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田中政任

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投稿者

悠井@総合内科、訪問診療

1/31

テキスト全文

  • #1.

    最低限必要な訪問看護の知識 〜訪問診療で困らないために〜 悠井@総合内科、訪問診療

  • #2.

    本スライドの対象者 Ø これから訪問診療を始めようと思っている医師 Ø 退院調整などで訪問診療でどのような仕組みがあるのか イマイチわかりづらいと思っている病院勤務医

  • #3.

    訪問診療について 訪問診療の制度って全く知らないな… ⾊々わからないから、どこから勉強すればいいのやら まずは訪問看護の制度から勉強していきましょう︕ 医療処置が必要な時に、調整が困らないですよ

  • #4.

    ⽬次 Ø 訪問診療と訪問看護について Ø 訪問看護制度の理解がなぜ重要なのか︖ Ø 訪問看護制度の基本 Ø 特別な状況下で利⽤できる医療保険による訪問看護 Ø 実際の症例を通しての制度の理解

  • #5.

    訪問診療と訪問看護 Ø 訪問診療に馴染みがないと、 訪問診療と訪問看護って違いがよくわからない⽅がいます Ø 結論から⾔うと、両者は全く異なるものです Ø 提供する事業者が同じことはありますが、保険制度上の扱いは異なります 次のスライドより 両者の簡単な説明を⾏なっていきます

  • #6.

    訪問診療とは 通院が困難な利⽤者の⾃宅・施設に赴いて診療を⾏う Ø 以下2つの形態の診療が主な業務内容である p 訪問・定期的な診察(定期診療) p 体調不良時の緊急訪問(往診) Ø 診療に際して医師は必須であるが、 診療に同⾏するスタッフはクリニックにより異なる 在宅医学総合管理料というものが訪問診療での算定上の重要なものとなる これを算定するためには24時間365⽇対応することが必要

  • #7.

    訪問看護とは 主治医の指⽰に基づき、利⽤者の⾃宅・施設に訪問し、療養上の世話や 診療の補助を⾏うサービス Ø 訪問看護を提供する事業所は⼤きく分けると以下の2つ p 訪問看護ステーション p 医療機関 Ø 訪問看護ステーションの⽅が施設数が多い Ø メインプレーヤーは訪問看護ステーションの看護師

  • #8.

    訪問看護ステーションと医療機関の違い ü 訪問看護ステーションによる訪問看護 → 『訪問看護』 ü 医療機関による訪問看護 →『“みなし”訪問看護』 Ø 訪問看護といっても保険制度上での位置付けが異なるため、 算定や制度の利⽤上の違いがあります Ø まずは⼀般的に利⽤する『訪問看護』についての理解を⾏い、 その上で『みなし訪問看護』について知るほうが良いです Ø 本スライドで訪問看護と出てきたら、 訪問看護ステーションの提供するもの という理解でお願いします

  • #9.

    訪問診療と訪問看護のまとめ Ø 訪問診療クリニックが訪問看護を⾏うことができるが、 訪問診療クリニックが常に訪問看護を提供するわけではない Ø ⼀般的な訪問看護は訪問看護ステーションが提供するもの Ø 訪問看護のためには主治医の指⽰が必要(訪問看護指⽰書) Ø まずはよく利⽤する『訪問看護』についておさえることが重要 クリニックの多くは近隣の多数の訪問看護ステーションと 連携をよくとっています

  • #10.

    訪問看護制度の理解がなぜ重要なのか︖ Ø 訪問診療は定期診察と臨時の往診が基本スタイル Ø 定期診察はその多くが慢性疾患の管理で安定 (クリニックの医師やスタッフで⼈⼿としては事⾜りる) 看取りの患者 や 急性期疾患で在宅療養 を選択された場合 医療処置やケアのため 頻回の訪問を要する 場⾯に出くわす

  • #11.

    例えば在宅で点滴するとなると・・・ Ø 点滴を 1 本/⽇施⾏するならば ü 持続投与で 1 ⽇毎の交換なら、1 ⽇ 1 回訪問 ü ⽇中で落とし切るなら、点滴の開始時と終了時の 1 ⽇ 2 回訪問 → これが点滴 2 本/⽇になるとさらに回数が増加 Ø 病院と違い、処置をする場にずっといるわけではない → 連⽇・⾼頻度に訪問することはハードルがかなり⾼くなる このような場合に クリニック単独で全てをカバーするのは難しい その時に鍵となるのが 訪問看護の利⽤

  • #12.

    保険の範囲で訪問看護を利⽤する条件 Ø 医師が必要と判断すれば利⽤できる Ø 看護師への指⽰は訪問看護指⽰書にて⾏う(指⽰期間は 1 ヶ⽉ 〜 6 ヶ⽉) Ø ⾃費で⾏うなら利⽤回数など制限はない 保険給付(⾃⼰負担額 1〜3 割)の範囲内で⾏うには制限がある 負担のない範囲での利⽤には訪問看護制度の理解が必要である

  • #13.

    訪問看護制度の基本 Ø 介護保険と医療保険による訪看の利⽤がある → 原則として 介護保険が優先 される 介護保険の給付者 Ø 65 歳以上(第 1 号被保険者) → 要⽀援・要介護状態 Ø 40〜64 歳(第 2 号被保険者) → 特定疾病による要⽀援・要介護状態 ※いかなる疾患を持っていても、40 歳未満では 対象にならない

  • #14.

    介護保険での訪看 Ø 1 回の訪問が 90 分以内と制限はあるが、訪問回数の制限はない Ø 介護保険は介護度に応じ、1〜3 割負担で利⽤できる限度額がある → 限度額を超えてしまった場合は全額⾃⼰負担となってしまう Ø 実際には 頻回の訪問になると限度額を超えてしまうことが多い Ø その際に⼤切なのが 医療保険を利⽤できるかどうか 介護保険については介護サービスとの兼ね合いにより、 訪問看護に割ける点数が決定してきます 利⽤する際にはケアマネージャーに相談しましょう

  • #15.

    医療保険での訪問看護 Ø 介護保険の給付対象外であれば、医療保険での訪看となる → 介護保険と異なり限度額はないが、週 3 ⽇までしか利⽤できない Ø しかし、下記の条件を満たした場合は 週 4 回以上 の訪看が利⽤できる (介護保険給対象者であっても) ① 別表 7 に該当する疾患があるか︖ ② 特別訪問看護指⽰書を発⾏できる条件に当てはまるか︖ 次のページ 以降 他には精神訪問診療看護指⽰書を発⾏すれば医療保険で訪問看護が利⽤できる ただ発⾏できる医師が限られ、対象が精神疾患となる

  • #16.

    ① 特定の疾患を有しているか︖ Ø 別表 7(厚⽣労働⼤⾂が定める疾病等)に該当 → ⻑期の医療保険による訪看の利⽤が可能になる p 多発硬化症 p 重症筋無⼒症 p p p p p p スモン 筋萎縮性側索硬化症 脊髄⼩脳変性症 ハンチントン病 進⾏性筋ジストロフィー パーキンソン病関連疾患 p 多系統萎縮症 p プリオン病 p p p p p p 亜急性硬化性全脳炎 副腎⽩質ジストロフィー 脊髄性筋萎縮症 球脊髄性筋萎縮症 慢性炎症性脱髄性多発神経炎 末期の悪性腫瘍 p ライソゾーム病 p 後天性免疫不全症候群 p 頸髄損傷 p ⼈⼯呼吸器を使⽤している状態 よく利⽤するのは癌の看取りです ◯◯癌だけでは適応にならないので、 指⽰書には◯◯癌終末期と忘れずに⼊れましょう

  • #17.

    ② 特別訪問看護指⽰書が発⾏できるか︖ Ø 特別訪問看護指⽰書とは p 特定の要件(次ページにて説明)を満たすことで発⾏できる p 1 ヶ⽉に 1 回発⾏(例外あり) p 指⽰書の発⾏⽇より 2 週間、医療保険での訪看を利⽤できる Ø 特別訪問看護指⽰書の発⾏は 訪問看護指⽰書の発⾏が前提 → 現在、訪問看護の利⽤がなければ訪問看護指⽰書も新規に発⾏する

  • #18.

    要件 Ø ⽉に 2 回発⾏できる状況では、⻑期的な利⽤が可能になる p 急性感染症等による急性増悪 1 ⽉に 1 回発⾏ 1 ⽉に 2 回発⾏ p 末期の悪性腫瘍等以外の終末期 p 退院直後 p 気管カニューレを使⽤している状態にある患者 p 真⽪を超える褥瘡の状態にある患者

  • #19.

    特別訪問看護指⽰書 ⽉ 2 回発⾏時の注意 Ø ⽉初めの第 5 週⽬のある曜⽇から開始になると、⽉の変わり⽬に特別訪問看護指⽰書が出せない Ø 右下の例では 29 ⽇、30 ⽇はどうやっても医療保険で訪問看護が⼊ることはできない Ø この場合は以下等により対応する p 介護で⼊ってもらう p ⾃費で⼊ってもらう p ⼀時的に訪問の頻度を減らす

  • #20.

    ここまでの話のまとめ 保険の種類 介護保険 医療保険 期間 制限なし 別表 7 に該当 制限なし 特別訪問看護指⽰書の 1回の発⾏で2週間 発⾏要件を満たす 上記以外 ※状況により⽉に1回 または2回発⾏可 制限なし 訪問頻度 保険適応の範囲 制限なし 要⽀援・要介護度に応じ ※1回の訪問は 90分以内 限度額がある 制限なし 医療保険が利⽤できる条件を 制限なし 満たせば、介護保険のような 限度額はない 週 3 ⽇まで

  • #21.

    訪問看護制度の考え⽅ 症例を通して、実際にどのように制度を利⽤するか⾒てみましょう

  • #22.

    症例 p 88 歳⼥性、要介護 2、サービス付き⾼齢者住宅に⼊居 p 訪問看護の利⽤はなし p 既往︓アルツハイマー型認知症、⾼⾎圧 Ø 訪問施設内で急性腸炎が流⾏ → 本⼈も嘔気・嘔吐と頻回の⽔様便を認め、⾷事摂取量が低下 往診の結果、急性腸炎と判断し、施設での補液が必要と判断 点滴投与のために、訪問看護を利⽤することとした

  • #23.

    本症例での考え⽅ 該当なし 急性腸炎による急性増悪 として該当する 訪問看護指⽰書と特別訪問看護指⽰書を発⾏し 医療保険での訪看を利⽤して点滴をする⽅針とした

  • #24.

    点滴の指⽰書 Ø 週 3 ⽇以上の点滴を⾏う際は在宅患者訪問点滴注射指⽰書も必要 Ø 有効期限は 1 週間 Ø 継続が必要であれば、点滴開始 1 週間後に診察の上で、再度指⽰書を発⾏する 経過が良好で点滴の実施が 2 ⽇以内となっても、 使⽤薬剤については請求できる

  • #25.

    本症例において必要な書類 ① 訪問看護指⽰書 の作成(期間は 1〜6 ヶ⽉) → 状態が変化している状況では⼀般的に 1 ヶ⽉ごとしておく ② 特別訪問看護指⽰書 の作成(期間は 2 週間まで) → 医療保険による訪問看護を最⼤ 2 週間利⽤できる ③ 在宅患者訪問点滴注射指⽰書(期間は 1 週間まで) → 訪問看護師に対し、点滴を 1 週間指⽰できる (点滴を 2 週間継続する場合は 1 週間後に再度訪問し作成)

  • #26.

    特別訪問看護指⽰書の書き⽅① 特別訪問看護指⽰書と点滴指⽰書は同じ書式になります 訪問を⾏った⽇が起点です 特別訪問看護指⽰書発⾏のどの要件にかかるのかを記載 ・〇〇による急性増悪の状態のため〜 ・真⽪以下の褥瘡処置のため〜 病院同様に具体的な指⽰を記載 ・どの製剤 ・1⽇の投与量 ・投与速度

  • #27.

    特別訪問看護指⽰書の書き⽅② 点滴を継続する場合、 1 週間後に診察を⾏い点滴指⽰書のみ再度発⾏ 点滴指⽰書のところにのみ期⽇を記載します 保険制度を適切に利⽤した、 ⾃⼰負担が少ない状況下での訪問看護の利⽤が可能になる︕

  • #28.

    まとめ Ø 在宅において鍵となるのは 訪問看護 Ø ⾃⼰負担を最⼩限にした訪問看護の利⽤には、制度の理解が必要 Ø 訪問看護は医療・介護保険で利⽤できるが、 頻回な訪問を必要とする場合は 医療保険の利⽤ がポイント Ø 医療保険を利⽤するためには、 別表 7 に該当するか、特別訪問看護指⽰書が発⾏可能か確認する

最低限必要な訪問看護の知識〜訪問診療で困らないために〜

  • 総合診療科

  • その他

  • 訪問看護
  • 退院調整
  • 介護保険
  • 訪問看護制度
  • 訪問看護ステーション
  • 在宅療養

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投稿者プロフィール
悠井@総合内科、訪問診療

総合病院

概要

これから訪問診療を始めようと思っている医師、 退院調整などで訪問診療でどのような仕組みがあるのかイマイチわかりづらいと思っている病院勤務医を対象としています。まずは訪問看護の制度から勉強していきましょう!

◎目次

・本スライドの対象者

・訪問診療について

・訪問診療と訪問看護

・訪問診療とは

・訪問看護とは

・訪問看護ステーションと医療機関の違い

・訪問診療と訪問看護のまとめ

・訪問看護制度の理解がなぜ重要なのか?

・例えば在宅で点滴するとなると・・・

・保険の範囲で訪問看護を利用する条件

・訪問看護制度の基本

・介護保険での訪看

・医療保険での訪問看護

・① 特定の疾患を有しているか?

・② 特別訪問看護指示書が発行できるか?

・要件

・特別訪問看護指示書 月 2 回発行時の注意

・ここまでの話のまとめ

・訪問看護制度の考え方

・症例

・本症例での考え方

・点滴の指示書

・本症例において必要な書類

・特別訪問看護指示書の書き方

・まとめ

本スライドの対象者

研修医/専攻医/専門医

テキスト全文

  • #1.

    最低限必要な訪問看護の知識 〜訪問診療で困らないために〜 悠井@総合内科、訪問診療

  • #2.

    本スライドの対象者 Ø これから訪問診療を始めようと思っている医師 Ø 退院調整などで訪問診療でどのような仕組みがあるのか イマイチわかりづらいと思っている病院勤務医

  • #3.

    訪問診療について 訪問診療の制度って全く知らないな… ⾊々わからないから、どこから勉強すればいいのやら まずは訪問看護の制度から勉強していきましょう︕ 医療処置が必要な時に、調整が困らないですよ

  • #4.

    ⽬次 Ø 訪問診療と訪問看護について Ø 訪問看護制度の理解がなぜ重要なのか︖ Ø 訪問看護制度の基本 Ø 特別な状況下で利⽤できる医療保険による訪問看護 Ø 実際の症例を通しての制度の理解

  • #5.

    訪問診療と訪問看護 Ø 訪問診療に馴染みがないと、 訪問診療と訪問看護って違いがよくわからない⽅がいます Ø 結論から⾔うと、両者は全く異なるものです Ø 提供する事業者が同じことはありますが、保険制度上の扱いは異なります 次のスライドより 両者の簡単な説明を⾏なっていきます

  • #6.

    訪問診療とは 通院が困難な利⽤者の⾃宅・施設に赴いて診療を⾏う Ø 以下2つの形態の診療が主な業務内容である p 訪問・定期的な診察(定期診療) p 体調不良時の緊急訪問(往診) Ø 診療に際して医師は必須であるが、 診療に同⾏するスタッフはクリニックにより異なる 在宅医学総合管理料というものが訪問診療での算定上の重要なものとなる これを算定するためには24時間365⽇対応することが必要

  • #7.

    訪問看護とは 主治医の指⽰に基づき、利⽤者の⾃宅・施設に訪問し、療養上の世話や 診療の補助を⾏うサービス Ø 訪問看護を提供する事業所は⼤きく分けると以下の2つ p 訪問看護ステーション p 医療機関 Ø 訪問看護ステーションの⽅が施設数が多い Ø メインプレーヤーは訪問看護ステーションの看護師

  • #8.

    訪問看護ステーションと医療機関の違い ü 訪問看護ステーションによる訪問看護 → 『訪問看護』 ü 医療機関による訪問看護 →『“みなし”訪問看護』 Ø 訪問看護といっても保険制度上での位置付けが異なるため、 算定や制度の利⽤上の違いがあります Ø まずは⼀般的に利⽤する『訪問看護』についての理解を⾏い、 その上で『みなし訪問看護』について知るほうが良いです Ø 本スライドで訪問看護と出てきたら、 訪問看護ステーションの提供するもの という理解でお願いします

  • #9.

    訪問診療と訪問看護のまとめ Ø 訪問診療クリニックが訪問看護を⾏うことができるが、 訪問診療クリニックが常に訪問看護を提供するわけではない Ø ⼀般的な訪問看護は訪問看護ステーションが提供するもの Ø 訪問看護のためには主治医の指⽰が必要(訪問看護指⽰書) Ø まずはよく利⽤する『訪問看護』についておさえることが重要 クリニックの多くは近隣の多数の訪問看護ステーションと 連携をよくとっています

  • #10.

    訪問看護制度の理解がなぜ重要なのか︖ Ø 訪問診療は定期診察と臨時の往診が基本スタイル Ø 定期診察はその多くが慢性疾患の管理で安定 (クリニックの医師やスタッフで⼈⼿としては事⾜りる) 看取りの患者 や 急性期疾患で在宅療養 を選択された場合 医療処置やケアのため 頻回の訪問を要する 場⾯に出くわす

  • #11.

    例えば在宅で点滴するとなると・・・ Ø 点滴を 1 本/⽇施⾏するならば ü 持続投与で 1 ⽇毎の交換なら、1 ⽇ 1 回訪問 ü ⽇中で落とし切るなら、点滴の開始時と終了時の 1 ⽇ 2 回訪問 → これが点滴 2 本/⽇になるとさらに回数が増加 Ø 病院と違い、処置をする場にずっといるわけではない → 連⽇・⾼頻度に訪問することはハードルがかなり⾼くなる このような場合に クリニック単独で全てをカバーするのは難しい その時に鍵となるのが 訪問看護の利⽤

  • #12.

    保険の範囲で訪問看護を利⽤する条件 Ø 医師が必要と判断すれば利⽤できる Ø 看護師への指⽰は訪問看護指⽰書にて⾏う(指⽰期間は 1 ヶ⽉ 〜 6 ヶ⽉) Ø ⾃費で⾏うなら利⽤回数など制限はない 保険給付(⾃⼰負担額 1〜3 割)の範囲内で⾏うには制限がある 負担のない範囲での利⽤には訪問看護制度の理解が必要である

  • #13.

    訪問看護制度の基本 Ø 介護保険と医療保険による訪看の利⽤がある → 原則として 介護保険が優先 される 介護保険の給付者 Ø 65 歳以上(第 1 号被保険者) → 要⽀援・要介護状態 Ø 40〜64 歳(第 2 号被保険者) → 特定疾病による要⽀援・要介護状態 ※いかなる疾患を持っていても、40 歳未満では 対象にならない

  • #14.

    介護保険での訪看 Ø 1 回の訪問が 90 分以内と制限はあるが、訪問回数の制限はない Ø 介護保険は介護度に応じ、1〜3 割負担で利⽤できる限度額がある → 限度額を超えてしまった場合は全額⾃⼰負担となってしまう Ø 実際には 頻回の訪問になると限度額を超えてしまうことが多い Ø その際に⼤切なのが 医療保険を利⽤できるかどうか 介護保険については介護サービスとの兼ね合いにより、 訪問看護に割ける点数が決定してきます 利⽤する際にはケアマネージャーに相談しましょう

  • #15.

    医療保険での訪問看護 Ø 介護保険の給付対象外であれば、医療保険での訪看となる → 介護保険と異なり限度額はないが、週 3 ⽇までしか利⽤できない Ø しかし、下記の条件を満たした場合は 週 4 回以上 の訪看が利⽤できる (介護保険給対象者であっても) ① 別表 7 に該当する疾患があるか︖ ② 特別訪問看護指⽰書を発⾏できる条件に当てはまるか︖ 次のページ 以降 他には精神訪問診療看護指⽰書を発⾏すれば医療保険で訪問看護が利⽤できる ただ発⾏できる医師が限られ、対象が精神疾患となる

  • #16.

    ① 特定の疾患を有しているか︖ Ø 別表 7(厚⽣労働⼤⾂が定める疾病等)に該当 → ⻑期の医療保険による訪看の利⽤が可能になる p 多発硬化症 p 重症筋無⼒症 p p p p p p スモン 筋萎縮性側索硬化症 脊髄⼩脳変性症 ハンチントン病 進⾏性筋ジストロフィー パーキンソン病関連疾患 p 多系統萎縮症 p プリオン病 p p p p p p 亜急性硬化性全脳炎 副腎⽩質ジストロフィー 脊髄性筋萎縮症 球脊髄性筋萎縮症 慢性炎症性脱髄性多発神経炎 末期の悪性腫瘍 p ライソゾーム病 p 後天性免疫不全症候群 p 頸髄損傷 p ⼈⼯呼吸器を使⽤している状態 よく利⽤するのは癌の看取りです ◯◯癌だけでは適応にならないので、 指⽰書には◯◯癌終末期と忘れずに⼊れましょう

  • #17.

    ② 特別訪問看護指⽰書が発⾏できるか︖ Ø 特別訪問看護指⽰書とは p 特定の要件(次ページにて説明)を満たすことで発⾏できる p 1 ヶ⽉に 1 回発⾏(例外あり) p 指⽰書の発⾏⽇より 2 週間、医療保険での訪看を利⽤できる Ø 特別訪問看護指⽰書の発⾏は 訪問看護指⽰書の発⾏が前提 → 現在、訪問看護の利⽤がなければ訪問看護指⽰書も新規に発⾏する

  • #18.

    要件 Ø ⽉に 2 回発⾏できる状況では、⻑期的な利⽤が可能になる p 急性感染症等による急性増悪 1 ⽉に 1 回発⾏ 1 ⽉に 2 回発⾏ p 末期の悪性腫瘍等以外の終末期 p 退院直後 p 気管カニューレを使⽤している状態にある患者 p 真⽪を超える褥瘡の状態にある患者

  • #19.

    特別訪問看護指⽰書 ⽉ 2 回発⾏時の注意 Ø ⽉初めの第 5 週⽬のある曜⽇から開始になると、⽉の変わり⽬に特別訪問看護指⽰書が出せない Ø 右下の例では 29 ⽇、30 ⽇はどうやっても医療保険で訪問看護が⼊ることはできない Ø この場合は以下等により対応する p 介護で⼊ってもらう p ⾃費で⼊ってもらう p ⼀時的に訪問の頻度を減らす

  • #20.

    ここまでの話のまとめ 保険の種類 介護保険 医療保険 期間 制限なし 別表 7 に該当 制限なし 特別訪問看護指⽰書の 1回の発⾏で2週間 発⾏要件を満たす 上記以外 ※状況により⽉に1回 または2回発⾏可 制限なし 訪問頻度 保険適応の範囲 制限なし 要⽀援・要介護度に応じ ※1回の訪問は 90分以内 限度額がある 制限なし 医療保険が利⽤できる条件を 制限なし 満たせば、介護保険のような 限度額はない 週 3 ⽇まで

  • #21.

    訪問看護制度の考え⽅ 症例を通して、実際にどのように制度を利⽤するか⾒てみましょう

  • #22.

    症例 p 88 歳⼥性、要介護 2、サービス付き⾼齢者住宅に⼊居 p 訪問看護の利⽤はなし p 既往︓アルツハイマー型認知症、⾼⾎圧 Ø 訪問施設内で急性腸炎が流⾏ → 本⼈も嘔気・嘔吐と頻回の⽔様便を認め、⾷事摂取量が低下 往診の結果、急性腸炎と判断し、施設での補液が必要と判断 点滴投与のために、訪問看護を利⽤することとした

  • #23.

    本症例での考え⽅ 該当なし 急性腸炎による急性増悪 として該当する 訪問看護指⽰書と特別訪問看護指⽰書を発⾏し 医療保険での訪看を利⽤して点滴をする⽅針とした

  • #24.

    点滴の指⽰書 Ø 週 3 ⽇以上の点滴を⾏う際は在宅患者訪問点滴注射指⽰書も必要 Ø 有効期限は 1 週間 Ø 継続が必要であれば、点滴開始 1 週間後に診察の上で、再度指⽰書を発⾏する 経過が良好で点滴の実施が 2 ⽇以内となっても、 使⽤薬剤については請求できる

  • #25.

    本症例において必要な書類 ① 訪問看護指⽰書 の作成(期間は 1〜6 ヶ⽉) → 状態が変化している状況では⼀般的に 1 ヶ⽉ごとしておく ② 特別訪問看護指⽰書 の作成(期間は 2 週間まで) → 医療保険による訪問看護を最⼤ 2 週間利⽤できる ③ 在宅患者訪問点滴注射指⽰書(期間は 1 週間まで) → 訪問看護師に対し、点滴を 1 週間指⽰できる (点滴を 2 週間継続する場合は 1 週間後に再度訪問し作成)

  • #26.

    特別訪問看護指⽰書の書き⽅① 特別訪問看護指⽰書と点滴指⽰書は同じ書式になります 訪問を⾏った⽇が起点です 特別訪問看護指⽰書発⾏のどの要件にかかるのかを記載 ・〇〇による急性増悪の状態のため〜 ・真⽪以下の褥瘡処置のため〜 病院同様に具体的な指⽰を記載 ・どの製剤 ・1⽇の投与量 ・投与速度

  • #27.

    特別訪問看護指⽰書の書き⽅② 点滴を継続する場合、 1 週間後に診察を⾏い点滴指⽰書のみ再度発⾏ 点滴指⽰書のところにのみ期⽇を記載します 保険制度を適切に利⽤した、 ⾃⼰負担が少ない状況下での訪問看護の利⽤が可能になる︕

  • #28.

    まとめ Ø 在宅において鍵となるのは 訪問看護 Ø ⾃⼰負担を最⼩限にした訪問看護の利⽤には、制度の理解が必要 Ø 訪問看護は医療・介護保険で利⽤できるが、 頻回な訪問を必要とする場合は 医療保険の利⽤ がポイント Ø 医療保険を利⽤するためには、 別表 7 に該当するか、特別訪問看護指⽰書が発⾏可能か確認する

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