COLCORONA試験(外来患者) ・重症化リスクを1つ以上もっている外来COVID-19患者を対象 ・プラセボ対照RCT、4488名 ・コルヒチン1回0.5mg 1日2回 3日間、その後1回0.5mg 1日1回 27日間 ・症状出現から試験参加まで5.3日 ・主要評価項目:30日以内の入院または死亡の有意差なし(4.7% vs 5.8%)         PCR陽性患者(93%)に限ると減少(4.6% vs 6.0%) ・副次評価項目:30日以内の死亡差なし、30日以内の入院差なし ・副作用:下痢が有意に増加(13.7% vs 7.3%)、肺塞栓が増加(0.5% vs 0.1%) medRxiv 2021.01.26.21250494;  doi: https://doi.org/10.1101/2021.01.26.21250494 PREPRINT(7/29/2/21)
49. GRECCO-19試験(入院患者) ・入院患者を対象とした小規模なオープンラベルRCT(N=105) ・コルヒチン群 vs 標準治療 ・コルヒチン 初回1.5mg、60分後に0.5mg  その後1回0.5mg 1日2回 退院まで(最長3週間) ・入院から投薬開始まで 3-5日(発症からの日数は不明) ・酸素投与60%、HFNC/NIV 6%、酸素投与なし 34% ・3週間以内の呼吸状態悪化が減少(14% vs 1.8%) ・下痢増加(45.5% vs 18.0%) ・入院期間同等(12日 vs 13日) JAMA Netw Open. 2020 Jun 1;3(6):e2013136. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.13136. 無増悪生存
50. RECOVERY試験(入院患者) ・入院患者を対象としたRCT(コルヒチン群 vs 標準治療)。オープンラベル、11340名 ・NIV 26-27%、MV 5%、94%がステロイド使用 ・発症から投与までの期間:両群とも9日間(6-12日) ・初回1mg、12時間後0.5mg、その後1回0.5mg 1日2回を9日間 or 退院まで(早い方) ・主要評価項目:28日死亡(21% vs 21%)で差なし ・サブグループ解析(呼吸不全の程度、投与開始 -7日 vs 8日-など):差なし ・退院までの期間:同等(10 vs 10)、MV使用と死亡:同等(25% vs 25%) medRxiv 2021.05.18.21257267; doi: https://doi.org/10.1101/2021.05.18.21257267 PREPRINT(7/29/2/21)
51. ブデソニド吸入
52. ブデソニド吸入がもっとも検討されてる 外来患者に使用した場合、入院が減少する可能性はあるため、使用考慮可 商品名:パルミコート 投与量・期間:1回800µg 1日2回吸入、改善するまで、または、14日間 STOIC試験は小規模であること、PRINCIPLE試験はまだ未査読かつ中間解析であることから、現時点で十分なevidenceがあるとはいえない。PRINCIPLE試験の最終結果を待ちたい。なお、COVID-19に対する保険適用はない。 吸入ステロイド(ブデソニド)
53. ・無盲検RCT・第2相試験(STOIC試験) ・基礎疾患問わない ・介入群:ブテソニド 1回800μg 1日2回吸入(症状消失まで) ・vs 通常治療 ・発症から投与までの期間:両群とも中央値3日 ・投与期間の中央値7日(4-10日) ・主要評価項目:救急外来での評価+入院  →ITT 3% vs 15%, PP 1% vs 14% ・副次評価項目:症状消失 7日 vs 8日  →1日早く改善(有意差あり) ・規模が当初の推定数より大幅に下回った(398例→146例) Lancet Respir Med. 2021 Jul;9(7):763-772. 吸入ステロイド(ブデソニド)
54. ・オープンラベルRCT(PRINCIPLE試験) ・4663名、中間解析データ、プレプリント ・対象:発症から14日以内の50歳以上の外来患者 ・基礎疾患あり:80% ・ブデソニド1回800μg 1日2回吸入 14日 vs 通常治療 ・発症から治療開始まで中央値6日(4-9日) ・主要評価項目: - 症状の改善↑:11日 vs 14日 - 28日以内のCOVID-19による入院+死亡減少↓  :8.5% vs 10.3% medRxiv 2021.04.10.21254672 doi: https://doi.org/10.1101/2021.04.10.21254672 吸入ステロイド(ブデソニド) PREPRINT(7/29/2/21)
55. フルボキサミン
56. フルボキサミン(ルボックス) フルボキサミンは、うつ病などに使用される選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors:SSRI)であり、その抗炎症作用が注目されている。 外来COVID-19患者を対象とした主な研究は2つあるが、どちらも小規模であり、現時点では投与を推奨しない。なお、保険適用はない。 投与方法(例):1回50-100mg 1日2-3回 14日間
57. 外来患者を対象とした観察研究 ・外来COVID-19患者(N=113名) ・50%が診断時無症状 ・希望者がフルボキサミン内服(内服群は有症状者が多かった) ・発症からPCR確定まで3-4日 ・1回50mg 1日2回 14日間 vs 投与なし ・14日までの入院が減少:0名 vs 6名(12.5%) Open Forum Infect Dis. 2021 Feb 1;8(2):ofab050. doi: 10.1093/ofid/ofab050
58. 外来患者を対象としたRCT ・参加者:152名(試験脱落例25%程度) ・発症から7日以内に投与(両群とも中央値4日) ・フルボキサミン群 vs プラセボ群 ・少量で開始し1回100mg 1日3回まで増量  total 15日間 ・PE:15日以内の重症化  0% vs 8.3%(0名vs 6名)有意差あり ・COVID-19の悪化での入院  0名 vs 4名(人工呼吸器1名) ・重篤な副作用なし JAMA. 2020 Dec 8;324(22):2292-2300. doi: 10.1001/jama.2020.22760.
59. 入院患者呼吸不全なし
60. 入院患者(呼吸不全なし) 酸素投与が不要な入院患者に対する予後改善効果を認めた薬剤はないため、原則対症療法で経過観察を行う 副腎皮質ステロイドは、効果がないことが示されているため、原則として投与しない レムデシビルは、2つの大規模RCT(ACTT-1試験・Solidarity試験)のサブグループ解析で効果を認めなかった 未分画ヘパリンによる深部静脈血栓症予防は行う N Engl J Med. 2021;384:693-704. N Engl J Med. 2020;383:1813-26. N Engl J Med. 2021;384:497-511.
61. デキサメタゾンは効果なし 酸素投与をしていない患者に対する副腎皮質ステロイドは、効果がないことが示されているため、デキサメタゾンは投与しない(むしろ予後を悪化させる傾向にある) 理論上、時期尚早な投与によって、予後が悪くなる可能性もある N Engl J Med. 2021;384:693-704.
62. レムデシビルは効果なし N Engl J Med. 2020;383:1813-26. N Engl J Med. 2021;384:497-511. ACTT-1 Solidarity
63. 中等症COVID-19患者に対象を限定したRCT 肺炎像があるがSpO2 94%以上のCOVID-19患者を対象 標準治療 vs レムデシビル 5日間 vs レムデシビル 10日間 Day 11での症状の改善がレムデシビル 5日群で標準治療群と比較してわずかに多かった 酸素投与期間・入院期間・28日死亡は差なし 臨床的意義はほとんどない? JAMA. 2020;324(11):1048-1057.
64. 入院患者O2:低流量システム
65. 推奨される治療 鼻カニュラまたは簡易マスクを使用した酸素投与が開始された段階で、デキサメタゾン(1回6mg 1日1回、内服または点滴)を開始する。発症から10-14日以内であれば、レムデシビル(初日200mg、その後100mg、合計5日間)の併用を検討する。 急速に呼吸状態が悪化、かつ、高炎症反応(目安はCRP 7.5 mg/dL以上)を伴う酸素吸入中の患者に対して、トシリズマブまたはバリシチニブの追加を考慮してもよい。 回復期血漿は使用しないことを推奨する。
66. デキサメタゾン
67. デキサメタゾン:RECOVERY試験 大規模なオープンラベルRCT(N=6425) ・デキサメタゾン(1回6mg 1日1回 10日間、または、退院時に終了) vs 標準治療 ・呼吸不全を呈する重症COVID-19患者の28日死亡が減少(22.9% vs 25.7%) ・人工呼吸器を使用していない患者の場合、人工呼吸器導入リスクも減少 ・致死率改善効果は重症度が高いほど大きい N Engl J Med. 2021;384:693-704.
68. レムデシビル
69. レムデシビル RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬で、RNAの転写を早期に終了させることにより、ウイルスの複製を阻害する もともとエボラウイルスに対する治療薬として開発されたが、SARS-CoV-2にもin vitro活性を持つことが判明したため、COVID-19に対しても使用されるようになった 大規模な臨床試験として、ACTT-1試験とSolidarity試験が有名であるが、相反する結果となった
70. ACTT-1試験(プラセボ対照RCT) Day 1 200mg/日、Day 2-10(または退院まで) 100mg/日 主に先進国で行われた 臨床的改善までの期間短縮(10日 vs 15日)し、28日死亡は減少する傾向(11.4% vs 15.2%) 人工呼吸器やNIV/HFNCが不要な呼吸不全例でのみ効果を認めた N Engl J Med. 2020;383:1813-26  
71. レムデシビル投与のタイミング 酸素投与開始後数日以内には開始するのが望ましい 遅くとも発症から14日までには投与開始する 呼吸不全ない場合は、時期尚早である HFNC(O2 5L/minに相当)が必要になったら、すでに時期を逸している可能性あり ACTT-1の発症からレムデシビル投与までの期間は9日(中央値、IQR:6-12日) 抗ウイルス作用を理論的に早期投与が望ましいと考えられる
72. レムデシビルの投与期間:5日間 重症COVID-19に対して5日 vs 10日投与は同等 投与5日目に人工呼吸器使用中の場合は、10日間まで延長してもよいかもしれない N Engl J Med. 2020;383:1827-37
73. 米国のガイドラインは、低流量システムまたはHFNC/NIVを使用している呼吸不全のCOVID-19患者に対するレムデシビルの使用を推奨している
74. Solidarity試験では効果なし 院内死亡の減少なし ACTT-1より規模が大きいRCTだが、オープンラベルである 参加国:アジア・アフリカ・ラテンアメリカが主体) 最重症例(人工呼吸器管理)が少ないが、致命率はACTT-1と同等 N Engl J Med. 2021;384:497-511
75. Therapeutics and COVID-19: living guideline(WHO)(6 July 2021) https://www.who.int/publications/i/item/WHO-2019-nCoV-therapeutics-2021.2 WHOのガイドラインは、重症度に関わらず、レムデシビルを使用しないことを提案している
76. デキサメタゾンとレムデシビルの併用 レムデシビルでウイルスを減らして、ステロイドで感染に続発する有害な炎症反応を減弱させる、という治療は理にかなっている、かつ、それぞれの薬剤の効果は証明されているので、呼吸不全の患者によく併用されている。しかし、併用効果を検討したRCTはない(観察研究はある)。 また、ステロイドが抗ウイルス薬なしで投与された場合に、ウイルスクリアランスを遅らせる可能性があるという理論上の懸念からステロイド単剤使用を好まない専門家もいる デキサメタゾンの効果を示したRECOVERY試験では、レムデシビルはほとんど使用されなかった レムデシビルの効果を示したACTT-1試験では、ステロイドは23%でしか使用されなかった Clin Infect Dis. 2021 Jun 10;ciab536. doi: 10.1093/cid/ciab536
77. レムデシビルの副作用 吐き気などの消化器症状、肝障害、PT延長、腎障害など 製剤内にシクロデキストリンが含まれているため、eGFR 30mL/min未満の患者に対して、その蓄積による腎障害の懸念から投与が推奨されていない ただし、eGFR 30mL/min未満であっても安全に使用できたという小規模な観察研究もある 重度の徐脈を起こすことがある J Am Soc Nephrol. 2020;31:1384-6 Clin Infect Dis. 2020 Dec 14:ciaa1851. doi: 10.1093/cid/ciaa1851. Antimicrob Agents Chemother. 2021 Jan 20;65(2):e02290-20. Clin Microbiol Infect. 2021 Feb 27;27(5):791.e5-791.e8. doi: 10.1016/j.cmi.2021.02.013. JACC Case Rep. 2020 Nov 18;2(14):2260-2264. Circ Arrhythm Electrophysiol. 2021 Jul;14(7):e009811. doi: 10.1161/CIRCEP.121.009811.
78. 回復期血漿
79. 回復期血漿 オープンラベル多施設RCT N=103(予定の200例に届かなかった) 重症または最重症COVID-19を対象 primary outcome(28日以内の症状改善)  全体:51.9% vs 43.1%(有意差なし)  重症例:91.3% vs 68.2%(有意差あり)  最重症例:20.7% vs 24.1%(有意差なし) secondary outcome:28日死亡(15.7% vs 24.0% ) 発症から無作為化まで:27-30日 JAMA. 2020 Aug 4;324(5):460-470. - 投与のタイミングは遅い - 重症例では効果がある可能性がある
80. 回復期血漿 米国、単施設の観察研究(投与群 vs 非投与群) 重症または最重症COVID-19を対象(N=39) 投与群:投与14日後の呼吸の悪化↓(17.9% vs 28.2%)、死亡↓(12.8% vs 21.6%) 発症から入院までの期間の中央値 7日(0-14) 入院から輸血までの期間の中央値 4日(0-7) 挿管していない患者、入院から7日以内に投与した場合に、効果がみられやすかった Nat Med. 2020 Sep 15. doi: 10.1038/s41591-020-1088-9.
81. 回復期血漿 N=35322(52.3%がICU患者で、27.5%が人工呼吸器患者)の観察研究 診断から3日以内 vs 4日目以降:30日死亡 21.6% vs 26.7%(有意差あり) 輸血した血漿中のIgG価が高いほど、効果が高かった(死亡が減少) 重症(約90%)または最重症COVID-19を対象 投与群138名 vs 非投与群1430名、発症から治療まで 45日 死亡減少 2.2% vs 4.1%、ICU入室減少 2.4% vs 5.1% medRxiv. 2020 Aug 12;2020.08.12.20169359. doi: 10.1101/2020.08.12.20169359. (プレプリント) Blood. 2020 Aug 6;136(6):755-759. doi: 10.1182/blood.2020007079.
82. 回復期血漿は... 重症例(呼吸不全、かつ、人工呼吸器未使用)  かつ 早期の投与の場合  に効果が期待されていた
83. 重症患者を対象としたRCT RECOVERY試験(Lancet. 2021;397:2049-59) PlasmAr 試験(N Engl J Med. 2021;384:619-29)
84. 回復期血漿は効果なし 高い抗体価の回復期血漿の効果を検討した複数のRCTで、呼吸不全を呈しているCOVID-19患者(人工呼吸器管理中の患者を除外)に対する呼吸状態改善・死亡抑制効果は認められなかった これらの研究では、大半の症例は発症から10日以内に早期投与されており、理論的に効果が高いと考えらえる投与方法で実施されている Lancet. 2021;397:2049-59 N Engl J Med. 2021;384:619-29 BMJ. 2020;371:m3939
85. 入院患者HFNC or NIV
86. 推奨される治療 デキサメタゾン(1回6mg 1日1回 10日間)を投与 レムデシビル(初日200mg、その後100mg、合計5日間)を考慮 呼吸状態が急速に悪化+高炎症反応の場合、以下のいずれかを追加 - トシリズマブ(8mg/kg 単回投与、最大800mg) - バリシチニブ(1回4mg 1日1回、最長14日間)
87. レムデシビルの効果はおそらくない この重症度の患者群においてレムデシビルの効果は確認されていないため、一律の使用は推奨されないが、発症14日以内であれば、投与を検討してもよいかもしれない 副腎皮質ステロイドが抗ウイルス薬なしで投与された場合に、ウイルスクリアランスを遅らせる可能性があるという理論上の懸念があるためである
88. トシリズマブ
89. トシリズマブの使用が検討される背景 トシリズマブ(アクテムラ® ):ヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体 IL-6高値(>100 pg/mL)は、重症度とウイルス血症の存在に関連する 1) IL-6高値(>6.75 pg/mL)は、長期間のウイルス排泄(PCR)に関連する 2) IL-6高値(来院時のIL-6 >35 pg/mL、IL-6の最大値 >80 pg/mL)は、人工呼吸器管理の必要性(最重症例)に関連する 3) IL-6高値(入院時>70 pg/mL)は、死亡に関連する 4) 最重症のCOVID-19でIL-6は高値で、非生存者で有意に高い(中央値 61.1 pg/mL) 5) 1) Clin Infect Dis. 2020 Nov 5;71(8):1937-1942. 2) Clinical Infectious Diseases, ciaa490, https://doi.org/10.1093/cid/ciaa490 3) J Allergy Clin Immunol. 2020 Jul;146(1):128-136.e4. 4) Nat Med. 2020 Oct;26(10):1636-16 5) Am J Respir Crit Care Med. 2020 Jun 1;201(11):1430-1434
90. 本当にCOVID-19でIL-6は上昇している?他の病態と比べると...sepsis以下... COVID-19 with ARDS(ICU入室48時間以内) 細菌によるseptic shock with ARDS (診断から24時間以内) 細菌によるseptic shock without ARDS (診断から24時間以内) 院外心停止(ICU入室から24時間以内) 多発外傷(受傷から24時間以内) JAMA. 2020 Sep 3;324(15):1565-1567. 48 376
91. 本当にCOVID-19でIL-6は上昇している?実はそれほど上昇していない... 重症COVID-19では、IL-6などの炎症性サイトカインは上昇しているが、その「程度」は、他の炎症性サイトカインが上昇する病態(cytokine release syndrome、sepsis、COVID-19以外のARDS)と比較して小さい Lancet Respir Med. 2020;8:1233-44
92. トシリズマブ(重症例:酸素投与) プラセボ対照RCT、二重盲検 一般病棟で酸素投与が必要な患者(N=243) トシリズマブ 8mg/kg単回 vs placebo ステロイドは両群約10%で投与された 発症から中央値9-10日目(IQR 6-13) Primary outcome:死亡+挿管は同等 致死率5%程度、挿管率7-10% N Engl J Med. 2020 Oct 21. doi: 10.1056/NEJMoa2028836
93. トシリズマブ(重症例:酸素投与) 一般病棟のCOVID-19患者131名(酸素3L以上、かつ、HFNC・人工呼吸器使用なし)を対象としたRCT トシリズマブ(8mg/kg day 1) vs 標準治療  改善乏しい場合はday 3に 400mg追加検討 発症10日目に無作為化(IQR 7-13) Primary outcome:14日以内の人工呼吸器使用または死亡(24% vs 36%) 28日死亡同等(11% vs 12%) 標準治療群の方が、ステロイド(33% vs 61%)と抗ウイルス薬の使用患者数が多かった JAMA Intern Med. 2021 Jan 1;181(1):32-40.
94. トシリズマブ(重症例:酸素投与) 一般病棟のCOVID-19:126名(P/F=200-300;ベンチュリーマスク or HFNC)を対象としたRCT トシリズマブ 8mg/kg投与、その後12時間後に2回目投与 Primary outcome:14日以内の臨床的悪化(死亡 or 人工呼吸器使用・ICU入室 or P/F 150未満)→同等 発症から無作為化まで8日(IQR 6-11) JAMA Intern Med. 2021 Jan 1;181(1):24-31.
95. EMPACTA試験:人工呼吸器↓ 二重盲検プラセボ対照RCT(N=389) 対照:重症COVID-19(NIV/MVは除外、HFNC 25%程度) 約80%で全身ステロイドと抗ウイルス薬が使用された 標準治療+トシリズマブ 8mg/kg vs 標準治療 +プラセボ 効果乏しい場合は8-24時間後に2回目投与可 Primary outcome:28日までの死亡と人工呼吸器使用 Primary outcome:12.0% ↓ vs 19.3% 死亡:10.4% vs 8.6%(高い傾向) 重篤な感染の増加はなかった N Engl J Med. 2021 Jan 7;384(1):20-30.
96. 軽度呼吸不全のCOVID-19患者には効果なし ここまでに提示したトシリズマブの効果を検討した複数のRCT(プラセボ群または標準治療群と比較)では、死亡・人工呼吸器導入を減らす効果は認められなかった これらの研究は、副腎皮質ステロイドの併用がなく、重症度も比較的低い(致死率数%~10%程度)ものがほとんどである 主に低流量システムを使用して酸素投与されているCOVID-19患者(副腎皮質ステロイドは80%以上の患者に投与された)を対象としたプラセボ対照RCT(EMPACTA試験)では、トシリズマブ投与によって、28日までの死亡と人工呼吸器導入の複合エンドポイントは有意に減少したが、死亡は減少しなかった これらの研究結果から、副腎皮質ステロイドの併用がない、または、低流量システムで酸素投与している重症度のCOVID-19患者に対して、トシリズマブの効果はあまり期待できないと考えられる
97. より重症の場合は?
98. 米国の68病院のICUに入院したCOVID-19患者(人工呼吸器使用約60%)を対象とした大規模観察研究(3924名) ICU入室後2日以内のトシリズマブ投与群 3日目以降の投与または非投与群 両群とも約15%でステロイドが投与された 30日死亡はトシリズマブで少なかった:27.5% vs 37.1% Subgroup解析では、人工呼吸器かつP/F<200でトシリズマブの効果をみとめた 2次感染の頻度は両群で同等(32.3% vs 31.1%) トシリズマブ(最重症例:人工呼吸器) JAMA Intern Med. 2020 Oct 20;e206252. doi: 10.1001/jamainternmed.2020.6252.
99. REMAP-CAP試験 ICU入室24時間以内の重症呼吸不全を呈しているCOVID-19患者(副腎皮質ステロイドは90%以上の患者に投与された)を対象としたオープンラベルRCT HFNC 30%、NIV 40%, MV 30% トシリズマブ群は、通常治療群と比較して、21日までのorgan support-free day(10日 vs 0日)が有意に長く、病院内死亡が有意に減少した(28% vs 36%) N Engl J Med. 2021;384:1491-502 生存 生存 ICU退室 退院
100. RECOVERY試験 呼吸不全(50%以上がHFNC・NIV・人工呼吸器を使用)と高炎症反応(CRP≧7.5 mg/dL)を呈しているCOVID-19患者を対象としたオープンラベルRCT ステロイドは80%以上の患者に投与 トシリズマブ群は通常治療群と比較して、28日死亡(31% vs 35%)が有意に減少した。また、人工呼吸器導入リスク(15% vs 19%)も有意に減少した。 Lancet. 2021;397:1637-45
101. トシリズマブの効果が期待できる状況 HFNC・NIV・人工呼吸器使用中の重症患者 ICU入室24時間以内 副腎皮質ステロイドを併用
102. トシリズマブの投与方法 トシリズマブ 8mg/kg(max 800mg)を単回投与 各臨床試験では、1回投与で改善が乏しい場合に臨床医の判断で12-24時間後に2回目の投与が許容されているが、その追加投与の効果についての検証が不十分であるため、現時点では2回目の投与は推奨しない
103. トシリズマブ投与時の注意点 COVID-19への効果を検討した各RCTでは、標準治療群と比較して細菌・真菌感染症、消化管穿孔、B型肝炎ウイルス・結核菌のreactivationの増加は指摘されていない ただし、副腎皮質ステロイドとの併用で細胞性免疫の低下は懸念されるため、B型肝炎と結核のスクリーニングを検討する COVID-19に対する保険適用はないため、使用する場合は、院内の倫理委員会の承認と、患者への説明と同意が必要である
104. バリシチニブ
105. バリシチニブ(オルミエント®) 経口JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬のひとつであり、関節リウマチに対して使用されている薬剤 免疫調整作用によって、COVID-19による過剰な炎症反応が抑制されることが期待されている ウイルスのエンドサイトーシスを阻害することによって、抗ウイルス活性と感染予防効果をもつ可能性も指摘されている COVID-19に対する保険適用がある薬剤である(2021年4月23日に承認) Lancet Infect Dis. 2020;20:400-2
106. COV-BARRIER試験 入院しているCOVID-19患者(1525名)を対象としたプラセボ対照RCT(COV-BARRIER試験):未査読(プレプリント) バリシチニブ 14日 vs プラセボ 約90%が呼吸不全、ステロイド約80%、レムデシビル約20% 人工呼吸器使用中の患者は除外された 28日以内の呼吸状態の悪化と死亡の複合エンドポイントは同等(27.8% vs 30.5%) 28日死亡は有意に減少した(8.1% vs 13.1%) サブグループ解析で、HFNCまたはNIVを使用していた群で、有意に28日死亡が減少した(17.5% vs 29.4%) medRxiv 2021.04.30.21255934; doi: https://doi.org/10.1101/2021.04.30.21255934 PREPRINT(7/29/2/21)
107. medRxiv 2021.04.30.21255934 doi: https://doi.org/10.1101/2021.04.30.21255934 PREPRINT(7/29/2/21)
108. BaricitinibとRemdesivirの併用 2重盲検のプラセボ対照RCT(ACTT-2試験) 併用 vs レムデシビル単剤 バリシチニブ14日間まで、レムデシビル10日間まで Primary outcome:回復までの時間が1日短縮           (7日 vs 8日) HFNC/NIV使用患者(右図D):10日 vs 18日 28日死亡は有意差なし(5.1% vs 7.8%) 副作用は併用によって増加しなかった ステロイドの使用は原則禁止(両群10%程度で使用) N Engl J Med. 2021;384(9):795-807.
109. バリシチニブの投与量・投与期間 腎不全患者では減量が必要 - 正常腎機能(eGFR≧60):4mg/日 - 中等度腎機能障害(30≦eGFR<60):2mg/日 - 高度腎機能障害(15≦eGFR<30)  :2mg 48時間ごと、または、投与しない 投与期間:14日間 or 退院まで(早い方)
110. バリシチニブ投与時の注意点 COVID-19対象をする場合は、短期間の使用であり、臨床試験では、長期使用で問題となる感染(結核やヘルペスウイルス属の再活性化を含む)・深部静脈血栓症の増加は見られなかった ただし、副腎皮質ステロイドとの併用で細胞性免疫の低下も懸念されるため、B型肝炎と結核のスクリーニングは検討される
111. 入院患者人工呼吸器 or ECMO
112. 推奨される治療 デキサメタゾン(1回6mg 1日1回 10日間)を投与 レムデシビルは、原則使用しない ICU入室24時間以内に、トシリズマブ(8mg/kg 単回投与、最大800mg)の併用を開始する
113. デキサメタゾンの投与量について
114. Dexa 6mg/日(中等量)は少ない?? 急性呼吸窮迫症候群(Acute Respiratory Distress Syndrome:ARDS)で使用されるメチルプレドニゾロンは、1~2mg/kg/日である 似た画像所見を呈する間質性肺炎(リウマチ関連 or 特発性)では、高用量ステロイドを使用することが多い 体重40kgと100kgの患者に対して同じ投与量でよいのか? N Engl J Med. 2006;354:1671-84 Chest. 2007;131:954-63
115. 高用量Dexa vs 標準投与量 COVID STEROID 2試験(欧州・インド) 酸素10L/min以上、HFNC・NIV・人工呼吸器管理中のCOVID-19を対象としたRCT(N=982) Dexa 12mg vs 6mg(10日間まで) 28日までの人工呼吸器などのlife supportなしの生存期間を延長させなかった(22.0日 vs 20.5日) 28日死亡は減少傾向となったが、有意差はなかった(27.1% vs 32.3%) septic shockと侵襲性真菌感染症の増加なし medRxiv 2021.07.22.21260755 doi: https://doi.org/10.1101/2021.07.22.21260755 PREPRINT(7/29/2/21)
116. RECOVERY試験 Dexa 20mg/日 5日間 その後、10mg/日 5日間 vs 標準治療(Dexa 6mg/日 10日間) ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04381936 https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04381936
117. デキサメタゾン以外のステロイドについて
118. 高用量メチルプレドニゾロン 重症COVID-19を対象(SpO2 85%未満が50%程度) メチルプレドニゾロン 2mg/kg/日(5日間、その後半量を5日間) デキサメタゾン 6mg/日を10日間 mPSL群で、症状改善が早まる、入院期間短縮(7.43 ± 3.64 and 10.52 ± 5.47 days)、人工呼吸器使用率低下(18.2% vs 38.1%) 死亡は有意差はなかったが低い傾向(18.6% vs 37.5%) Limitaition:その他の詳細な治療法についての記載なし、小規模(N=86) BMC Infect Dis. 2021 Apr 10;21(1):337. doi: 10.1186/s12879-021-06045-3.
119. 主にmPSLの効果が検討されている 高炎症反応を伴う重症COVID-19に対するmPSL 1.5mg/kg/日以上の投与が、死亡を減らす可能性を示した観察研究がある mPSLミニパルス療法(250-500mg/日 3日間、その後プレドニゾロン内服50mg/日 14日間)が、デキサメタゾン(6mg/日 10日間)と比較してICU入室と死亡を減少させた観察研究がある 一方で、高用量のmPSL(1mg/kg/日 5日間)の予後改善効果は認められなかったプラセボ対照比較試験もある どの研究は、規模が小さいことや試験デザインの問題があるため、現時点では、高用量ステロイドによる治療を積極的に推奨する根拠は乏しい PLoS One. 2021 Jan 28;16(1):e0243964. PLoS One. 2021 May 25;16(5):e0252057. Clin Infect Dis. 2021;72:e373-e81
120. 副腎皮質ステロイドのまとめ デキサメタゾン 6mg/日(内服・点滴) 7-10日間(第1選択) 呼吸不全を呈している重症例・最重症例で使用する 高用量の効果については、現在臨床試験中 肥満成人(例えば100kg以上)で6mg/日が適正かどうか不明 メチルプレドニゾロン 1-2mg/kg/日への増量は、状況によって検討してもよいかもしれない(ただし、”使い時”は不明) 遷延する呼吸不全に対して、投与期間を延長すべきかどうか不明
121. その他の治療
122. 抗凝固薬
123. COVID-19と血栓 入院中のCOVID-19患者では、特にICU入室が必要な重症患者で、深部静脈血栓症/肺塞栓症(静脈血栓塞栓症、venous thromboembolism VTE)の発生のリスクが高い ICU入室患者のVTE:7.2-13.6% 一般病棟患者のVTE:4.2% Blood Adv. 2020;4:5373-7 JAMA. 2020;324:799-801 Chest. 2020;158:2130-5
124. 人工呼吸器管理中のCOVID-19への治療量の抗凝固療法は、予防量または投与なしと比較して、死亡を減らす可能性がある(観察研究) 人工呼吸器管理中のCOVID-19患者に投与する治療的抗凝固薬は予防投与よりも、ガス交換を改善し、人工呼吸器離脱を早める可能性がある(N=20のRCT) ヘパリンは治療量のほうがよい? J Am Coll Cardiol. 2020 Jul 7;76(1):122-124. Thromb Res. 2020 Sep 21;196:359-366.
125. 抗凝固薬は予防量でよい ICU入室患者やD-dimer高値のCOVID-19患者を対象とした抗凝固薬の治療的投与と予防的投与の効果を比較したRCTで、治療的投与は死亡などのoutcomeを改善させなかった JAMA. 2021;325:1620-30 Lancet. 2021;397:2253-63
126. ヘパリンの予防投与 入院患者に対して、予防的抗凝固療法を行う 未分画ヘパリン 1回5000単位 1日2回 皮下注射 諸外国では未分画ヘパリンが使用されている 酸素投与終了かつ歩行可能になるまで or 退院まで ※DOACについてはあまり検討されていない  リバロキサバン10mg/日、エドキサバン 30mg/日? VTEが診断された場合は、治療量に増量する 外来患者に対する抗凝固療法は推奨されない Blood Adv. 2021;5:872-88.
127. 抗菌薬
128. 細菌性肺炎の合併は少ない 細菌感染症の合併1-5):2.2-7% ICU入室患者の細菌感染症の合併1-5) :11-41% 最重症例を除いて... 抗菌薬の経験的投与は不要なことがほとんどである しかし、抗菌薬の使用率は56-72%と報告されている 1,4,6,7) 1) Clin Infect Dis. 2020 Jul 1;ciaa902. doi: 10.1093/cid/ciaa902.  2) J Infect. 2020 Aug;81(2):266-275. 3) Clin Microbiol Infect. 2020 Jul 22;S1198-743X(20)30423-7. 4) Clin Infect Dis. 2020 Aug 21;ciaa1239. doi:10.1093/cid/ciaa1239. 5) Clin Microbiol Infect. 2020 Jul 31;S1198-743X(20)30450-X. 6) Clin Infect Dis. 2020 May 2;ciaa530. doi: 10.1093/cid/ciaa530. 7) Clin Microbiol Infect. 2020 Jul 22;S1198-743X(20)30423-7.
129. 経験的抗菌薬治療 軽症から中等症COVID-19では抗菌薬は、原則不要 経験的治療の対象 - 画像所見と炎症マーカーが細菌感染症を示唆する - 高度免疫不全者 - ICU入室患者?(当院ではICU入室のみを理由として抗菌薬投与は行っていない) 治療開始前に、喀痰培養・血液培養・(尿中抗原提出) 抗菌薬選択は、市中肺炎のガイドラインに従う(ただし、非定型肺炎のカバーは不要) 治療開始後48時間の時点で検査陰性の場合は、抗菌薬終了を検討する Recommendations for antibacterial therapy in adults with COVID-19 – An evidence based guideline. https://doi.org/10.1016/j.cmi.2020.09.041
130. Intensive Care Med (2020). https://doi.org/10.1007/s00134-020-06278-x ICU入室 septic shock or CTで細菌性肺炎を疑う場合 培養検査を行う 治療期間は5-7日、de-escalationを行う
131. 入院患者の治療のまとめ
132. まとめ:COVID-19の治療 重症呼吸不全患者では、積極的にHFNCの使用を考慮する 病態を考慮しつつ、エビデンスのある薬剤を使用する 高リスクの外来患者では、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体を使用 呼吸不全のある入院患者では、デキサメタゾンを全例で投与 レムデシビルは、低流量システムによる酸素投与中の患者が対象 HFNC開始時点で、トシリズマブまたはバリシチニブを追加 入院患者には、VTE予防のために未分画ヘパリンの皮下注を行う 細菌性肺炎の合併は少ないため、経験的抗菌薬治療は不要なことが多い