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DIO🦌総合診療医

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テキスト全文

  • #1.

    生物心理社会モデル ~その病気、biologyだけで解決できますか?~ DIO🦌総合診療医 (Twitter:@generection1)

  • #2.

    生物心理社会(Bio-Psycho-Social)モデルとは… 従来は、症状(疾患)というものは、病気によって引き起こされると 考えられていた(生物医学モデル:Biomedical Model)。 しかし、心理的な要因(例;大切な会議の前に症状が強くなる)や 社会的な要因(例;人間関係のストレスで他にも症状が出てくる) 等の関りも互いに関連しあって症状が出ることがわかり、生物心 理社会モデルの提唱に至りました。 The Need for a New Medical Model: A Challenge for Biomedicine SCIENCE 8 Apr. 1977, Vol.196, Number 4286

  • #3.

    生物医学モデルの考え方(例) 調子が悪 いなぁ・・・ 生物心理社会モデルの考え方(例)

  • #4.

    生物医学モデル もともとは、 「パーツを治せば、全体も治る」という還元主義で考えられてきた 例)心筋梗塞 → カテーテル治療→内服・follow 例)股関節骨折→人工関節置換術→follow・リハビリ 通常よく行われている医療だが…うまくいかないことも??

  • #5.

    生物心理社会モデル(原論) 還元主義に対して…システム理論で考えるという考え方。 ➢ それぞれの階層でシステムが動いている ➢ ある階層のシステムの変化は別の階層に影響 例;あくまで例です) Aさんの心筋梗塞 →地球温暖化があり国内の農作物不作に… →農家のAさんは収入が減り過労・熱中症に。 →家族にも迷惑をかけストレスが溜まり喫煙するように →心筋虚血が進み、細胞は壊死

  • #6.

    症例 • 10歳女児 先月から気管支喘息の診断で外来通院治療を開始したが、夜 間発作を繰り返し救急受診を繰り返している。 この症例を生物心理社会モデル で考えてみよう!

  • #7.

    患者の物語と生活の周辺環境を聴くと… Bio 気管支喘息のコントロール不良 ウイルス感染 受動喫煙 吸入薬を吸入できていない Psycho 不眠 両親の喧嘩によるストレス 不登校 両親への不信感 Social 母40歳: 喫煙者。うつ病。 父46歳: 喫煙量が増えた。 家事・育児に非協力的 このような事実がわかりました

  • #8.

    生物心理社会の領域を統合して考えると… Bio 気管支喘息のコントロール不良 ウイルス感染 受動喫煙 吸入薬を吸入できていない Psycho 不眠 両親の喧嘩によるストレス 不登校 両親への不信感 Social 母40歳: 喫煙者。うつ病。 父46歳: 喫煙量が増えた。 家事・育児に非協力的 休むのはダメという 学校の雰囲気 どのような要素が相互に関連しているでしょうか?

  • #9.

    Bio 気管支喘息のコントロール不良 繰り返す気道感染 ワクチン未接種 受動喫煙 吸入薬を吸入できていない Psycho 不眠 両親の喧嘩によるストレス 不登校 両親への不信感 Social 母40歳: 喫煙者。うつ病。 父46歳: 喫煙量が増えた。 家事・育児に非協力的 休むのはダメという 学校の雰囲気 かなり密接に事象が絡み合っていることがわかります。 喘息の悪化で不眠になり、両親の喧嘩でストレスが溜まり…果たしてこれは発作の薬物治療だけで改善するでしょうか??

  • #10.

    取り組むべきポイントにフォーカスし、多次元的な治療介入してみましょう! Bio 気管支喘息のコントロール不良 繰り返す気道感染 ワクチン未接種 受動喫煙 吸入薬を吸入できていない • • • • 吸入指導 ワクチン接種を勧める 両親の禁煙外来受診 気道感染の予防策

  • #11.

    取り組むべきポイントにフォーカスし、多次元的な治療介入してみましょう! Psycho 不眠 両親の喧嘩によるストレス 不登校 両親への不信感 • • • • 不眠のほかの原因を探る 両親に対する治療介入 不登校診療支援 両親との関係性を改めて確認

  • #12.

    取り組むべきポイントにフォーカスし、多次元的な治療介入してみましょう! Social • • • 両親の病気・禁煙への支援 児童相談所などとの連携 学校への説明や理解を求める 母40歳: 喫煙者。うつ病。 父46歳: 喫煙量が増えた。 家事・育児に非協力的 休むのはダメという 学校の雰囲気

  • #13.

    その後、どうなったか? • 両親が禁煙をはじめ、母のうつ病治療も始めたことで少 し負担が減った。 • 負担が減ったことで育児・家事ができる時間も少し増え 、本人のストレスが軽減した。 • 発作の頻度は減り、吸入薬の頻度が減ったことでコント ロールもさらに良好になった。 • 不登校診療を開始し、居場所を作ることで徐々に保健 室登校からできるようになった。

  • #14.

    BPSモデルを使う上でのステップ① • 相手や周囲の人との関係も大切 ⇒関係性は情報を集めて介入を行うために重要! 医師・患者関係 患者と看護師との関係 患者と家族との関係 患者と役所との関係 自分もシステムの一部!患者さんとの関係は共感を大切に

  • #15.

    BPSモデルを使う上でのステップ② • 多次元的な介入のために色々な階層の、 どこの階層に取り組めばよいか考えてみよう! (家族に?地域に?臓器に?) (生物に?心理に?社会に?)

  • #16.

    Take Home Message ☑生物医学的な問題は「病気」を形成する要素の1つで あって、心理・社会・文化的側面が影響している ☑生物学的側面は心理、社会的側面と相互に密接に関係 している ☑BPSモデルの考え方を用いて、多次元的に介入をするこ とで複雑化した事例を解決に導けることがある

生物心理社会モデル~その病気、biologyだけで解決できますか?~

  • 総合診療科

  • 生物医学モデル
  • Biomedical Model
  • BPSモデル
  • 生物心理社会モデル

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投稿者プロフィール
DIO🦌総合診療医

空島病院

概要

症状(疾患)はという生物学的な側面だけでなく、心理的・社会的側面と相互に密接に関係している、という生物心理社会モデル(BPSモデル)の考え方を用いて多次元的な治療介入をすることで、複雑化した事例を解決に導けることがあります。このスライドではBPSモデルでの考え方を、「10歳女児 先月から気管支喘息の診断で外来通院治療を開始したが、夜間発作を繰り返し救急受診を繰り返している。」という症例をもとに解説します。

◎目次

・生物心理社会(Bio-Psycho-Social)モデルとは…

・生物医学モデル

・生物心理社会モデル(原論)

・症例

・その後、どうなったか?

・BPSモデルを使う上でのステップ

・Take Home Message

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医

テキスト全文

  • #1.

    生物心理社会モデル ~その病気、biologyだけで解決できますか?~ DIO🦌総合診療医 (Twitter:@generection1)

  • #2.

    生物心理社会(Bio-Psycho-Social)モデルとは… 従来は、症状(疾患)というものは、病気によって引き起こされると 考えられていた(生物医学モデル:Biomedical Model)。 しかし、心理的な要因(例;大切な会議の前に症状が強くなる)や 社会的な要因(例;人間関係のストレスで他にも症状が出てくる) 等の関りも互いに関連しあって症状が出ることがわかり、生物心 理社会モデルの提唱に至りました。 The Need for a New Medical Model: A Challenge for Biomedicine SCIENCE 8 Apr. 1977, Vol.196, Number 4286

  • #3.

    生物医学モデルの考え方(例) 調子が悪 いなぁ・・・ 生物心理社会モデルの考え方(例)

  • #4.

    生物医学モデル もともとは、 「パーツを治せば、全体も治る」という還元主義で考えられてきた 例)心筋梗塞 → カテーテル治療→内服・follow 例)股関節骨折→人工関節置換術→follow・リハビリ 通常よく行われている医療だが…うまくいかないことも??

  • #5.

    生物心理社会モデル(原論) 還元主義に対して…システム理論で考えるという考え方。 ➢ それぞれの階層でシステムが動いている ➢ ある階層のシステムの変化は別の階層に影響 例;あくまで例です) Aさんの心筋梗塞 →地球温暖化があり国内の農作物不作に… →農家のAさんは収入が減り過労・熱中症に。 →家族にも迷惑をかけストレスが溜まり喫煙するように →心筋虚血が進み、細胞は壊死

  • #6.

    症例 • 10歳女児 先月から気管支喘息の診断で外来通院治療を開始したが、夜 間発作を繰り返し救急受診を繰り返している。 この症例を生物心理社会モデル で考えてみよう!

  • #7.

    患者の物語と生活の周辺環境を聴くと… Bio 気管支喘息のコントロール不良 ウイルス感染 受動喫煙 吸入薬を吸入できていない Psycho 不眠 両親の喧嘩によるストレス 不登校 両親への不信感 Social 母40歳: 喫煙者。うつ病。 父46歳: 喫煙量が増えた。 家事・育児に非協力的 このような事実がわかりました

  • #8.

    生物心理社会の領域を統合して考えると… Bio 気管支喘息のコントロール不良 ウイルス感染 受動喫煙 吸入薬を吸入できていない Psycho 不眠 両親の喧嘩によるストレス 不登校 両親への不信感 Social 母40歳: 喫煙者。うつ病。 父46歳: 喫煙量が増えた。 家事・育児に非協力的 休むのはダメという 学校の雰囲気 どのような要素が相互に関連しているでしょうか?

  • #9.

    Bio 気管支喘息のコントロール不良 繰り返す気道感染 ワクチン未接種 受動喫煙 吸入薬を吸入できていない Psycho 不眠 両親の喧嘩によるストレス 不登校 両親への不信感 Social 母40歳: 喫煙者。うつ病。 父46歳: 喫煙量が増えた。 家事・育児に非協力的 休むのはダメという 学校の雰囲気 かなり密接に事象が絡み合っていることがわかります。 喘息の悪化で不眠になり、両親の喧嘩でストレスが溜まり…果たしてこれは発作の薬物治療だけで改善するでしょうか??

  • #10.

    取り組むべきポイントにフォーカスし、多次元的な治療介入してみましょう! Bio 気管支喘息のコントロール不良 繰り返す気道感染 ワクチン未接種 受動喫煙 吸入薬を吸入できていない • • • • 吸入指導 ワクチン接種を勧める 両親の禁煙外来受診 気道感染の予防策

  • #11.

    取り組むべきポイントにフォーカスし、多次元的な治療介入してみましょう! Psycho 不眠 両親の喧嘩によるストレス 不登校 両親への不信感 • • • • 不眠のほかの原因を探る 両親に対する治療介入 不登校診療支援 両親との関係性を改めて確認

  • #12.

    取り組むべきポイントにフォーカスし、多次元的な治療介入してみましょう! Social • • • 両親の病気・禁煙への支援 児童相談所などとの連携 学校への説明や理解を求める 母40歳: 喫煙者。うつ病。 父46歳: 喫煙量が増えた。 家事・育児に非協力的 休むのはダメという 学校の雰囲気

  • #13.

    その後、どうなったか? • 両親が禁煙をはじめ、母のうつ病治療も始めたことで少 し負担が減った。 • 負担が減ったことで育児・家事ができる時間も少し増え 、本人のストレスが軽減した。 • 発作の頻度は減り、吸入薬の頻度が減ったことでコント ロールもさらに良好になった。 • 不登校診療を開始し、居場所を作ることで徐々に保健 室登校からできるようになった。

  • #14.

    BPSモデルを使う上でのステップ① • 相手や周囲の人との関係も大切 ⇒関係性は情報を集めて介入を行うために重要! 医師・患者関係 患者と看護師との関係 患者と家族との関係 患者と役所との関係 自分もシステムの一部!患者さんとの関係は共感を大切に

  • #15.

    BPSモデルを使う上でのステップ② • 多次元的な介入のために色々な階層の、 どこの階層に取り組めばよいか考えてみよう! (家族に?地域に?臓器に?) (生物に?心理に?社会に?)

  • #16.

    Take Home Message ☑生物医学的な問題は「病気」を形成する要素の1つで あって、心理・社会・文化的側面が影響している ☑生物学的側面は心理、社会的側面と相互に密接に関係 している ☑BPSモデルの考え方を用いて、多次元的に介入をするこ とで複雑化した事例を解決に導けることがある

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